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さくさくレビュー 河合奈保子 シングル編



今、彼女に関して思うことは、事務所の先輩の岩崎宏美をお手本に、彼女の衣鉢を継ぐに充分な歌唱力をしめす楽曲をリリースし一定の成功を収めながらも、なぜ岩崎宏美ほどの一般層へポピュラリティーは得られなかったのかなあ、ということ。

彼女を語る数少ない言説にしても、結局彼女のアイドルとしての魅力ばかりが先行して、その類稀な歌唱力について言及するのは、こういったネットのファンサイトや歌謡曲サイトなどと非常に限られた場だけだし。
ということでちょっと岩崎宏美と河合奈保子を比較してみる。

岩崎宏美には大きく分けて三つの代表曲があるように見える。

1. 「ロマンス」……アイドル時代の代表曲
2. 「思秋期」……アイドルから大人の歌手への掛け橋となるバラード
3. 「聖母たちのララバイ」……本格派ボーカリストとしての完成たらしめる壮大なバラード

この3段階のホップ・ステップ・ジャンプで、歌手としての盤石のポピュラリティーを得たのが岩崎宏美に見えるわけ。で、これを河合奈保子にあてはめると……

1. 「スマイル・フォー・ミー」
2. 「けんかをやめて」
3. 「ハーフムーン・セレナーデ」

って流れになるんだけれど、3番目、1番重要な仕上げの「ハーフムーン・セレナーデ」が「聖母たちのララバイ」と比べるとヒットとしてあまりにも小粒に見える。
確かに「ハーフムーン・セレナーデ」は彼女のなかで指折りの名曲だし、セールスも前後のシングルよりも上だし、一定の成果はあったのだろうけれど、「聖母たちのララバイ」のような今までのイメージの更に上をいく圧倒的な存在感をリスナーには与えるというところまでは残念ながらいたらなかったように見える。―――事務所のレコ社も「ハーフムーン」に関しては色々と大ヒット狙いでそうとう仕掛けていたように見えたんだけれどね。
ゆえに「アイドル」というイメージから脱却できなかったのでは、というのが私の見立てである。 岩崎宏美が色々ありながらも現在も歌手活動を続けている一方、後輩の河合奈保子はレコードセールスの低迷と共にリリース作品も少なくなり、結婚を期に芸能界引退。現在のふたりをわけるきっかけはここなんじゃないかなぁ。 (―――ちなみに他の奈保子の楽曲を宏美であてはめるとすると、「エスカレーション」は「シンデレラハネムーン」、「十六夜物語」は「家路」って感じでしょうか。)



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 大きな森の小さなお家  (80.06.01/36位/7.6万枚)
 作詞:三浦徳子 作曲:馬飼野康二 編曲:馬飼野康二

メルヘン調でありながらその実、セックスそのものみたいな淫靡な詞が印象的なデビュー曲。 ふくよかな肢体とあどけない幼い顔というロリータ的アンバランスは「初期イエローキャブ系」か。このアンバランスさがこの意味深な詞をひき出したと見る。 売上は揮わなかったが、知名度は高し。代表曲のひとつ。6点。


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 ヤングボーイ  (80.08.25/13位/18.9万枚)
 作詞:竜真知子 作曲:水谷公生 編曲:船山基紀

ひら歌で低く物悲しく歌っておいて、サビで爽やかな転調するというアイドルポップスの基本のようなそつない出来。今の耳で聞くとアニソンのようなベタ感が強い。 これで「ザ・ベストテン」初登場。80年組新人賞争いの一角に食いこむところまでいった。6点。


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 愛してます  (80.12.10/14位/18.0万枚)
 作詞:伊藤アキラ 作曲:川口真 編曲:船山基紀

「なんでヨコハマ(←カタカナがポイント)やねん」とツッコムことしきり。この時期の彼女には「ヨコハマ」は舞台装置としてアダルト過ぎるでしょう。結果、歌謡曲の名曲の宝庫である「ヨコハマ/ヨコスカ歌謡」の一角にはもちろんならなかった。 「ザ・ベストテン」では3週11位で結果ランクインせずと涙を飲む。5点。


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 17才  (81.03.10/11位/19.1万枚)
 作詞:竜真知子 作曲:水谷公生 編曲:船山基紀

説明調の歌詞が陳腐だなぁ。とはいえ初期の彼女の魅力を感じるサビ部分はなかなか。 小娘がはしゃぐようにぴょんぴょんはねる初期奈保子唱法が前にでてくるのはこのあたりかな。 とはいえ南沙織の「17才」を食うほどの名曲とはならなかった。6点。


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 スマイル・フォー・ミー  (81.06.01/4位/26.0万枚)
 作詞:竜真知子 作曲:馬飼野康二 編曲:大村雅朗

これは「17才」の発展版だな。彼女の初期の魅力が詰まった代表曲。明るく爽やかで小細工なしの直球アイドルポップス。この曲で「紅白歌合戦」初出場、「ザ・ベストテン」は常連、奈保子はトップアイドルの仲間入り。以降、奈保子の勝負シングルは6月リリースという形になる。7点。


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 ムーンライト・キッス  (81.09.01/11位/16.1万枚)
 作詞:松本礼児 作曲:馬飼野康二 編曲:竜崎孝路

「スマイル・フォー・ミー」の秋版というところか。しかし、秋っぽいしっとり感は出なかった。カスタネットという飛び道具も効をなさず、微妙な仕上がり。この時期、奈保子はNHKで舞台のセリから落ちて大怪我をしてしまう。好事魔多し。5点。


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 ラブレター  (81.12.05/11位/21.2万枚)
 作詞:竜真知子 作曲:馬飼野康二 編曲:若草恵

この曲といえば「夜のヒットスタジオ」での親衛隊を後に従えた涙涙の復帰歌唱が印象に残っている方も多いだろう。 スピィーディーなアレンジは若草恵によるもの。「17才」→「スマイル・フォー・ミー」と続いた、初期奈保子路線の決定版のような完成度の高い楽曲だが、ファン以外での認知度は意外と低い。7点。


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 愛をください  (82.03.10/7位/17.7万枚)
 作詞:伊藤アキラ・松宮恭子 作曲:松宮恭子 編曲:若草恵

若者の直球の恋の歌を歌ってハマる奈保子だが、直球過ぎてこれは思いこみの世界に突入。とはいえBメロの部分とか結構好きなんですけれど(聞き覚えが妙にあるんだよなぁ、何がお手本なんだろ)。 マイナーな感情を歌うと売上が下がるのがこの時期の奈保子なのか、見事に谷間である。6点。


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 夏のヒロイン  (82.06.10/7位/21.5万枚)
 作詞:竜真知子 作曲:馬飼野康二 編曲:若草恵

やったね。奈保子のサンバ歌謡。「スマイル・フォー・ミー」以来の底抜けの陽気さが良く、売上も伸びたし「ザ・ベストテン」では第3位まで上昇した。この曲の成果をもってアイドル第1期を卒業、以降少しずつ路線変更していく。 これまたファンの人気のわりには一般への浸透度は微妙な曲っぽいけれど、どうでしょ。8点。


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 けんかをやめて  (82.09.01/5位/21.5万枚)
 作詞:竹内まりや 作曲:竹内まりや 編曲:清水信之

アーティスト路線の第1歩。ニューミュージック勢とのコラボによって奈保子は大人の階段をあがっていく。第1弾は竹内まりやお得意のハチロクもので勝負。結果、売上は「夏のヒロイン」とほぼ同数で、「けんかをやめて」は彼女の代表曲に。この時点で路線変更は大成功。7点。


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 Invitation  (82.12.01/8位/18.0万枚)
 作詞:竹内まりや 作曲:竹内まりや 編曲:大村雅朗

竹内まりや、連投。正直いって二番煎じ感はいなめない。悪くはない、といったところ。売上もそんな感じで、前作の8掛けくらい。それにしても「ペナントだらけのあなたの部屋」って。ここで絶妙なダサめキーワードをさらっと出すところが竹内だな。ユーミンなら死んでも彼女の美意識が許さないだろうし、みゆきならもっとしみったれる。6点。


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 ストロー・タッチの恋  (83.03.01/9位/14.2万枚)
 作詞:来生えつこ 作曲:来生たかお 編曲:若草恵

この年の正月に出した『あるばむ』で初の首位獲得、ということでそのアルバムを半分担当した来生姉弟が登板。そつなく結構いい出来です。「青空が回るほど私を抱きあげて」なんてところは他の歌手なら嘘っぽく聞こえるが彼女が歌うとハマる。 ただ、初夏の渚を舞台にするにはリリース時期が早すぎたんじゃないかなぁ。 売上がじりじり下がっていくのにあせったスタッフはこのソフトタッチの中庸ニューミュージック路線から変更を画策する。7点。


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 エスカレーション  (83.06.01/3位/34.9万枚)
 作詞:売野雅勇 作曲:筒美京平 編曲:大村雅朗

奈保子は毎年恒例の夏の勝負曲で大胆なイメージチェンジを図る。ということで、ポップス職人筒美京平の手によるディスコ歌謡「エスカレーション」が出来あがったわけだが、今の私の耳での率直な感想を言うと「この曲結構もったりしている」。なんかまだ音の全体が引き締まっていない、というか。 正直言って当時の歌番組などでの生のブラスやストリングスで演った音のほうが好きだったりする。とはいえ彼女最大のヒットを記録、が、ダントツの代表曲という印象はない。7点。


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 UNバランス  (83.09.14/4位/20.1万枚)
 作詞:売野雅勇 作曲:筒美京平 編曲:大村雅朗

筒美センセのディスコ挑発路線は続く。これはいい。「エスカレーション」の成功で本格的にこの路線を推し進めることをスタッフは決意したのか、音に迷いがない。「エスカレーション」をぐっとタイトにしたら「UNバランス」ができたって感じ。「情熱物語」のモロパクじゃん、なんて声は私の耳には届きません。ええ、届きませんとも。8点。


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 疑問符  (83.12.01/4位/19.2万枚)
 作詞:来生えつこ 作曲:来生たかお 編曲:大村雅朗

今度は本格バラードに挑戦。83年はハードルの高い楽曲ばかりを奈保子にぶつけるスタッフだが、これも難なくクリアでしょう。奈保子さん、思いこみたっぷりで歌いこんでおります。 来生えつこの詞が抽象的過ぎるかなぁ、というのはあるけれど、充分な出来。ちなみに「エスカレーション」以前にできあがっていた曲だそうだ。7点。


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 微風のメロディー  (84.03.01/7位/14.8万枚)
 作詞:尾崎亜美 作曲:尾崎亜美 編曲:大村雅朗

中庸ニューミュージック路線に再び挑むがリベンジ成功せず。サビで盛り下がるような変な作品。尾崎亜美ってそんなに悪い作家じゃないんだけれどなぁ。「天使のウインク」のようなわかりやすい楽曲を奈保子にどうして渡さないかなぁ。 ちなみに84年のリリースパターンはNM系中庸ポップスで失敗→挑発路線でなかなか→更なる挑発で成功→バラードということで83年とまったく同じ。6点。


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 コントロール  (84.06.01/7位/15.0万枚)
 作詞:売野雅勇 作曲:八神純子 編曲:鷺巣詩朗

サビのド迫力のフルパワーロングトーンに驚き。後期奈保子歌唱はこのあたりで完成かな。ドスききまくってます。 歌唱力披瀝重視の八神純子の符割りの大きいメロにビシバシ打ちこみの鷺巣詩朗というこのアンバランスがジョン・スタンレーと出会ってからの八神スタイルであって、このシングルもそんな出来。 ちなみにここから1年間、3ヶ月毎にアルバム・シングル同時リリースという濫作に奈保子は打って出る。そのせいか、各作品の売上は見事に右肩下がり傾向となる。8点。


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 唇のプライバシー  (84.08.28/4位/12.4万枚)
 作詞:売野雅勇 作曲:筒美京平 編曲:鷺巣詩朗

挑発路線の完成形。筒美センセのメロは無駄な部分がなくタイトだし、鷺巣詩朗のアレンジは計算し尽くされた小技が効きまくってるし、売野センセのちょっと不良よりの小娘描写も絶妙。前作は奈保子の歌唱力披瀝重視の作品だったけれど、これはトータルの魅力で勝負するような作品。文句なしの出来。9点。


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 北駅のソリチュード  (84.12.05/6位/11.2万枚)
 作詞:売野雅勇 作曲:筒美京平 編曲:萩田光雄

イントロが笑っちゃうほど「ケアレスウィスパー」なのはあまりにも有名だが、それだけの曲ともいえる。同時発売のアルバム『さよなら物語』にもっとシングルになりそうな曲がいっぱいあったと思いますが……。 ちなみに元ネタの「ケアレスウィスパー」を当時、西城秀樹が「抱きしめてジルバ」としてカバー。「ザ・ベストテン」で同じ週に2曲がランクインというのもあった。この密かな兄妹対決は総売上では秀樹、最高位では奈保子に軍配が上がった。6点。


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 ジェラス・トレイン  (85.03.05/6位/9.6万枚)
 作詞:売野雅勇 作曲:筒美京平 編曲:萩田光雄

筒美センセイ、これは奈保子向けにかなり自由に作ったでしょう。奈保子ほどの基礎力がないと歌いこなせない超難易度を誇る楽曲。
とはいえ難しすぎて、奈保子の咆哮にぐっと来るファンにはいいけれども、一般ユーザーにはキャッチさに欠けるような気がしますが。大橋純子の方向に行くのか、と思わせるそんな不安な1曲。7点。


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 デビュー 〜Fly me to love〜/マンハッタン・ジョーク  (85.06.12/1位/16.1万枚)
 作詞:売野雅勇 作曲:林哲司 編曲:鷺巣詩朗

後輩、菊地桃子の面倒をみている林哲司が「奈保子の面倒も久しぶりにみてやっか」といって書いたかどうかは定かでない。ともあれ筒美センセの挑発路線も札を出し尽くした感があったのでちょうどいい転換だったかもしれない。これが吉と出て初のチャート1位獲得。初期のファンも納得の爽やかさと明朗さがセールスを伸ばした要因ではなかろうか。 ちなみにタイトルと歌詞の関連性はまったくない。ただデビュー5周年の曲だから「デビュー」というそれだけ。「マンハッタン・ジョーク」は劇場版「ルパン三世」のテーマでもちろん作曲は大野雄二。ハードボイルドタッチの佳曲。2曲で8点。


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 君は綺麗なままで  (85.08.07/24位/3.8万枚)
 作詞:荒木とよひさ 作曲:チト河内 編曲:チト河内

「夏ざかりほの字組」のToshi&Naoに対抗した、わけではないNAO&NOB。奈保子が長年勤めた「ハウス とんがりコーン」のCFソングだったと記憶する。ちなみにNOBは元トランザムの高橋伸明。 彼のアニソン風のおっとこるぁしい痛快な歌いっぷりに注目。ってそこ以外に特にいうべきことが……。ま、企画盤なんでこんなもんです。セールスもセールスだしね。5点。


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 ラヴェンダー・リップス  (85.10.03/5位/9.1万枚)
 作詞:売野雅勇 作曲:林哲司 編曲:萩田光雄

今度は林哲司でニューミュージック路線にリベンジ。とはいえこれも撃沈。「デビュー」での1位は一瞬の奇蹟に終わる。丁寧なつくりでキラキラしているけれどもシングルに足るフックがあまりにもないのではなかろうか。全体的に焦点がぼんやりしすぎている。 私はB面の「I'm in Love」がA面にしたほうがよかったと思うぞ。6点。


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 Through The Window 〜月に降る雪〜  (85.12.12/7位/7.7万枚)
 作詞:売野雅勇 作曲:Peter Beckett 編曲:Tom Keane & Humberto Gatica

ロス録音のアルバム『9 1/2』と同時リリースのシングルでアルバムと同じく作家陣はあちらさん。 ノイジーなギターが全面でフィーチャーされていて、いままでのシングルのなかで1番ハードな出来といえる。サビらしい盛り上がりはないが、それで充分成り立っているところがいかにも洋楽だな、と。奈保子は相変わらず吼えております。発売しなかった12inchバージョンが個人的には結構好き。8点。


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 涙のハリウッド  (86.04.01/7位/6.2万枚)
 作詞:売野雅勇 作曲:林哲司 編曲:萩田光雄

狙いは『「デビュー」ふたたび』なのか。思わず海外旅行に行きたくなるような林哲司の爽やかなポップスだが、「デビュー」のような売上アップにはつながらなかった。 とはいえ、どこにも悪いところの見つからない楽曲。この85年後半から86年という時期はおにゃん子ブームで先行する80年、82年デビュー組が軒並み売上を落とした時期でもある。8点。



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 刹那の夏  (86.07.24/10位/4.6万枚)
 作詞:売野雅勇 作曲:筒美京平 編曲:船山基紀

これぞ「売野'Sクオリティー」といいたいようなしゃらくさい当て字の詞がなにより印象的。さらにラテンテイストをさりげなくからませながら、盛り上がりもなく意味深なままにさらっと流れていくトラック。渋すぎる。ヒット狙いでないことは確実。でも個人的には好きだな、これ。 アルバムでいえば『スターダスト・ガーデン』あたりに近く、他のアイドルの歌で言えば本田美奈子の「暗闇に緋いドレス」に近いかな。8点。


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 ハーフムーン・セレナーデ  (86.11.26/6位/8.4万枚)
 作詞:吉元由美 作曲:河合奈保子 編曲:瀬尾一三

作曲家・河合奈保子の誕生であり、ボーカリスト・河合奈保子の完成でもある。涙溢れるに任せたままのような奈保子の絶唱は聞くべし。 彼女のシングルで1番の名曲ってこれなんじゃないかなぁ。ファン以外の浸透度は低いけれども是非とも聞いていただきたい1曲。それにしても「大きな森の小さなお家」を無邪気に歌っていた少女がこんなに成熟した「女の歌」うたいになるとは。10点。


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 十六夜物語  (87.07.24/10位/5.7万枚)
 作詞:吉元由美 作曲:河合奈保子 編曲:瀬尾一三

「ハーフムーン・セレナーデ」を和風に仕上げてみましたという感じだが、これも名曲。とはいえ、これはほとんど演歌に聞こえる。石川さゆりとか長山洋子あたりの情念たっぷりな演歌歌手に歌いついで欲しいよなぁ。 ちなみにここまでが彼女のベストテンヒット曲である。9点。


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 悲しい人  (88.03.01/21位/1.8万枚)
 作詞:吉元由美 作曲:河合奈保子 編曲:高橋千治&NATURAL

スタンダードっぽい路線で過ぎし青春の日々を思うという、これまた切ないいい曲なのだが、自作をするようになってリリースペースが落ちたからなのか、3作続くバラードであきられたからなのか、売上が一気に下降する。もったいないなぁ。7点。


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 Harbourlight Memories  (88.07.21/18位/2.5万枚)
 作詞:公文健 作曲:河合奈保子 編曲:小林信吾

ということで、ひさしぶりのアップテンポで奈保子らしい明るい楽曲。これでほんの少し売上を戻す。ただ自作のアップテンポでメジャーモノはワンパターンなんだよね。 「ロードサイドダイナー」とか「夢見るコーラスガール」とか「黒髪にアマリリス」とか、わたしにゃ同じに聞こえますよ。6点。


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 愛のセレナーデ  (88.08.25/24位/2.0万枚)
 作詞:播偉源・吉元由美(日本語詞) 作曲:河合奈保子 編曲:矢野立美

これは起死回生の企画だったのだろうか。既に日本でも大スターであった香港の星、ジャッキー・チェンとのデュエット。まぁ、たわいのない出来。
この曲のリリースからしばらく二人はワイドショーでも話題を振り撒いたがこの噂が事実であったかどうかは、いまいち判然としない。ちょっと政治的な匂いのするそんな1曲。5点。


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 悲しみのアニバァサリー  (89.11.10/74位/0.4万枚)
 作詞:さがらよしあき 作曲:河合奈保子 編曲:ユタカヨコクラ

売上が地を這う状態で、歌いだしいきなり「あの日を忘れない」などといわれると、すわ引退か、などと思ってしまう。 そんな終末感、「今まで応援してくれてありがとう」感がいっぱいの1曲。いい曲だからこそ尚更「蛍の光」に聞こえる。 相継ぐ歌番組の終了と売上の低迷でその後の彼女は2時間ドラマなどの活動にシフトしていく。8点。





2004.11.03
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