◆ Moonlight Serenade (88.07.01/52位/5.0万枚)
1. 渚物語
2. NAVY BLUE
3. BYE BYE BABY
4. 風の前奏曲(プレリュード)
5. DANCE WITH ME
6. 素敵に Happy Birthday
7. 朝焼けのバルコニー
8. あなたの肩に頬うめて 〜Put Your Head On My Shoulder〜
9. SUGAR BABY LOVE
10. ジャスミンは哀しい香り
◆ At Heel Diamods (88.12.01/6位/34.5万枚)
1. 愛が止まらない 〜Turn It Into Love〜
2. 悪いあなた 〜Love In The First Degree〜
3. 優しい頃を踊りたい 〜Cross My Broken Heart〜
4. 愛が止まらない 〜Turn It Into Love〜 [Remix Version]
5. Sugar Baby Love [Remix Version]
6. 冬のフォトグラフ
◆ Especially For You (89.04.26/1位/50.8万枚)
1. Especially For You
2. Baby Me
3. 硝子の心 〜Heart Of Glass〜
4. Only Lonely
5. Take Me To Heaven
6. おしゃれ泥棒
7. Remember Sweet
8. ひきとめないで
9. 優しく愛して…
10. 涙をみせないで 〜Boys Don't Cry〜
◆ Twin Memories (89.12.01/2位/45.4万枚)
1. Oh My Love (Introduction)
2. One Night In Heaven 〜真夜中のエンジェル〜 [Remix]
3. Special To Me
4. Shining Star
5. さよなら 小さなCry baby
6. 愛してる 〜Never Stopped Loving You〜
7. In Your Letter
8. 夜間飛行 〜Never Marry A Railroad Man〜
9. Joanna
10. 淋しい熱帯魚 [Remix]
11. Oh My Love
イメージカラーで言えば深い飴色。晩秋のイギリスの田舎街風といえばいいのか、トラッドで品よく暖かく、ちょっとセンチメンタル。
朝早い、枯葉の敷きつめられた舗道を白い息を吐きながら散歩している雰囲気。
Winkの世界が思い出のポップスの再構築であるならば、もっともそれが表現されているのがこのアルバム。
「Special To Me」「Shining Star」といった引きの強いタイアップソングすら、シングル化せずアルバム曲でおさめてしまうあたりに、Winkプロジェクトの高潔さを――と云ったら大袈裟すぎるか。
改めて聞くと「さよなら 小さなCry baby」から「In Your Letter」と続く一見地味に見える流れが、このアルバムの全体の印象をぐっとシックにまとめているんだなということがわかる。
「淋しい熱帯魚」の吃驚アレンジも、ジョン・レノンのカバーも、なんなく乗り越え、この成功をもって、前作によって完成した第一期のWinkの世界は早くも完結。普遍性の高い名盤です。ブリティッシュポップが好きな方は是非。9点。
◆ Velvet (90.07.11/4位/19.8万枚)
1. Sexy Music [Remix]
2. Rainy Lonely Pavement
3. 夏服のジュリエット 〜Dos Hombres〜
4. Unshakable
5. 雨に願いを
6. 銀星倶楽部 〜I'm In Mood For Dancing〜
7. あの夏のシーガル 〜Cherish〜
8. I'm Gonna Knock On Your Door
9. 贅沢な孤独
10. 月夜の真珠貝
◆ Crescent (90.12.16/6位/16.4万枚)
1. ニュー・ムーンに逢いましょう [Remix]
2. 悲しい枯葉
3. 冬の蜃気楼
4. 悪い夢
5. 真冬の薔薇
6. 雨に消えた初恋
7. Miracle Knight
8. All Night Long
9. 夜にはぐれて 〜Where Were You Last Night〜 [Remix]
10. Variation 〜さよならの変奏曲〜
当時のWinkの楽曲の良さ、それは、もしかしたら人形愛的な良さなのかもしれない。
Winkのからくり人形のようなぎこちない振り付け、不慣れゆえの緊張の無表情、多くの視聴者はそれらを揶揄したが、すぐに彼女たちはそれを逆手に取った戦略に乗り出す。
「私たちは人形である」。「One Night in Heaven」の振り付けに如実であるように、Winkは自らを「人形」だと、規定した。
その戦略はまもなく楽曲全体にも敷衍していく。架空の、どこにもない世界の音楽にのせて、どこにもない愛の歌を歌うWink。
ふたりの凶兆の影差す人形的な美しさとともに、それらの歌は圧倒的な説得力をもった。
――というわけで「Crescent」なのだが、って話が大袈裟すぎるな、おい。
はかなく繊細なお人形さんが、切ない歌を歌い、ひらひらと舞っている――というWinkのパブリックイメージに一番近いアルバムがこれなんじゃないかな。凍てつく冬の北欧といったイメージからゆっくりと架空空間へと飛翔していくWinkワールドが楽しめるはず。
「ニュームーン逢いましょう」で中華+ユーロ+歌謡曲と三国をごった煮しちゃっても、その返す刀でKissの「I was made for lovin' you」をカバーしても、破綻なく成立してしまうのは、Winkの音楽性を含めた存在すべてが、ポストモダンだから、なのだ。
彼女たちの音楽は、民族性、歴史性を超越した架空空間にあるのである。
チェンバロのイントロが切ない「冬の蜃気楼」、ギターとバイオリンの狂宴といった佇まいの「夜にはぐれて」、パイプオルガンが荘厳な「Variation」などなど、冷たく冴え冴えとした音楽空間の真ん中で、ぽつねんとして所在なく微笑む美しく悲しいふたつのレプリカントが幻視できるはず。
クラシカルなのに近未来的な人工美、これぞWink。9点。
◆ Queen of Love (91.07.10/6位/10.9万枚)
1. 真夏のトレモロ [Album Version]
2. 想い出に Good-Luck
3. 真夏の夜の夢 〜Mysterious〜
4. 一年前の恋人
5. Fun Fun Fun
6. 泡になる 〜Endless Summer〜
7. シエスタ
8. きっと熱いくちびる 〜リメイン〜
9. 夜の月、昼の月
10. Mighty Mighty Love
前作が冬をイメージしていたのと対照的に今回は真夏をイメージしたアルバムとなった――が、これがなんとも高貴。
イタリアや南フランス・ギリシアなどの地中海あたりのリゾートでのひと夏の戯れ、といったイメージで聞いていただければ。
「シエスタ」「夜の月、昼の月」とゆったりと微睡むような楽曲に、むせ返るほどの花の匂いに満ちた「きっと熱いくちびる」、宿命の厳しさのどこか感じる「Mighty Mighty Love」などなど。佳曲ぞろい。
「泡になる」の身も心も溶けるかのような典雅さは、もはやアイドルという領域を越え、官能的ですらある。「想い出に Good-Luck」「Fun Fun Fun」などの楽しげな楽曲もセレブなおねぇ様が、ちょっとだけ羽目を外しちゃった、といった態で、ありえないほど、上品。
これらの高貴で邪気のない夏の戯れを――たとえようもなく繊細で美しいお人形さんが、時に退廃的に、時に優雅に歌い、演じ、舞っていますよ、という世界。このアルバムもまた、南欧という記号の向こうにある、豪奢で妖しい"ここではないどこか"のアルバムなのである。
「Queen of Love」と「Crescent」は美しき自動人形(オートマタ)幻想によって彩られた双子的傑作といっていい。この成果を残して、彼女らはぽちりと目を開く。恋がしたい――。陶器のような肌に血が通い、体の奥に炎が揺らめき、そして次作となる。9点。
◆ Sapphire (91.11.25/7位/6.6万枚)
1. あの夜へ帰りたい 〜Step Back In Time〜
2. BIG GAME
3. 闇夜の逃亡者 〜All Night Long〜
4. 聖なる夜に帰れない
5. 世紀末も平気 〜Do You Wanna Dance〜
6. ほんの小さな勇気
7. Get My Love
8. 12月の織姫
9. Tears
10. 背徳のシナリオ
◆ Each side of screen (92.04.25/11位/6.1万枚)
1. Frou-Frou
2. ピアスの真相 〜We Can Make It〜
3. 摩天楼ミュージアム
4. 白夜
5. Like A Bird
6. 未来まで待てない
7. 霧の楽園 〜THAT'S THE WAY (I Like It)〜
8. 恋愛ギャンブラー
9. 追憶のヒロイン
10. ただ夏に恋をした
第二陣はWink名義のフルアルバム。これだけ濫作しているのにクオリティーが落ちていないのは、どういうことだ?
ボーカルも、よりいっそう表現力をまして、よりいっそう艶っぽくなっている。
ロック的アプローチをみせる「摩天楼ミュージアム」「未来まで待てない」「Like A Bird 」、モロブラコンな「霧の楽園」「恋愛ギャンブラー」(すげータイトルだな、おい)、
ラテンの「追憶のヒロイン」と、しっちゃかめっちゃかな方向性に見えて、聞いての印象は非常にまとまりがある。
これはアレンジと詞に統一性があるから、だろうな。このアルバムに漂うハードで淫靡――でありながら上品な雰囲気は門倉聡と及川眠子の手によるもの。ふたりは偉大。
全体に程よいうねりと変化がありながら、バラードが「ただ夏に恋をした」一曲だけ、という疾走感のある構成も好印象で、しかもこの「ただ夏に恋をした」が決定打的な名曲なんだよなぁ。
この「Each side of screen」と次作「Nocturne」は、心を持ってしまった人形たちの激情といった、およそ誰にも到達することのない孤高の領域に達している。もはやこれはWinkというジャンルなのだ。9点。
Winkのアルバムって、デュオだけあって双子的なアルバムが多いと思う。
「Crescent」と「Queen of Love」、「Nocturne」と「Each side of screen」。それぞれが好対一の双子アルバムだけれども、はたして「voce」は「Overture !」の続編といっていい作品になっている――というわけで、前作と同じくビートリーな60〜70年代のバンドサウンドを中心に、ほんの少し同時代性も付与させている。
着地点としては、上質なA.O.R.といったところか。
久々の門倉聡全曲アレンジで、岩里祐穂、上田知華、朝本浩文、といったあたりが新規参加陣。
どこを切ってもビートリーな「それはKissで始まった」「PLEASE PLEASE ME」、ティンパニの音色がもろにGS調の「それでもいいの」といった前作世界の延長にある作品もいいけれども、5年以上は確実に先取りしてるR&Bテイストの強い実験作にして傑作「シェリー・モンシェリ」、ファンキーな「Honey bee」、ショーコのソロ「裸足のマリオネット」が出色。
「裸足の〜」のボサノバテイストは、彼女のソロ時代への足がかりとなる。7点。
◆ Flyin' High (95.07.05/68位/1.0万枚)
1. Heavenが待ってる
2. あってる
3. JIVE INTO THE NIGHT 〜野蛮な夜に〜 [HOUSE MIX]
4. AIN'T NO BDOY 〜永遠の恋人〜
5. MY TURN 〜悲しみよりもしたたかに〜
6. 私の夏が始まる
7. 海に輝いて
8. 恋の受難にようこそ
9. これが恋と呼べなくても
10. 私たちらしいルール
11. JIVE INTO THE NIGHT 〜野蛮な夜に〜 [HYPER EURO MIX]