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メイン・インデックス歌謡曲の砦>対談 「WINK Memories 1988〜1996」 Part2


対談 「WINK Memories 1988〜1996」

〜Winkの歴史と全シングルを検証〜 【Part2】 91年〜93年




  1991年 

M:次は1991年。この年は「きっと熱いちびる」から「追憶のヒロイン」までだね。
T:唯一シングル4枚出ている年ですね。
M:うん、「追憶のヒロイン」は両A面で、臨発の匂いがあった。PVも作らなかったし。
T:アニメの主題歌(日本テレビ系アニメ「わたしとわたし〜ふたりのロッテ〜」)になったからかな? いつもの一年に3枚のリリースペースに加えて、もう1枚年末にねじこんだ感じかな。
M:そうね。それもあって「追憶の〜」だけ売上が落ちるんだけれども。
T:この年は売上でいうと、20万前後まで下がってきてはいるけどもなんとか持ち堪えてって感じですかね。
M:うん、まだ一線の格がある。
T:「真夏の〜」がちょっとだけ売上良かったのかな。
M:ここでちょっと盛り返したね。
T:うーん、この年のシングルも、「追憶〜」はあんまりなんだけどもほかの3曲は全部好きだなあ。
M:「追憶の〜」はちょっと落ちるよねぇ……。音楽的には「ニュームーン〜」から出てきたワールドミュージック志向の 1年という感じかな。ラテンテイストというか。
T:うーむ、WINKにあまりラテンは合わないかなあと。
M:えーーーっ。わたしゃ好きなのに・・・・。
T:や、「真夏の〜」みたいな作られた、人工的なテイストならいいんだけど、「追憶の〜」まで行っちゃうとサンバでしょ。超陽性でしょ。 ここまで陽性なのは合わないっ、と。
M:「追憶のヒロイン」を徹底的に認めないつもりだな。
T:あらら。またここでバトルが(笑)。
M:いや、わたしもそんなに「追憶の〜」好きでないから。あれはB面格かなと。
T:なんだ。や、なんかどっちかっつーと、やっぱりヨーロッパなWinkが好きだからさぁ。翳った感じの。
M:ヨーロッパもいいけれどもラテンも好きなのっ、わたしは。


cover ■ きっと熱いくちびる 〜リメイン〜  (91.3.20/2位/17.5万枚)
M:っていうのはまあいいとしてだ。わたしは「きっと熱いくちびる」がなんだかとっても好きなんですけれども。
T:あ、これはおれも大好きです。
M:なんか昔は退屈な曲と思っていたけれども、数年後聞き返してハマッた。サビがぐるぐるぐるぐるする・・・。
T:もしかしたら90年以降のシングルで一番好きかもしれない。ブレイク年より後の中では。
M:あーーー、わたしも1、2を争うかも。今のわたしは、これか「永遠のレディードール」かって感じ。
T:一致しましたね〜、意見が。これぞまさにその、ヨーロッパの陰鬱な、冷えた感じというか。モノクロで、煙がかった感じ。そんな世界観が出来上がりまくっている。 アレンジも上品で美しい。
M:クラシカルで陰鬱なヨーロッパ、って感じで。あとなんかこう"花びらが絶えることなく降っている"という イメージなのよ、この歌。ずーっとサビを聞いていたいというか。
T:サビは中毒性あるよね、これね。
M:でも結構売上を落としているんだよね。
T:分かってないですねまったくっ!(炎上)
M:納得いかん。見る目がないっっ。
T:これだよこれ、って感じだけどなぁ。
M:Winkだなぁ、という。
T:ひとつの到達点であるとすら思うよ、って炎上しすぎ?
M:多分、世間的な評価は全くない楽曲だと思う。
T:なにぃぃぃぃ。
M:やっぱりマニアックだし。今の今まで「きっと熱いくちびる」が好きなのは俺だけかと思っていたもの。
T:ははは。や、おれはまこりんさんなら好きと言ってくれると思っていた、ってこんなところで連帯してどうする。
M:なんだそりゃ。いやでもホントこの曲はいいです。なんか世界が閉じていて、でも息苦しくなくって。
T:まあ、売れなくても不思議ではないわな。寒〜いし暗〜いし。
M:なんかこう「安楽椅子」に座っているようなイメージ。
T:はははははは。でもこれがいいんだよ、これがー。間奏のピアノとか後半のブレイクとか鳥肌立つよ。
M:後半のブレイクは神です。ぞくぞくする。
T:こんなの聴いていいのかしら?って感じだよまったく。まあでも確かにあっちの世界に突入している感はあるかな(笑)。
M:繊細で壊れそうででも、ものすごく作りこんでいて、ゴシックで・・・巨大な水晶の城というか、そんなイメージ。とにかく、良いのよ。
T:ゴスだよねぇ。この曲は再評価希望、と。
M:こういう美しさを私は推奨していきたい。
T:と二人して炎上したところで、次いきます?
M:あ、そうだこの曲の作曲は中森明菜の「TATTOO」の人ね。関根安里。
T:そうなんですよね。
M:ただこの人の作曲が好きなだけではないかと、そんな風にも思ったりした。
T:ええっ、結局そんなことかよ!


cover ■ 真夏のトレモロ  (91.6.19/2位/22.5万枚)
M:この曲は結構分かりやすい売れ線狙いだよね。実際90年以降で有名なシングルといったら、これか「咲き誇れ愛しさよ」って感じで。
T:これは「きっと熱い〜」の揺り戻しかな(笑)。
M:スタッフが危機感を感じたのか、という。
T:さすがに突っ走りすぎたか!?という。なんかこう、突っ走ってて後ろ振り返ったら誰もついてきてないよ!っていう。
M:いや、わたしがいた。あとTSUKASAさんも。
T:ははははは。二人だけかよ。でまあ、そんな揺り戻しなのかどうかわからんけども、キャッチーな曲ですよね。
M:この曲はちょっと下品かなぁと最初思った。
T:あー、ベタベタだしね。
M:「きっと熱い〜」が好きな人だから、やっぱり。
T:この2曲で落差はすごいけども(笑)。ってか、このへんになると音がバリバリJ-POPですね。
M:そうなん?
T:なんかねぇ、そうなのよ。このハイブロウな感じが。ここからだったらズバリJ-POP!って言ってしまってもいいかな、と。
M:もう「Wink=J-POP」説は取り下げようと思っているから。いじめられたから。
T:いじめたって、そんなぁぁ!
M:まあいいんだけど。ってか工藤崇さんって、こういうわかりやすいのを作る人だからなぁ。
T:でも自分も、当時「真夏〜」はベタベタすぎてあんまりって感じだったけど、いま聴き返したら結構好きかなと。
M:このアゲアゲのハイテンションにも低血圧なWinkがいいかなと、そんな風に好きだったりする。
T:ははは、やっぱりそういう好き方なのね。
M:なんだその言い方はっっ、もう。
T:いやいや(笑)。でもこのケバケバしいシンセとか、ハイエナジーな感じが結構いいなと。
M:門倉聡さんは、船山さんと比べて悪く言えばちょっと下品だから。あざとい音使いをする。 この曲なんかまさしくそんな感じ。
T:そうね。でも門倉さんだからこそ「ニュームーン〜」やこの曲があったとも思うと・・・。
M:そうだね。この路線は船山さんには作れない。「きっと熱い〜」なら船山さんでもできるだろうけれども。
T:で、あざといというかこの音の路線でそのまま、次の「背徳〜」なんですけども。


cover ■ 背徳のシナリオ  (91.10.16/3位/19.6万枚)
M:あーーでも「背徳のシナリオ」は好きだわ。
T:これも超がつくほど好きです。もうこれだよこれと。
M:イントロのクラシックな感じとか、メロのロシア民謡な感じとか。
T:「ベルサイユの薔薇」みたいな感じですよね(笑)。
M:無駄に華麗というか、ゴテゴテの美意識、マニエリスム。歪んだ真珠という。
T:この過剰さですよ。ここまでやりきる、という。もうこのアレンジは素晴らしいっ。 ってか曲がこれ、クラシックの「クシコスポスト」じゃないですか。運動会とかでかかってるあれ。 あれをポップスにしてしまった、という(笑)。まぁ何から何まで過剰で素晴らしいです。
M:この頃のWinkは過剰に北に行くか、南に行くかという感じだよね。温帯には用はないという感じ。
T:ははは。無駄に飛び回っている。
M:その舞台設定も特に意味はなかったりするし。歌詞もわりと意味なし系で、雰囲気で読み取るというか。 こんな感じ、という。
T:これまた振り付けが凄いよね。
M:黒のコートがカッコよかった。それをぶわっさぶわっさするんだよね。
T:んで随所で腕をこう垂直に曲げて、チョップみたいにする。
M:そう、あれもよくわからん。
T:挙句スペシウム光線みたいに腕をクロスさせるという。
M:ラジオ体操チックにも見える。でもさっちんはこの振り付けが1番好きだったみたいよ。
T:へぇ。でもこのPVはおれも好きだな。あ、PVといえばこのPV、カメラ目線が全然ない! 歌い出しの1カットと、あと目線がわからない遠目のカットだとカメラ向いてるんだけど、それ以外のアップのカットは必ず目線反らしている。 アイドルのPVでカメラ目線ないって!って。
M:そんなカメラ目線なんて下品なことをWinkはしません。
T:もう完全に孤高の世界だよね。
M:作り物の高価なお人形という感じ、この頃のPVは。
T:虚構の世界という。
M:今見ると結構安いCG処理がなんだけれども。
T:ははは。安いっていうなっ。
M:それがよりヴァーチャルアイドルっぽく見えたりしない?電脳世界の住人っぽいというか。
T:ああ、PV見るとそれはありますね。作られた世界にいるアイドル、という。
M:91年のPV作品はそんな印象が強い。電子の波紋にふわふわと浮遊している画とか、Winkっぽいなぁと思ってしまう。
T:だからこの辺までは売上は落としてるし、なんだかすごい世界に突き進んでいるけれども、 Winkの世界として確固たるものが出来上がってるからいいんじゃね、という。
M:そうね。文句の付けようがない・・・ってまとめにかかる前に、最後の1曲「追憶のヒロイン」をなにも語っていませんが。


cover ■ 追憶のヒロイン/イマージュな関係  (91.12.16/5位/13.6万枚)
T:んー・・・。
M:パス1か?
T:はははは。パス権ありなん?
M:あったら使うんか!?
T:ははは・・・。いや、やっぱりこのイントロの「ウー、ワッ!」から、もう違う気がする。
M:こんなのWinkの世界じゃないやいっ、って?
T:「ウー、ワッ!」でこう、スリッパでバシッて(笑)。
M:なんだかひどい言われよう・・・。私はそこまで嫌いじゃないよ、と軽くフォローしよう。
T:いや、もうちょいフォローください。
M:こう、何をやってもWinkという、そういった盤石さにこのサンバ調もアリなんじゃないかなぁと。 これだけ出来上がっていればここまでやっても大丈夫だよね、という。
T:サンバでもWinkだぞと。まあ確かにバックトラックの陽気さと、ボーカルのローテンションぶりの落差が 妙味はあるかもしれない(笑)。
M:そういったWinkらしい面白味は出ていると思う。ともあれ俺ラテン好きだし。
T:だってピーチクパーチクホイッスル鳴ってるのに、二人いつもどおりだしな。これはこれで凄いよね(笑)。
M:うん、全然テンション変わらない。どうやろうとお人形さんです、という。
T:もう不動の域に達してきた。動かざること山のごとしというか。って適当なことばっかり言ってるなおれ。
M:もう出来上がりすぎちゃってね。という感じで、次いきましょ。



  1992年 

M:いよいよWinkの方法論が煮つまり出してきた92年。シングルは「摩天楼ミュージアム」から「リアルな夢の条件」まで。
T:この辺から私はリアルタイムの記憶がどんどん曖昧になっていくので、そこのところ読者の方にお断りしておきます・・・
M:TSUKASAさんはこの時期でファン離脱しているんでしょ。
T:そうですねぇ。なんか気づいたら離れていたな。
M:この時期になると売上も下降線の一途を辿って、「リアルな夢の条件」でぎりぎりベストテンランクインという状態。
T:ついに10万割ってしまう。
M:でもって二人のソロミニアルバムなんかもそれぞれ発売しちゃったりしていよいよもって迷走期に突入、という。
T:ああーそうだね。迷走(笑)まあ迷走だあなぁ。
M:音的にも前年末のアルバム『サファイア』あたりでブラックミュージックを導入して。
T:質感変わったよね。
M:うん。あそこでかなり変わった。
T:こう、寒〜い作られた世界からもうちょっと生身というか肉体的な感じ。
M:ちょっと生臭い女性の色気みたいなものを主張しだしたりするね。
T:人形じゃなくて、生きてますっていう。
M:歌詞もちょいエロティックなのが出てきたりと、「リアルな〜」なんてまさしくそんな感じだし。
T:不倫がテーマだったりとか、セクシャルな匂いをだしたりとか、からくり人形がいきなり生身の人間になって動き出したような。
M:さっちんとしょーこが作詞作曲をしだすのもこのあたりだし、アルバム「Each side of screen」あたりからはノイジーなギターが主張し出したりもする。
T:まあ、当時の自分は子供だったからそこまで考えてないんだけども、そういう変化を幼いなりに感じ取ったのかもしれん。
M:「Winkが変わってきた」って。
T:んで離れていっちゃったのかも・・・。ほら、二人も「ふりむかないで」っていってるし、わかった、ふりむかないよって。さよなら〜って。
M:ひどーーい。信じられんっッッ。
T:いや、しょうがないじゃん!
M:でも私はこの頃も大好きです。きっぱりといいたい。
T:や、それでこそファンだ。だからここからちょっと、自分とまこりんさんで温度差あるんで。まあ歌番組とか、ラジオとかでかかってたら聞いていたけども。
M:でも「生身の自分」や「女性の色香」というのも、ある程度作られたものなんじゃないかなぁと私は思うけれども。かなりドールっぽい感じがしたし。
T:そんなにいやらしくないよね。
M:セクシャルなドールという感じでより妖しいなと私は思ったりした。
T:ああ、妖しいって表現はぴったりかもしれない。性的っていうより、妖しい。
M:セクシャルな歌歌ってもやっぱり主体性はないわけよ。受動なわけ。それこそ「無実のオブジェ」(「リアルな夢の条件」のカップリング)で歌っているように"I'm a objet"だから。
T:すごい歌詞だなぁ。
M:あ、聞いたことない?
T:もうここからカップリング知らないのよ・・・(泣)いやでも凄い歌詞だよ"I'm a objet"って。
M:これは詞がかなりエロイです。
T:なに?エロと聴いちゃあ黙っちゃいられねえ。
M:どうするつもり?と二人して挑発しております。
T:いやそんなどうするつもり?って。あの無表情で訊かれても怖いんですが。何もしなかったら後ろから襲い掛かられそうだし何かしたらしたで怖そう。って何を言っているんだおれは。
M:Winkは"めんどくさい女"かよ。
T:ちょっと待て、この年からおれヒールになりつつあるよ!WINK愛していますよ!読者のみなさん!
M:もういいから。「摩天楼ミュージアム」の話するよっっ。
T:・・・はーい。


cover ■ 摩天楼ミュージアム  (92.03.25/4位/14.2万枚)
M:ってまぁ、そんな過渡期の92年なんですが。「摩天楼ミュージアム」は「真夏のトレモロ」などと同じド派手で絵空事のWinkってラインで、このあたりはわかるよね。
T:でもなんか音が結構ロック入ってない?
M:あーー、そうだね。この時期はロックとかブラックミュージックとかに手を染めたしもしていた。
T:あのー、すごい正直に言うと、「摩天楼〜」と「リアルな〜」は好きくないっす!すまん!
M:えーーーーっっっ。これも「リアルな夢の条件」も好きなのに。取り残された。
T:だってゲバッゲバッでしょ。
M:ってまぁあのサビもヘンなのだが。私はこの曲はWinkの派手モノ路線の有終の美かなと思ったりもする。
T:ああ、それはなんかわかる。
M:タイトルからして意味不明っしょ。
T:わけわからないよね(笑)なんのミュージアムだよという。出だしはチューチューチューチュー言ってるし。
M:なんじゃこりゃ、という。なんかよくわからないけれど勢いでねじ伏せられるという。
T:「なにがなんだか」をパワーで押し通すというWINKイズムがあるよね。
M:なんか知らないけれども1曲終わっていたという。
T:ははは、や、WINKってそういう感じかも。
M:「夜にはぐれて」以来の意味不明路線がこれでひとまず完結したかなという感じがある。
T:ああ、そんな感じかな。この後のシングルみてもここまで「???」な世界って出てこなくなりますね。
M:うん。以降はこの勢いというのはなくなる。
T:こう、シングルの流れ的に「?」っていうのはあるんだけども、一曲の中で「なんじゃこりゃ」ってのはなくなっていく。ここまでは「WINKの世界」ということで成立しちゃっているんですよね、その意味不明な世界が。
M:ツッコミどころがもりだくさん過ぎて「もういいや」とリスナーに思わせる世界はここまでだよね。
T:ははは。誉め言葉だからね、これ全部。
M:褒め言葉です。ってなんかその言葉を免罪符に好き勝手いっているような気がさっきからする……。
T:怒られるだろうか。
M:まぁいいでしょ。
T:うーん、でも自分はいま聴き返してもこの歌謡ロックっぽいアレンジがやっぱりあんまり好きでないかな。
M:私は歌謡ロックも大好きです。
T:や、好きなんだけどさぁ。
M:なんか煮えきらんなぁ。
T:WINKだとどうにも現世に降りてきてしまったような寂しさが。
M:こっから先はその思いこみを捨てなさいって。
T:なんか洗脳されつつある。


cover ■ ふりむかないで  (92.07.22/7位/13.2万枚)
M:て、まぁ「摩天楼ミュージアム」でひとつの終わりだったわけだけれども、次が「ふりむかないで」ザ・ピーナッツのカバー。
T:これまた唐突な・・・
M:ただ1度はピーナッツをやりたいというのはプロデューサー的にはあったと思うよ。
T:まぁそうだろうね。
M:それがこの時期というのが迷走期たるゆえんなんだけれども……。
T:初期でやっちゃいそうなもんですけどね。わかりやすいし。
M:うん。「アマリリス」の次くらいにやってもおかしくない。
T:そそ、その流れだと凄く自然。それだと「アマリリス」のほうももっと自然だし。で、ここでこれというのはやっぱテコ入れですか?さすがに売上が目減りしていたし。
M:それはあったと思うなぁ。でも思ったよりも成果はあげられずって感じでない?
T:そうですね。売上も「摩天楼〜」より少し減ったぐらいでキープはしたけども。
M:上向きにはならなかった。個人的にはこの時点でWinkの解散ってのもあったんじゃないかなぁとわたしは思ったりする。
T:その話になると、ちょっと重〜くなっちゃいますね、なんだか。
M:この後のアルバム「Nocturne」のラストが「ふりむかないで」→「時計を止めて」なのね。「時計を止めて」っていうのはジャックスのカバーなわけよ。
T:おおおぉぉ。
M:ここで原点がふたつ並んで「おしまい」っていう形ってあまりにも綺麗でない?
T:終わり方としてはあまりにも完璧ですね。
M:この時点で水橋春夫がWinkでやりたいことはやりつくしたかなという感があったわけ。
T:や、でもここで解散してたら「シェリー・モンシェリ」聞けないからさ(笑)。
M:ま、「シェリー〜」名曲だしね。それは聞きたいと、続けたいと。
T:おおっ、一致した。ってまぁそれはいいとして。詮無い話だけど、これへんの時期、そういう解散って考えてたのかな。
M:ある程度1回行きすぎたベクトルを戻そうというのはあったと思うんだよね。船山基紀がアレンジャーとしてまたこの時期チラッと出てくるし。


cover ■ リアルな夢の条件  (92.10.21/10位/9.0万枚)
M:「リアルな夢の条件」も成熟した大人の色香を歌謡ロック的なサウンドで表現するというやり方はわかったけれども、成功はしなかったわけだし。
T:や、だから「摩天楼〜」→「リアルな〜」だったらまだわかりやすいんだけど。あいだに「ふりむかないで」がある。いっこ余計なのが挟まっている。
M:そうね。
T:やっぱちょっと迷走期かなぁと。ちょっと集中力が切れてきたのは否めないと。
M:全体としての方向性を持っていないよね。本当に模索しているという感じ。
T:もうどう受け止められようがこっち行くんだっていう勢いはちょっと失われてしまったかな。
M:だからこそソロアルバム出して解散って流れもあったかなと思えたりするわけで。この「リアルな夢の条件」のエロテッィクで妖しい世界も好きなんだけれどもホントこの時期だけのもので傍流という感じ。 ちょっと評価をどこに置くかというのが難しい。PVもなんかちょっとこれだけ毛色が違うし。
T:そうなんだ。
M:うん。作り物の架空アイドル感がゼロ。
T:このシングルもイレギュラーな迷走の産物と。
M:という気がする。明菜の「TATTOO」とかあのあたりのラインを目指していたのかな、と思ったりはするけれど。扇情的なレプリカントというか。
T:これもサビがどうも・・・。「どぅゆのー どぅゆのー」て、ってまたヒールになってしまうな。
M:ヒールになっちゃってよ。
T:や、一言でいうと、なんかWINKなのに下品。ってああああ怒られる。
M:明菜の「TATTOO」みたいにエロティックなのに架空感がただようってところまではいきついていない感じ?
T:んー「TATTOO」はやっぱり明菜様でこそ、という感じだなあ。「挑発する」ってのが堂に入ってないというか。
M:ああいう高慢さはWinkには似合わんと。
T:いやあ、おれ印象悪いなこれ。ヒールだな。
M:気にし過ぎだっての。
T:や、この年自分の中で最も谷間だから〜。次行きましょ次!
M:はい。


  1993年 

M:93年、「永遠のレディードール」から「咲き誇れ愛しさよ」。
T:この年はまた、3曲みごとにバラバラですけども。
M:迷走から路線変更成功って1年だね。


cover ■ 永遠のレディードール  (94.02.17/19位/6.9万枚)
M:まず「永遠のレディードール」は最後の模索期という感じがする。久しぶりの洋楽カバーでシングルには「One Night in Heaven」以来の船山基紀の編曲。
T:「永遠のレディードール」!!これだよこれ。
M:これこそWINKという感じだよね。
T:まあ「きっと熱いくちびる」に比べると選曲勝ちという気がしないでもないけども。 これはもう原曲からしてからがさむ〜い陰鬱なヨーロッパ・テクノでこれはWINK絶対ハマるよな、という世界。
M:PVもモノトーン一色で、これだよね、という。
T:モノトーンですよねぇ、これは。それを見事に船山先生が料理、という。
M:これは船山だからというアレンジだよね。
T:打ち込みだけどなにやら荘厳な感じ、上品。
M:結構ドラムとかバタバタいってシンセの上モノはごちゃごちゃしていて、テンポも速めなのに、不思議と全体の印象はゆったりめで上品でシックなんだよね。聞くたび不思議。
T:ピコピコいってるんだけどね、結構。
M:そう。なのに全然うるさくない。
T:二人の歌いっぷりもいいと思いますよ。囁くような壊れてしまいそうな儚い世界。
M:雨音のように繊細な歌声なんだよね。
T:あーそんな感じ。
M:これ歌詞もすごく好きでさぁ「魂抜かれた人形の私は ただたださまようだけ」の部分とか。
T:「涙のねじだけが くるくる回っている」だもんなぁ。
M:もう「お人形のウインク」そのもの。
T:ザ・WINKでしょって感じ。
M:いらなくなったおもちゃ捨てるように捨てられるわけですよ、Winkが。
T:Winkがかよ!だめじゃん!
M:高級なフランスからくり人形のWinkが捨てられて雨ざらしになっているという感じ。で"るばるば"ってつぶやくわけですよ。
T:おいおいおいおい。
M:最後のわずかに残った電池で、最後にひとさし舞うわけですよ。
T:んで「♪ もう踊れないの〜」切ねぇ〜。
M:だってもうすぐ電池が切れちゃうわけだから。
T:「誰か止めて  言えないまま 壊れていくだけ」っても悲しすぎる。
M:捨てられたお人形さんだから歌のイメージは。もうねえ歌うレプリカント路線の究極だよねこれは。
T:しかしこれは久々に、この世界をやるんだっ!って曲ですよね。
M:ただこれは「最後にやっておこうか」ってってことだと思う。リセット前にもう1回やってみましたという。
T:最後にかよ!甲子園の思い出代打じゃないんだから。
M:船山、洋楽カバーでお人形路線ってこれ以降出てこないわけじゃない。ある意味原点回帰前に「しめくくり」としてやるという、そんな風にわたしは理解している。売上的にはついにベストテンランクインならずになったわけだし。
T:いやぁ、もうこれだろ、って感じだけど売上に全然結びついてないのがねぇ、どうにも。
M:客観的にいってこれはもう趣味の人だけの世界になっているよ。
T:ははは。私達みたいなですか。
M:はい。だって当時から既に「売れねぇだろうな」と思ったもの。
T:いやあまあね。世間に向けて"るばーるばー"を味わえよつってもね。やっぱ意味不明だし。
M:一般には訴求力ないでしょ、これは。
T:当時のヒットチャート考えたら余計ね。アゲアゲでカラオケな曲全盛だから。
M:「淋しい熱帯魚」の頃だしてもヒットは難しいかも。こういう引きの技術で見せるのはムリです。
T:いやぁ最高なのになぁ。
M:「Winkとしては」この曲は完璧だよね。ともあれ「愛とま」以降の路線の最後の一花という感じかな、この曲は。ここでまた大きな段落があるという感じ。


cover ■ 結婚しようね  (93.05.26/15位/7.5万枚)
T:次がまた「結婚しようね」というガラッとハンドル切る。
M:「つよししっかりしなさい」主題歌。コミカルで前向きポップスという今までにないWINKを提供しようとした。
T:これはもう、アニメという前提で描かれたのかな?
M:それはあるだろうな。「つよし〜」は「ちびまるこちゃん」の後番組だったし、多少は狙ったのかも。
T:ああそうだったっけ。
M:すぐ「ちびまるこちゃん」にもどったけれども。
T:WINKにしては、結構冒険作じゃない?
M:うんかなり。
T:オールディーズってキーワードで繋がってはいるんだけどここまで明るい曲ってなかったし、でもこれわりと好き。
M:タッタタラリラとか、リンリンランランソーセージとか、前番組が歌でヒット飛ばしていたから、そういうコミカルお茶の間ラインを狙っていたのかも。
T:だってWINKが「まーままままよなか電話でかれ〜」だもんな。
M:陰鬱に曇っているのがウインクでしょーーっという私は受けつけなかった。
T:いわれてみると、「鯨と相談してた〜」っていう突飛な歌詞って「ちびまるこ」の歌に通じてるかもしれない。「♪ お鍋の中からいんちきおじさん登場」みたいな。
M:「ちびまるこ」の後番組の主題歌と思うと全体的に割と納得するところがある。
T:まあWINKが歌の中で「キミ」っていうとは思わなかったよね。
M:もう今までの世界観は全部なかったことです、というそんな潔さすら感じる。
T:アニメソング、っていうエクスキューズがあるからまだね。それもなかったら相当びっくりするよね。
M:そうね、それになしでここまでは出なかったでしょうよ、やっぱり。シングルの中でもこれだけ異端だし。
T:でもね、さっきも言ったけど「オールディーズ」っていうキーワードでかろうじて繋がっているから結構、これはこれで・・・って感じも。
M:みとめちゃうぞと。
T:まあ「永遠の〜」の次がこれって迷走と言わざるをえないけども。


cover ■ 咲き誇れ愛しさよ  (93.09.08/10位/33.7万枚)
M:「咲き誇れ愛しさよ」。
T:ビーイングだねぇ。
M:ここでビーイングの手を借りて本格イメチェン。
T:作詞大黒摩季、作曲織田哲郎。
M:化粧品のCMソング。
T:売りにきてますね。
M:完全狙っています。
T:まあなんか、大黒摩季が歌っても全然いいような。
M:それをいったらもともこもない。「結婚しようね」「咲き誇れ」あたりからもうJ-POP的だなと私は思ったりする。 「永遠の〜」あたりまではWink路線としかいいようがないけれどもこっからは結構取替えのきく世界に入っていく。Winkでなければという必然はなくなっていく。
T:咲き誇れはもう完全J-POPですよ。まあでもそれが今度は売上に繋がったわけだけれども。
M:「笑顔のWink、自然体のWink」って感じで衣装もフツーのそこらへんにあるシャツとか着だして、写真の二人も自然に笑ってたりなんかして。
T:CMも普通に自然体なかんじでしたよね、白いシャツで。
M:でもそれってTSUKASAさん的にはどうだった。
T:うーん。この頃もうちょっと離れていたから。でも売れてるらしいから良かったなぁと思いつつもWINKこれで行くのかなぁ、っていうモヤモヤは拭いきれず。
M:わたしはこれがWinkを定価で買った最後になった。
T:そうなんだ。
M:ゴテゴテでゴスな衣装で虚構の透明で儚い世界でないWinkなんてやだなぁって思って。自然体なんて彼女らに求めていないよ、と。そっから「ひとまずきくけれども……」という姿勢。
T:うん、まあねWINKの世界を堪能しろ、という感じではないよね。どうしてもこう、曲に乗っかってるだけというか、WINKである必然性みたいのはあんまり。
M:そこがね。今まで追っかけてきたファンとしてはちょっと、という。
T:売れたんだけどね。
M:でも今見るとこの代えのきく感じがJ-POPだなと思ったりする。
T:うん。でもさ、これで売上大きく戻したのに、この路線引き継がなかったでしょ。不思議なんだけども、なんでですかね。
M:ビーイングでひっぱらなかったってこと?
T:そそ。
M:それはホントなんでだろ。でもやっぱり完全に外部発注だったからってことなんじゃないの?純粋に。
T:これは最初からイレギュラーだっていうことかな。
M:うん。ポリスターのスタッフによる制作でなく、あらかじめビーイングに丸投げという、そういう制作だったんでないかな。
T:それにしても次が・・・次にかかってしまうけども、フォークだからね。
M:うん。
T:売れたけどこれは違う、という判断があったのかな。
M:あらかじめ「咲き誇れ」は企画という前提があってフォークで行くのはもう前からきまっていたんじゃないかな。
T:そっか。
M:アルバムは『アフロディーテ』から少しずつ生音重視の作りに変えてきているから。
T:なるほど。あくまで「咲き誇れ〜」はイレギュラーであったと。
M:なんでないかなぁ。このあたりはアルバム聞いてないとわかりづらい流れだよね。
T:そうですね。シングルだけみるとね、結構起伏激しいという。
M:「咲き誇れ〜」のB面も結構フォーキーだし、やっぱイレギュラーでしょ、ここは。
T:そっか。でもそれでよかった気もする。
M:ひとまずここから音の作りを変えるにあたって「新生ウインク」っていう旗印は必要だったわけで、そのためヒット目的に1回限りのビーイング起用ってことになったんじゃないかなぁ。
T:なるほど。結構この後は好き放題やっていくと。
M:ていうか新たなWinkの確立を目指すと。「ふりむかないで」から「咲き誇れ〜」まではリセットのための1年という印象をわたしは受ける。もういっかい「Suger Baby Love」の頃に戻るための1年。
T:ああ随分荒療治というか(笑)それが必要だったのね。




改訂 2008.12.22
2005.05.15
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