前回初めての試みとなったTSUKASA氏(From 「J-POP CRAZY」)との対談であるが、読者の方から好評に調子に乗って早くも第三弾のテキストをアップする。 今回は「年間チャート回顧 −1989−」「歌謡曲がJ-POPになった時」両方の対談に登場したアーティスト、WINKについての長編対談である。 Wink。1988年デビューのアイドルデュオ。89年に「愛が止まらない」でブレイクし、同年「淋しい熱帯魚」でレコード大賞受賞。その後も「真夏のトレモロ」「咲き誇れ愛しさよ」などのヒットを飛ばし、90年代前半のアイドル冬の時代にひとり気を吐いたアーティストである。 ……なんてことはいまさらここでいわなくてもこのサイトをみている人ならみんな知っているか。 WINKはサイトでいつか取り上げようとサイト立ち上げ時からレビューをあたためていたアーティストだったのだが、どうにもテキストアップにまでは到らずにいた。何度かトライしてみたんだけれどもね、どうにもうまくまとまらなかった。 なもんで「好きだけれども、特に書くことないな」とずっと後回しにしていた。 今回もお互いの出したいくつかの案の中から「WINK」ということになったのだが、 対談前は「これでTSUKASAさんの尻馬に乗っていまいち語ることの見つからないWinkについて語ったつもりになれるかな」などとお気楽に思っていたわたしであった。しかし……。 結果は見てのお楽しみである。 ともあれ前2作よりも長大テキストになったということだけは確かである。 それでは、2ベルが小屋に響いて舞台のスタート。 ※ Winkをまったく知らないという方、あるいは俺はWinkの大ファンだけれどもこの二人ってWinkのどのラインがツボなの?と思った方は対談最後にある「Winkアルバムセレクション 〜Winkのこのアルバムが凄い〜」をご覧になってからのほうがいいかもしれません。 まこりん(以下「M」):今回はWinkということで、シングルを中心に彼女らの歴史を紐解くと、そんな感じでやってみようかなと。 TSUKASA(以下「T」)やってしまうということで。 M:前回の対談であまりにもWink話で盛りあがったので、ちょっとこれは1回消化しなきゃいけないかなぁなんて思いまして。 T:そうですね、「TWIN MEMORIES」で初めてCDを買った、という希少な共通点を私たちはもつということで、これはやってしまいますか、と。 M:前回はかなり話が色々と多岐に渡ってしまったし。 T:最後は完全にテーマから外れて語ってしまいましたよね(笑)。 M:ともあれひとまず「J-POPの始まりはWinkから」というのを証明するためにも、やらねばならぬと。もう説伏しますから今回は。 T:わははは。いや、そんな。 M:新興宗教の信者のように説伏する。 T:怖いなあ。 M:て、冗談はいいとして。ではまずデビューの年、1988年から振り返っていきましょう。 T:はい、行ってみましょー。
M:この年はシングルでいうと「Sugar Baby Love」「アマリリス」「愛が止まらない」の3枚。 デビューからワンテンポ置いて、「愛が止まらない」で一気にブレイクって流れだね。 ■ Sugar Baby Love (88.4.27/20位/6.1万枚) T:最初の2作はイマイチだったんですね、売上は。 M:ただデビュー曲は最高20位だから、そこまで酷くはない。データを見る限りはね。新人賞も狙えば取れたんじゃないのという。 T:デビュー曲からドラマ主題歌だもんね。CX系の「熱っぽいの」。 M:うん。ナンノ主演のアイドルドラマ。相手役が工藤静香。 T:わりとプッシュされてたんだろうか、売り出しとしては。 M:まだドラマ主題歌がそこまで神通力があった頃ではなかったから、大プッシュというほどではなかったかと。 T:あーそうか。90年代初頭とは違うもんね。 M:うん、ただ力を入れていないというのは嘘だろうね。まぁそこそこという。BaBeが「Give Me UP」(「あまえないでょ」主題歌)「I Don't Know」(「アナウンサーぷっつん物語」主題歌)とドラマ主題歌連投でブレイクしたから、その流れの主題歌起用かなぁと。 T:そうそう、BaBeはちょっとポジション奪われた感じですよね。Winkが売れてしまって。 M:まぁ、ユーロカバーのデュエットって所は似ていたね。 T:被りまくりだもんな。 M:ただキャラ的にはBabeは元気系だったからね。歌い方もBaBeはパンチがある。Winkは無気力。 T:ははは、無気力って。 M:や、そこは大きな違いよ。 T:でもこの「Sugar Baby Love」とかファーストアルバムって、まだ後のWinkほど無気力な感じというか不思議系ではなくないですか? M:うん。フツーのポップスというか。さほど異次元に行っていない。 T:わはは、異次元。 M:いや異次元に行くから、「淋しい熱帯魚」以降は。 T:そうね。ブレイクして完全に方向性を定めたっていう。 M:この頃はこう、あまり主張のない滑らかなポップスというか。水のような佇まい。 T:ああ、1stアルバムのジャケはまさに水のイメージでしたしね。 M:あーーそうだった。水につかっていた。 T:あれ、それを踏まえて言ったのかと思った。 M:いや、忘れていた。 T:見事に繋がったじゃないですか。 M:えー、このデビュー曲は74年のルベッツのカバーなわけなんだけれども。 T:この曲は最近CMでもかかってましたね。アサヒビールの。んでデビュー曲がいきなりカバーでルベッツ、というのは、いったい何狙いだったんだろ。 M:それはわからん。ただ当時のユーロビートって、60〜70年代のカバーって手法もあったじゃん。「ヴィーナス」とか。 T:バナナラマね。 M:あと「Loco-motion」とか。 T:この曲、当時向こうでユーロビートとしてカバーされていたりとかしたのかなぁ。そっち経由かなと思ったり。 でもこの時点からユーロ狙っていたにしては・・・って話飛ぶんだけど、次が「アマリリス」じゃないですか。 ファーストアルバムもそんなにユーロユーロしてないし。選択肢の一つとしてあった、ってことかな。 M:でもカバー曲が結構入ってなかった?ファーストアルバムも。5曲入っている。 T:うん、あったけど。全面的に押し出している感じはしない。 M:でも、アルバムとか見るとユーロのWinkっていうほど、その後もカバーづくしではないし。 T:まあただ1ついえるのは、カバーするのはアメリカのじゃなくてイギリスなんですよね。 M:そうね。1stでもベイシティーローラーズとかやっているし。 T:その後もイギリス以外でも徹底してヨーロッパだし。それぐらいの狙いはあったのかなってわかる。 M:まぁ私はそこまで言い切れるほど原曲に詳しくないんですが。ともあれ60〜70年代の向こうもののポップスの再現、というのはWinkはテーマとしてあったと思う。 T:ユーロとあとはオールディーズっぽいのも多いですもんね。古きよきポップス、っていうの?オリジナルでもそういう曲出てくるし。最初からそういうコンセプトはあったのかな。 M:うん。あのテイストをいかに今の日本的なポップスに組み替えるか、という。プロデューサーの水橋春夫さんの狙いはそこだったんじゃないかなと思う。 その文脈で行くと、デビュー曲のPVがフィフティーズっぽいのもわかるというか。 T:ああ、そうね。 M:次の「アマリリス」なんかもそのラインなのかな、と。 T:あーー、そう繋がるのかなぁ。 ■ アマリリス (88.9.7/30位/1.4万枚) M:なんか古きよきポップスって感じじゃん、「アマリリス」って。 T:うーん、なんかでもやっぱり毛色が違う気もする、この並びだと。フォークっぽくない?これだけドメスティックっていうか。 M:うん、でも私はフォーキーっていうのも後々につながるWinkのキーワードだと思うんだけれどもなぁ。 T:あぁ、晩期にはもろフォークもやっているけれどもね。ただちょっと、この3枚の流れでいくと、「アマリリス」がなんか謎なんですよ。 M:何故ここに、という。 T:だって「Sugar Baby Love」→「愛が止まらない」のほうがわかりやすくない?や、そんな今ダメ出しすることじゃないんだけども(笑)。 M:どうなんだろ。でも、デビュー期にその後の全ての要素がバッと出ているってのはよくあることだからなぁ。ひとまず最初はヒットしたところを伸ばして、みたいな。 T:フォークはね、忘れた頃に出てきたよね。後で話すけども。 M:忘れたというか、このデビュー時点が原点なんだと思う。で、そっからユーロ方向のベクトルに行って。 T:ああ、「愛が止まらない」が売れたから、とりあえずじゃあこの路線で、と。 M:うん。で「永遠のレディードール」あたりで行きついた末に、一転引き返してフォークの方向に持っていったというか。 T:そうかそうか・・・って早くも総括っぽくなってますが。 M:だってここでフォークが出てくるのを不思議がるんだもん。ていうかプロデューサーの水橋春夫さんがジャックスってバンドやっていたのは知っている? T:ジャックスは知ってるけどああ、ジャックスにいた人かぁ。 M:ギター担当だったかと。ジャックスの人と思うと・・・ T:わかるね(笑)。 M:そのあたりって納得するでしょ。 T:納得した。ってかまあいま聴き返したら結構良いんですけどね、「アマリリス」。 M:いいんだよ、案外。Winkはユーロで派手でなくっちゃ、という耳で聞いてると退屈なんだけれども。 T:レモンの味、っていう感じがする。 M:淡いの。初恋の味って感じ。 T:ファーストキスはレモンの味がしました、とかそういうの(笑)。 M:ラブコメかいな。 T:あと「Sugar Baby Love」の台詞ね。顔面熱くなってしまう。 M:すっぱいよね、あれも。 T:すっぱいよぉ〜。もう戻れないよぉー、って感じ。 M:ああいったのはもう当時にして既にアイドルポップスにもない甘さだったから。懐かしい甘さ。 T:そうですよね?同時代のアイドルポップスですらない直球というか。ちょっと恥ずかしいような。よくやらせたな。 M:だからWinkっていうのは一種の懐古主義的な面も持ち合わせていたと思う。失われたものの再現という。 T:オールディーズ狙いなね。スタートはそこである、と。 M:うん、それはおっきいと思う。 T:つまり「Sugar〜」のあの「好きです。」に集約されていると。ってやべぇ「好きです。」って書いただけで顔赤くなってきた。 M:なんだよそれ。 T:いやぁ、まあ古き良き、っていうキーワードが最初の2曲に詰まっていると。 ■ 愛が止まらない 〜Turn It Into Love〜 (88.11.16/1位/64.5万枚) M:で、まぁ、そういった懐古的なところから、PWL系の「愛が止まらない」でブレイクするわけですが。 T:「愛とま」はやっぱこの3曲の中では別枠かなぁ。 M:ていうか、さっき「ヴィーナス」の例をあげたように本家ユーロ系にもカバーの概念はあったわけだから、そっからの逆算で今様ユーロをそのままカバーというのもアリという文脈だったんじゃないかな、と思う。 T:これはまさにリアルタイムのヒット曲ですね。カイリーミノーグの。ユーロの女王。 M:うん。アップトゥデイトのヒット曲。 T:カイリーというのは直球だけどもこれは選曲よかったね。「I Should Be So Lucky」とかだったらまた違うことになってたかもしれん。 M:あの頃いっぱいあったからなぁこの手のユーロカバー。残り物に福という感じで大ヒットしたよね。 T:残り物て。 M:ただほかの日本のユーロカバーって、どれも脂っこくってギラギラしたものが多かったじゃない、当時のものは。 T:派手なね。 M:それに比べるとWinkって淡いんだよねぇ。前作の影響からなのか知らんが。 T:淡々とした感じ。 M:パステルっぽくってふわふわしてんの。 T:ってか、これはWink全般に言えるんだけども、カバー曲多いのにあんまりカバー臭しないんですよね。Winkのものになっている。 M:なんか別物というか。なんだろうね。それこそ日本的なわびさびの世界というかそういう感じ。 T:これは選曲のよさと、アレンジと、及川眠子さんの詞が、三位一体となってこう"Winkの世界"というものを作ってしまっているなぁとすごく感心するんですが。 M:この頃はアレンジは船山基紀センセだね。アレンジャー界の御大。 T:船山先生のシンセシンセした曲ってすごく好きですね。 M:やっぱりこの人はシンセ使いが上手いのよ、ホント。第一人者の一人だと思う。 T:ガチャガチャしないんだよね。どんな音鳴らしてもすっきりしている。 M:うん。Winkの彼のアレンジは、まさしく80年代の彼の仕事の総決算という感じがある。柏原芳恵の「トレモロ」あたりでシンセを使い出して、 C-C-Bとか中山美穂をやって、でWink。ここで完成したというか。ユーロでシンセっつったら船山でしょ、という圧倒的なパワーがある。 T:原曲と聴き比べても、日本っぽい・・・濡れた感じ?は出しつつも、重くもなく、といって軽くもなく。しっとり上品な印象が。 M:ほどよく派手でほどよく上品なんだよね。さじ加減が抜群。 T:そうですね。絶妙なバランスですね。この船山さんのアレンジと及川さんの歌詞が、カバーだけどWinkの世界だぞ、というのを作ったと思う。 M:彼女の登用は大ヒットだったね。 T:及川さんの歌詞も、船山さんのいまの印象に被るんだけど、濡れてるけどどっぷり漬かってなくて。ほどよく上品だという。すごくWinkに合ってると思う。 M:及川さんはコラージュのような歌詞がうまい。原曲がなくてもなんか原曲あるの?というコラージュっぷり。 T:あー、上手いなあ、ってフレーズが切り張りのように出てくるね。 M:印象的なフレーズがバラバラと散らばっていて、じゃあ散漫かというとそんなことはないという不思議なタッチ。 T:この曲だと、「♪街の輪郭が葡萄色に変わる前に〜」とか好きだなあ。 M:Wink以前に特に大きな仕事はしていなかった彼女だけれども、いやぁ、いい作詞家です。 T:Winkで大ブレイクですね、この人は。ほんとに世界があるもの。淡〜くて、現実と非現実の狭間みたいな感じ。 M:うん。ガラス細工みたいな感じ。透明で儚いの。 T:壊れてしまいそうな。美しく脆い・・・。 ■ Wink=J-POP説、再論 M:ってわけで、88年を総括しそうな勢いなんだけれども、ひとつふたつ語っていい? T:あ、どうぞ。 M:「WinkはJ-POP」って説を証明するのに、ポイントとして挙げることがこの時点で二つあると思うのね。 T:あ、説伏される(笑)。 M:説伏します。で、まず一つがデビュー期から一貫してPVを作っているということ。 当時のポップスってシングルごとにプロモーションビデオを作るってことはなかったんだけれども、彼女らは一貫してPVを作っているわけ。 「アマリリス」と「追憶のヒロイン」は作んなかったけれども。 J-POP歌手ってビジュアルイメージを歌番組からPVに移したわけだけれども、それを初めに行なったのはWinkかなという説なんですけれども、どうですか。 T:90年代はまさにビジュアルイメージをPVが担った時代ですからね。いや、まあそう言われると、ああと思ってしまう(笑)。 M:日本の歌手がシングルでPVを必ず作るようになるのって、CDTVが始まって以降だから。それより先行して、歌番組時代からWinkはやっているぞと。 T:ああ。ってかPVが日本でも認知されるようになったのが、マイケルジャクソンの「スリラー」ぐらいからでしょ。だからまだPVの分野って未発達だったよね、80年代後半でも。 M:だって歌番組で事足りていたし。あんまりテレビに出ないアーティストは時々作っていたけれども、それもホント時々だし。 T:アトランダムに作ってる人はいたけどもね。みんながみんな、全シングルにPVというのはなかった。 M:当時のものは、なんか予算が貰えたから作りました的な。戦略としては組み込まれていなかった。 T:うーん、そういわれると確かに・・・。Winkが最初であると。 M:そのあたりに関してはそうなんじゃないかなと。 T:や、全然考えたことなかった(笑)。 M:それ以前って、シングル毎にPV作っていたのって誰かいます? T:うーん・・・。あ、プリンセスプリンセスとか。プリプリのデビューって何年だっけ。87年か。 M:プリプリは毎回作っていた? T:うん、まあ何本かはライヴ映像に音被せただけというのもあったけども。あ、それとバービーボーイズとかかなぁ。 M:どれも89年ブレイク組だね。 T:そうね。同時多発だ。 M:PVに関してはそのあたりが源流なのかも。 T:うーんでもほかに思いつかないな、言われてみると。 M:とにかく少ないのは確かだよね、この時期には。 T:うん、この辺からですね、シングルごとにTVのオンエアを意識してPV作るっていうのは。 それまでのPVってもっと、ソフト化前提というか、作品性のほうが先にあったのが多いですね。 米米クラブとか。プロモーションとは違う目的ね。・・・あそうだ、あとTMネットワークも作っていたかも。 M:TMも作っていたんだ。何本かは見たけれども。 T:全シングルではなかったかも。ただビジュアル戦略として、PVという手段を非常に意識はしていた。 M:んなこといったらレベッカとかも作っていたけれど。「ラズベリードリーム」とか。彼女らも時々という感じだけども。 T:そうね。 M:まぁ、NM・ロック系は、テレビにあまり出ないから時々は作っていたんだけれどもね。 T:まあPVがビジュアル戦略としてようやく認識されるようになった最初の頃に、全シングルでPV作り出したのは、 確かにWinkとかのあたりなのかな。 M:しかもWinkの場合はテレビに出るわけだから。NM系と比べると、いっそう意味合いがまた・・・。 T:そうですね。っていうかアイドル=歌番組だものね、この時代は。 M:それなのに作っていたと。あともう一個いい? PWLのファクトリーミュージックの手法は後の小室→エイベックス系やビーイングの音楽制作手段に援用されたけれども、そのPWL系のカバーで最も成果をあげたのがWinkである。ってこと。 これも「WinkはJ-POP」説のひとつの根拠なんだけれども、どうですか。 T:あーPWL系のカバーの最成功例ったらそりゃWinkになるでしょうね。ほかにいないでしょ。 M:あの手法が日本に渡ってJ-POPになったわけじゃない。 T:Winkを通してなった? M:Winkが直接原因というわけではないけれども。 T:ファクトリー的、というのはビーイングや小室をはじめとして、J-POPの大きな要因ではありますよね。商品として一定のクオリティさえあればいいという。 M:そのポップスを日本で歌っていたのがWink、って考えると、WinkもJ-POPかなぁとか。 T:うーん、そういう繋がりかぁ。 M:まだ当時はその手段を日本で生み出してこそいなかったけれども、そうしたポップスを受け入れる傾性をWinkは持っていたんじゃないかなぁと。 ま、ちょっと強引ですが。 T:ああ、受け入れる、っていうのはまさにそうだったんじゃないかな。親水性が高いというか・・・。 M:Winkって始祖鳥っぽいのよ。私の視点から見れば。鳥と爬虫類の真ん中。 T:始祖鳥かい。 M:歌謡曲とJ-POPの狭間。歌謡曲サイドから見ればJ-POPで、J-POPサイドからみれば歌謡曲。なんかどっちのテリトリーにも入って、どっちにも入っていないという。 T:ああ、おれはやっぱりJ-POP側から見ちゃうからだろうな。 M:や、歌謡曲マニアの視点から見ればWinkって傍流よ、ものすごく。あれは歌謡曲じゃないでしょ、といういい方する人も多いと思う。 T:いやーJ-POPマニアから見たら歌謡曲ですよ!って、面白いね。や、でもね、今までやっぱりJ-POP側からの視点で見ていたから、 WinkがJ-POPだと考えたことなかったんだけど、言われてみれば、っていう感じなんですよね。確かに境目っぽくはあるなぁと。 M:だから可愛そうな存在なのよWinkは。歌謡曲としては普通語られないし。なんかのけ者なの。 T:じゃあJ-POPとして語られるか?っつったら・・・見たこと無いし。 M:む、村八分だ。 T:かわいそうだったんだ・・・。 M:あのね、「耳からアイドル」っていう、ライトノベル作家の吉岡平が林明美という変名で書いたアイドルレビューがあるんだけれども、 その中で「Winkは社会党だ。でもアイドルっていうのは自民党なんだよ」っていう文章があるのね。当時のレビューで。 T:あはは。わかるようなわからんような。 M:だからWinkはアイドルでないって。これを読んだ時ににすごい納得したのよ、私は。 T:いやぁ・・・キョンキョンって自民党かぁ?おニャン子はぁー?っていう。 M:自民党だと思う。っていうか、ここの「アイドル」をわたしは「歌謡曲」って言葉に置き換えていたわけだけれども。 つまりWinkは別物よと。 T:うーん、少なくとも保守ではないと? M:いや自民党とか社会党というのはものの喩えであって、厳密に保守とか革新という意味でないと思う、ここでは。 グループとして別物という意味合い程度だと思う。 T:ああ、それなら分かる気がするけれども。 M:つまりWinkはアイドル歌謡じゃねぇよ、という。 T:アイドル歌謡の一種、ですらない?本流ではないかもしれないけど・・・。ってここまでで既に凄いボリュームだな、この対談。 M:うわーーー、気づかせないでくれ。いやまぁ、とにかく現段階において、80年代アイドルレビューサイトでWinkがほとんど語られていない、 というのは事実だし。 T:別カテゴリーなんだ。あれほど売れたのに。 M:私の個人的な印象としても、やっぱり質感違うよ、という。だからJ-POP側に押しつけたのに突っ返された。 T:わははははは、突っ返されたって何よ!? M:そして居場所のないWink・・・。 T:お、おれが?おれが突っ返した? M:だってJ-POPですと受け入れてくれないし。 T:ええっそんなぁ。おれの所為かー。 M:いやいや、やっぱりWinkの居場所って微妙なんだなぁということを再認識しました。だからやっぱり始祖鳥かなと。 T:いや、すごく発端にかかっているというのは前回の対談で認識したんですけども、ズバリJ-POPだぜ!ともなんとなく言えないんだよねぇ。 M:私もそのものズバリだとはいえない感じはある。"要素としては揃っているけれども……"という。 T:だからすごく過渡期にリンクした存在ではあったのかもしれない、やっぱり。 M:それにもしJ-POPそのものであったら、それこそ90年以降も飛ばしまくっていただろうし。 T:そうなんだよね。だからその、多分あとで出てくるんだけど、「咲き誇れ愛しさよ」。あれはJ-POPそのものじゃないですか。 M:ていうか93年以降はJ-POP濃度かなり高め。アルバムとか聴くにほんとそんな感じ。 T:だから、過渡期だったんでしょうね。J-POPの要素は予め内包していて、後期に行くにつれてそれが具体化していったと。 M:うん。ということでいい加減時代のページをめくりましょう。
M:というわけで1989年、Wink大ブレイクの年。シングルは「涙を見せないで」「淋しい熱帯魚」「One Night In Heaven」の3枚。 T:この年はまあ、Winkにとっては忘れられない年ですね。3曲とも好きだなぁ。 M:この年は以前の対談でとっくり語っちゃったんだけれども。 T:んーだけどもこの前の話は「淋しい熱帯魚」に集約されていた気がするから。 ■ 涙をみせないで 〜Boys Don't Cry〜 (89.3.16/1位/52.3万枚) M:「涙を見せないで」までは結構フツーのユーロという感じで、「愛とま」の続編って感じだよね。 T:ってかBaBe系だよねこれは。 M:あぁ確かに。わかりやすい感じが。曲もポップで明るいしね。 T:PVで笑っているし!貴重ですよ。 M:珍しくアイドルのプロモなんだよね、この曲だけ。 T:アイドルアイドルしてるのってないもんね、実は。 M:ない。だからこそあまりアイドルとして見られなかったというか。 T:だからこの明るいポップ感が余計いいなぁって思っちゃいますね。ここでしか見れないWink、という。 M:貴重な時代。もうちょっとこの能天気な時代をやってもよかったかなぁと思うんだけれども。 T:続けなかったんだよね、この路線を。 M:うん。 ■ 淋しい熱帯魚 (89.7.5/1位/56.4万枚) M:「涙をみせないで」と「淋しい熱帯魚」の間には結構段落がある。あそこでいきなり変わる。ふわーっとした感じが、 シャープになっていって。 T:ボーカルもなんか違う感じするんですよ、「淋しい熱帯魚」から。人形っぽいのを意識してやっているというか。無自覚か自覚かっていう。 「〜熱帯魚」からは自覚していると思う。 M:振り付けが大きいよね、人形かどうかっていうのには。 T:振り付けね(笑)。「淋しい熱帯魚」はもうね。 M:それまではアイドルの振り付けの範疇だったのが、なんか「〜熱帯魚」あたりから別物になっていく。 T:大魔神かっていう。 M:あの有名なのね。 T:キャッチーだよなぁこの振りは。しかもこの振りで無表情だからね。 M:「涙を見せないで」までの無表情っていうのは、ただ緊張していただけという感じがする。 それを「無表情アイドル」と受け取られて、それを逆手に取ったのが「淋しい熱帯魚」の時期かな、と。 T:そうかもしれない。ここからは意識してやっている。 M:だって以降の振りつけとかホント変だし。 T:奇妙だよね。 M:全然グルーヴィーじゃないの。動き回っているのに体が踊っていないの。 T:ほんとぜんまい仕掛けの人形みたい。 M:ギクシャクからくり人形のように、メトロノームのクリック音に合わせて一緒に同期したりしているふたり、という感じ。 T:そこがまた強烈に引きになったわけだから、結果大成功ですよね。 M:「One Night In Heaven」では振り付けで、お互いをからくり人形に見立てる振りがあったじゃない。 T:あった(笑)。片方が腕回して、もう片方がくるくる回るのね。 M:一方が糸を引くと回り出すの。あそこの部分とか大好きなんですけれども。 T:わはは。でも笑いスレスレだよねああいうの。あれを真面目にやり切れたのが凄いっていう。やらせたスタッフも偉いというか。 M:実際「夜にはぐれて」あたりになると笑えるわけだけれども。 T:ポカーンな感じになっていくよね。まあだから、「涙を〜」と「〜熱帯魚」で、曲はユーロで流れを継承しているんだけども、全然変わった気がしますね。 M:完全に「Winkの世界」が確立されている。 T:だからこの当時、何枚かあとのシングルでまた「涙を〜」みたいな路線もやるのかなと思ったら、やらなかったから。 それどころかどんどん孤高の世界へと・・・。 M:そうだね。これがきっかけという感じ。わたしは「淋しい熱帯魚」は早すぎた、出来すぎた楽曲だったのかもしれないとも思う時もある。 T:んー、確かに「涙を〜」の世界も後ろ髪ひかれるものはありますけどね。 でもまあ「〜熱帯魚」があったからこそ個性的な「Winkの世界」に行けたというのもあるし。 M:それは確かなんだけれども、もうちょっと遊んでから行けばよかったのにと一方で思ってしまう。レコード大賞というオマージュは正当かもしれないけれども、 やっぱり早いよな、と。 T:うーん、まあね。まあでも遊んでるうちに飽きられたかもしれないし、おれはこれはこれで良かったのではないかと思います。 ユーロカバーで押し通すのって、この年のアルバム「Especially For You」でかなり出来のいいとこまで行ったと思うし。 M:いっぱいいっぱい? T:まあ、同路線でやろうと思えばできたんだろうけども、それだと現状維持ぐらいのものになってしまったんじゃないのかな。それぐらい「Especially〜」って出来が良いし。 M:ただ「〜熱帯魚」以降ものすごい勢いで売上が下がったのは事実なわけで。そう思うとこれ以降しばらく続く路線は、一般性はなかったのかなと思ってしまう。 これ以降の世界もわたしは大好きなんだけれども。 T:ああー、おれは好きだけども、っていう。それはまあ、「涙を〜」みたいなののほうが売れたかもしれないけど・・・ あの路線の賞味期限ってどうかなぁ?って気もするな。 M:BaBeや長山洋子みたいになっていたかもということ? T:あ、言いたいことを言ってしまいましたね(笑)。言わないでいたのに。 M:ははは。 T:まあ率直に言えばそういうことなんですけども。 M:まぁ、Winkのファンって実際、好きな世界観は「淋しい熱帯魚」以降「咲き誇れ愛しさよ」以前、という感じだからね。 ここの美意識を受け入れる人でないとファンにならないというか。 T:うん。ってか、Winkってそれでも結構長く頑張ったって思ってたんだけど。 M:それは頑張ったよ。大ヒットこそなかったけれども、中規模なヒットは以降もたくさん繰り出すし。 T:うん。だからこれはこれでいいんじゃないかな、と思うな。 M:ファンの意見としてだね、それは。 T:や、BaBeみたいにならなくてよかったっていう、ははは。 M:いやぁ、BaBeはまた色々とあったから。 T:そうなんですか?あんま詳しくない。 M:できちゃった婚で解散だから、BaBe。 T:あ、そうなんだ。ギブミーアップしてしまったわけだ。よくわからんけど。 M:おいおい。 ■ One Night In Heaven 〜真夜中のエンジェル〜 (89.11.1/1位/42.3万枚) M:あとちょっと言いたいんだけれども、Winkの振りつけって二人とも好き勝手な動きをフラフラギクシャクギクシャクしながらやるじゃない? T:うん。ってこれ知らない人が読んだらどんなのだと思うだろうな。 M:知らない人など読むなっ(笑)。で、あれがサビとかでピタッと合うでしょ。あれ大好きです。 T:ははは。 M:「One Night〜」とかもう振りつけ的には大変なことになっているし。手をこう、あっち持ってってこっち持ってって……。 T:ああ、この後がもっと凄いからあれだけど、「One Night〜」も結構すごいね。 M:あとすごいフリっていえば「夜にはぐれて」と「ニュームーンに逢いましょう」と― M&T:「背徳のシナリオ」!!。 M:被った(笑)。 T:(笑)。まあともあれ、この年は3曲とも良いですよね。やはり船山先生素晴らしいし。 M:うん。船山アレンジはここで一端終了だしね。 T:行くとこまで行ったという。 M:これ以上の手札はないかな、という完成し尽くされた感がある。 T:「涙を〜」でポップな路線を一旦完結させて、「〜熱帯魚」で今度は和製ユーロの決定版を作ってしまって。んで「One Night〜」でまた新路線を拓く、と。 確かにまあ早いね。階段をびゅんびゅん昇っていったような、そんな89年。 M:生き急いでいる。そんな感じです。 T:いちいちよく出来すぎだからね、3曲とも。 M:うん無駄がまったくない。ってあたりで、次行きますか。
M:この年のシングルは、「Sexy Music」「夜にはぐれて」「ニュームーンに逢いましょう」の3枚。 T:まぁ売上的には89年がピークということになって、右肩下がって行ってしまうんですが・・・。 M:前年からがたっと減る。正確にいえば「Sexy Music」でがたっと減る。 T:でも音楽的にはまだまだ集中力あるよね。まぁその、わけわからん世界に突き進んでいるともいえるんだけども(笑)。 M:うん。売上はともかくスタッフの気合というのは感じる1年。ゆえにまぁ、ちょっ先走りというものあったりという。 T:一般受けってことを考えると、もうちょっと歩み留まることを考えてもいいんじゃないか、っていうのはありますね。どのへんまで一般受けを見込んでたのかなっていう。 M:「淋しい熱帯魚」でついた勢いのまま突っ走っていますという。確かに一般受けはどれくらい考えていたんだろうか…。 ■ Sexy Music (90.3.28/1位/32.9万枚) T:「Sexy Music」はまあ、磐石つったら磐石じゃないです? M:でもこれはカップリングの「いちばん哀しい薔薇」をA面に、という案もかなりあったみたい。 T:ああーそれだと全然違うことになるな。おれがスタッフなら「Sexy Music」にしますよ(笑)。 M:「いちばん哀しい薔薇」って結構その後に続く路線じゃない。「ニュームーンに逢いましょう」とかあのライン。 「Sexy Music」はそれに比べてわかりやすいというのはあるけれども。 T:ノーランズのカバーを今風アレンジで、っていうのはまあ安全パイっちゃあ安全パイではある。 M:読める作りだよね。 T:わかりやすい。 M:10年目のカバーとかそんな意味合いもあって、こっちにしたとか。 T:ってか、あれだけブレイクした後なんだから少しはわかりやすい路線で行くでしょ普通は。だからこれは正常だと思う(笑)。よく出来てるしね。 M:でも「Sexy Music」って私はそんなに好きじゃない、Winkのシングルの中では。 T:うーん、自分は良く出来てると思うけど「Sexy Music」って曲自体がそんなに好きじゃない。「ダンシングシスター」のほう(アルバム「Velvet」収録の「銀星倶楽部」)は良かったけど。 M:振りつけも衣装も単調だったし。悪くはない、というか。 T:まあ、二人ともWINKに関しては過剰なほうが好きですからね(笑)。 M:Winkの二人いわく、"振りかえって考えるに今だったら「いちばん哀しい薔薇」をシングルにしていたな"とか言っているようで、 その過剰なのをスタッフも以降セレクトするようになっていったわけで……。 T:へぇーそんなこと言っているんだ。 M:B面コレクション(「Back to Front」)で色々語っております。歌詞カードと別に二人が解説している。 T:えっほんとに。でまあ、「Sexy Music」はそんな感じで、まあ磐石な路線を行ったと思うんだけども。 M:確かにそういえるよね。ちなみにここで船山基紀から門倉聡にアレンジがバトンタッチしているんだよね。「Sexy〜」が門倉で「いちばん哀しい〜」が船山。 T:シングルはここから92年まで門倉さんですね。10作連続。で、まぁこのシングルはいいんだけれども次がまた……。 M:うん。次が門倉になって早々の問題作「夜にはぐれて」になるわけで……。 ■ 夜にはぐれて 〜Where Were You Last Night〜 (90.7.4/2位/29.1万枚) T:これはなんだったんだろうなぁ。当時ポカーン状態になってしまったですよ(笑)。 M:衣装がメタリックだったんだよね。スペイシーでSFチックで、んで振り付けがなんか色んなところが過剰という。 T:アレンジもなにやら過剰だし。イントロからしてドギャーンドギャーンドギャーン!という。 M:ほんと無駄にギターが主張していたりね。 T:なんか曲の質感がこう、共存を拒むというか、理解を求めないというか。誰もわからなくても突き進んでいくぞという。そんな孤高の世界に突入しているなと。 M:「文句ある?」という。これでも好きなんだよなぁ。歌詞とか見るとすげー他愛のない世界なんだけれども。 T:おれ今でもあんまわかんないや〜。やっぱり謎だ。「???」って感じ。 M:えーっ、そう。ともあれ私は大好きなんですけれども。「♪くちびるが覚えてる」のあの二人が手を繋ぐところとか。ゆらゆらゆらゆらさせて"ピシッ"という。 T:やっぱその、キメが好きなんだ(笑)。 M:PVのオープニングも"Wink"って書かれた本を開けると、二人が回転してポーズ決めているじゃない。 あれも意味不明でなんか好きだし。あと途中で鹿とかぴょんぴょんとんでたりするし、なんじゃこりゃーーと。 T:ははは。「Sexy Music」のプロモも意味不明な効果とかいろいろ使われてて奇妙なんだけどね。 M:あぁあれも"でっかいWink""ちっちゃいWink"入り乱れて、大変なことになっていた。 T:いきなり背景が青空になったりして(笑)。「???」という。そのヘンなとこが面白いわけだけども。 M:ただ「Sexy〜」→「夜にはぐれて」でそんなに売上を落としてはいないんだよね。 「One Night〜」→「Sexy〜」は売上の段落あるけれども。 T:「ニュームーンに逢いましょう」ぐらいまでは持ち堪えている。 M:だからある程度この路線は認められていたともいえるわけで。 T:そうさなぁ、当時もまぁなんか違うな、とは思ったけど、世界観が過剰だ、とかそういうのは考えないで聴いてたしな。 今回はロックっぽいのね、とかそういう感じで。なんか暗〜い曲だなとは思ったけど。 M:割と受け止めていたという。で、次の「ニュームーンに逢いましょう」でまた、一段上にねじれていくという。 ■ ニュー・ムーンに逢いましょう (90.11.12/2位/24.9万枚) T:「ニュームーン〜」はまた、アップテンポに戻ったは戻ったんだけども、何故か中華!という(笑)。 M:でもなんかわたしはインドっぽく聴こえた。 T:ああ、おれは中華なイメージだなぁ。間奏とか。まぁマハラジャっぽくもあるかな。 M:ジャケットがサリーっぽかったからかなぁ。 T:あ、そうでしたねこれは。 M:とにかくなんかシルクロードというか、大陸な感じ。このワールドミュージックっぽい路線っていうのは、 またしばらく「追憶のヒロイン」あたりまでWinkの路線になっていくんだけれども。 T:そうね。アイドルって結構通るよね、ワールド路線。 M:明菜とか・・・って、私多分そのラインでWinkが好きなんだと思う。 T:そうなの? M:はっきりいって。なんかエスノっぽいのを歌謡でやられると弱い。久保田早紀とかジュディ・オングも好きだし(笑)。 T:でもWinkってこの路線、あんまメインに据えなかったんじゃない? M:そうね、1年ちょっとくらい。 T:じゃあこの時期がいちばん好きなの? M:91〜92年くらいが一番ツボ。あとWinkって衣装がコスプレチックだったじゃない。それも琴線に響いた。 T:自分は・・・次の年で出てくるけども、シルクロード系とかラテンよりはやっぱりヨーロッパなところが好きだったりする。 M:あ、ヨーロピアンも大好きです。この年のアルバム『Crescent』収録の「冬の蜃気楼」とか大好きです。 T:いやでもしかし、シルクロード系であってもこの「ニュームーン〜」は大好きです、わたしは。 M:あの途中の振り付けでふーっと息を吹きかけるあそこ、萌えます。 T:また振りかい(笑)。自分はもう中華+ユーロっていうのがもう、なんじゃこりゃ、って感じで。 行くとこまで行っているという感じがすごく好きだなぁ。 M:あぁもう何がなんだかと言う感じでね。 T:ひら歌からサビ行くとことか、無茶苦茶すぎて好き(笑)。 M:結構唐突だよね。 T:強行突破ですよ。歌詞も「♪あなたに抱かれてムーン〜」とか結構無理矢理だし。 M:サビもそんなにキャッチーではないし。サビでふーっと失速する。意識が遠のくような失速。 T:ひら歌の正調ユーロが一気にこう、ヘンなことになるという、あのシフトチェンジが痺れるんすよ。 ってそんなとこに痺れる人がどれだけいるのかっていう問題になってくるな。 M:これは今もなかなか見ない珍品だよね。 T:や、だって中華ユーロポップスなんて全然ないもの(笑)。まさに珍品だなぁ。 なんかこの時期のWinkは曲にしろ振り付けにしろ、「珍」という文字が嵌まることに気づいたです。 M:「珍」かよっっ。で、これがシングルでは3作ぶりの日本人作曲家の手によるもので、こっから日本オリジナルでずっと押していくわけで。 その奇妙さで以後しばらく突っ走るともいえる。 T:「奇妙」(笑)。や、でも褒め言葉だからねこれ。 M:いや、褒め言葉ですよ。Winkにとっての奇妙は。 T:つーわけで、この年の展開っていうのは振り返るとどんなもんですか、まこりんさん的には。 M:Winkの暴走、と言う感じ。 T:はははははは。暴走かよ。 M:「Sexy〜」、「夜にはぐれて」、「ニュームーン〜」といくにつれてたがが外れていく。 T:この暴走は良かったんでしょうか。 M:私的にはオールオッケー。だってカコいいんだもん。 T:私的には、って前置きがついちゃうよねこの辺から。 M:でもWink好きはこのあたりを理解しているんじゃないかな。"だからこそWink"と。 T:そうですね。音楽的にはこの辺はすごく良い時期だなぁって思いますね。暮れに出したアルバム「Crescent」はほんとにもう、珠玉の出来で。 その前の「Velvet」もいいけど、やっぱ「Crescent」は名盤だなぁ。 M:「Crescent」押しですな、やたら。 T:うん、一番好きかもしれない。あのモノクロで寒〜い世界観がね、なんともいえず好き。 M:Winkの儚さがひとつの世界観を得ているよね。凍てついた感じがよく出ている。 T:そうですね、世界が出来上がっている。 M:その中の「Variation」なんか好きだなぁ、わたしは。荘厳な。ああいうのに弱いんだよね。 T:ゴスっぽいよね。パイプオルガンが鳴っていたり。アルバムでいうと、 WINKのひとつの世界というのは結構「Crescent」で極まっちゃったかなぁというのはある。 M:あ、でも私はそれ以降のアルバムも好き。というか「Queen Of Love」が一番好き。 「Mighty Mighty Love」とか「夜の月 昼の月」とか・・・。 T:あー「Queen〜」は個人的にはちょっと聴かない曲が混じっているかな。「泡になる」とか、好きな曲は凄い好きだけどね。 M:「Crescent」が北欧だとしたら、「Queen〜」は南欧という感じ。 T:あー確かに。エーゲ海という感じ。ヨーロッパ路線ですね、この頃は。 M:イタリアっぽい。って、アルバムの話するとキリがないので次行きましょ。 |