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y メイン・インデックス歌謡曲の砦>全シングルレビュー 工藤静香


全シングルレビュー 工藤静香



実は私の年代(70年代後半生まれ)ってのは工藤静香ベタはまりの世代だったりする。
私の知る限りだと、同世代で1番はじめに買ったCDは?という質問に光GENJI、工藤静香、TMネットワークってあたりが上位にくる。 当時はカラオケでも女の子はひとまず工藤静香歌っときゃ間違いない、って空気があったし、今のティーンにとっての浜崎あゆみくらいの位置にはいたのよ、彼女。出たシングルは好き嫌い以前にひとまずおさえるって感じ。
いまでも彼女のシングルが流れるといい悪い以前に歌っちゃう。もう完全にDNAに刻まれている。
とはいえ、そういった影響力があった歌手に今の彼女はとてもみえないところがまた不思議なのですが。 確実に一時代を築いたはずなのにね。

シングル作品は、そんな当時の彼女のアーティストパワーを反映して、勢いのあるヒット感度の高い楽曲が並んでいる。 もし、工藤静香のシングル作品をまったく聴いたことないという人は、1度聞いてみた方がいいと思う。 80年代末期から90年代前半の空気が、よくわかるんじゃないかな。

一番お薦めのベストはポニーキャニオン時代の全てのシングルが収録されている2000年リリースの「ミレニアム・ベスト」だけれども、 彼女、全盛期は、毎年のようにベスト盤を出していて、それがいまやブックオフなどで実に格安で手に入るので、手に入るものから聞きはじめる、って選択肢でかまわないと思う。
ま、とにかく聞いてみて。



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 禁断のテレパシー  (87.08.31/1位/14.6万枚)
 作詞:秋元康 作曲:後藤次利 編曲:後藤次利

「ザ・ベストテン」初登場で突然の第2位というのは驚いたデビューシングル。不安定で声量のないボーカルを無理やり気合で補填するようなところもここでは魅力に転化。衣装は皮ジャンで不良っぽいイメージを出していたがまだ身についているとはいえなかったかな。個人的にはサビ部分のバックステップが好きです。とはいえデビューシングルとしてのインパクトは大の歌謡ロック。8点。


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 Again  (87.12.02/3位/15.9万枚)
 作詞:秋元康 作曲:後藤次利 編曲:後藤次利

ファーストと同路線の二曲目。たわいのない10代の色恋を大袈裟に歌った歌謡ロック。 この時点で秋元康は工藤静香と本田美奈子を同一視しているな、ということがわかる1曲。「愛は黒い十字架」ってあんた美奈子の「the Cross」とおんなじやん。 彼が本気でスターを育てようとすると、こういう路線なのね。7点。


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 抱いてくれたらいいのに  (88.03.02/3位/18.2万枚)
 作詞:松井五郎 作曲:後藤次利 編曲:後藤次利

デビューから一貫して、アイドルなのに、清純さも、乙女チックなミスティフィケーションのかけらもなく、あくまで実存的に攻めていく静香姫。 これは頭サビのインパクトで持っていかれるロックバラード。音を外してもかまいやしないという迫力と思い込みの強さに思わずもっていかれてしまう。 この曲があって「恋一夜」があるといっていいかな。 おにゃん子勢が番組終了と共に撃沈していくのを横目に静香はじりじりじりと売上を上げていく。7点。


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 FU-JI-TSU  (88.06.01/1位/25.3万枚)
 作詞:中島みゆき 作曲:後藤次利 編曲:後藤次利

天下の中島みゆきに曲先で発注。軽めのわかりやすい曲調に詞はちょっと恨みがましい恋愛風景、このアンバランスがなかなかいい感じ。この曲は、音源といい彼女の衣装や振りといい、彼女にしては珍しく"アイドル"という印象がある。 売上といいイメージといい、ここで「脱・おにゃん子」かな。一皮向けました。ここから彼女はスターの階段を物凄い勢いで駆け上がっていく。7点。


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 MUGO・ん……色っぽい  (88.08.24/1位/54.1万枚)
 作詞:中島みゆき 作曲:後藤次利 編曲:後藤次利

天下の中島みゆきふたたび。今度は化粧品キャンペーンソングを発注。うわっついた異様にキャッチの強いタイトルがいかにも「80's 化粧品コマソン」風。とても中島みゆきの仕事には見えない。あえて彼女に発注する意味は見えないが、 渡辺有三さんは当時売上が低迷していた中島みゆきに職業作家という道だってあるよ、というアドバイスをしたかったのかな、と思ったりもする。 ともあれ、ヤンキー的な能天気な恋情を歌って静香にベタはまり、大ヒット、この1曲でアイドル四天王の中からいよいよ頭角をあらわす。7点。


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 恋一夜  (88.12.28/1位/60.7万枚)
 作詞:松井五郎 作曲:後藤次利 編曲:後藤次利

情事の最中のようなエロティックな描写に少女の情念が交差する。いのちギリギリで交わしあう、激しくも切ない性愛の世界。 「あなたの腕に狂いながら 崩れてしまいたくなる」という部分が凄すぎる。 愛することは悲しみを知ることなのである。 それにしても「めっとめっで通じあう〜」とかやっていた人の次の歌がこれとは……。 これが発注ミスによる誕生というのだから世の中何があるかわかったものじゃない。 いきなりの成熟ぶりに驚かされるが名曲であることは間違いがない。10点。


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 嵐の素顔  (89.05.03/1位/52.4万枚)
 作詞:三浦徳子 作曲:後藤次利 編曲:後藤次利

バカスカ鳴りまくるバスドラがとっぽいツッパリソング。振りつけのインパクトも強く、被モノマネ率高し。 海が割れればいい、空が落ちればいい、と全体に漂うただごとでない大袈裟感は明菜でいうと「十戒」あたりだろうか。 いまいち必然はわからないが、迫力で持ってかれてしまう。そんなエンポリオ・アルマーニ大好きの静ぃサマです、ということで、8点。


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 黄砂に吹かれて  (89.09.06/1位/58.6万枚)
 作詞:中島みゆき 作曲:後藤次利 編曲:後藤次利

再び中島みゆき登場。この詞は、まさにみゆき本領発揮といった世界。異国情緒的な世界を背景に、業の深い女性の婉曲的な恋情の吐露、というお得意の世界。 ゴツグもシンセ使いといい、まさにこの時期のゴツグそのものというか、これまた本領発揮という感じ。 イントロ部分のテンションの高さは彼女のシングルの中でもトップクラスではなかろうか。この時点で歌謡曲の頂点に立ったといっても過言でなのでは。 まさしく「歌謡界の女王、誕生」ともこの曲は響くが、しかしセールスはここを境に一気に下がっていく。9点。


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 くちびるから媚薬  (90.01.10/1位/48.9万枚)
 作詞:松井五郎 作曲:後藤次利 編曲:Draw 4

静香に漂う、不良っぽさ、色っぽさ、とっぽさ――そういったものを「歌謡曲」として、おもわず鼻歌で歌ってしまうような曲として作り上げた、 「黄砂に吹かれて」の次にもってくるに、あまりにも「正解」な作品。 ものすごい名曲ではないけれども、戦略として正しすぎます。 それにしても歌いだしの「ちょっと待ってよねぇ」の引きが強すぎます。ほとんどこれだけの歌というか。8点。


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 千流の雫  (90.05.09/1位/29.5万枚)
 作詞:愛絵里 作曲:後藤次利 編曲:Draw 4

初の自作詞。「恋一夜」のようなシリアスなバラードを狙ったのだろうが、ちょっと力み過ぎたかな。こう、気分は伝わるんだけれども、当たりが弱いというか、もどかしいことこの上なし。 ちょっと無駄に壮大すぎたような……。何故か、宇宙というか荒野というか、そんなイメージが漂っております。 「Silence」のボーカルコラージュはちょっと不気味だし、アレンジもごちゃごちゃしすぎのような。や、わたしは結構好きなんだけれどもね。7点。


cover
 私について  (90.09.21/1位/26.5万枚)
 作詞:中島みゆき 作曲:後藤次利 編曲:Draw 4

中島―後藤―工藤のゴールデントリオ再び、ということなのだろうが、これは逆説で塗り固めたような典型的な中島みゆきの世界でちょっとはずしたかな。静香ファン向けというよりも、みゆきファン向け。静香に歌わせるには、わかりにくいっすよ、これ。 妖しい部分がなかなかいいんだけれどもね。 悲しみを黒胡椒のようにまぶした、ざらっとしてエキゾっぽいギターアレンジがなかなか彼女には新鮮だったけれども、あくまで飾り程度。もっと踏み込んで欲しかったなあ、っていうのもあり。8点。


cover
 ぼやぼやできない  (91.01.23/2位/32.4万枚)
 作詞:松井五郎 作曲:後藤次利 編曲:後藤次利

直球ロケンロールでヤンキー的恋情をこれまた直球で歌う、という、えーーー、「恋一夜」以降の格上ゴージャス・ミステリアス路線を一気に落としたような、そんな作品。 やっぱりこの方はこういうところがお里なのねぇ、と感慨。やはり翳りの世界よりもこういうぶっちゃけ風の方が彼女の素質にあうのだろう。びみょーにセールスアップもしております。 でも、わたしは、こういうわざとテンションを下げたような作品、ちょっと納得できません。6点。


cover
 Please  (91.05.15/1位/19.1万枚)
 作詞:三浦徳子 作曲:後藤次利 編曲:後藤次利

投げっぱなしジャーマン、というか、まぁそんな作品。 いつものゴツグ作曲だけれども、バラバラと華麗ながらも散漫にメロディーが展開するところがとても馬飼野康ニチック。まとめる気なんてさらさらないぜっっ。その潔さをあえて買おう。 こういう無理のある作品って、出来不出来以前に、好きです。 それにしても派手に決めすぎたジャケットの静ぃ様はほとんど銀座の夜の蝶。確実に迷走してまいりました。7点。


cover
 メタモルフォーゼ  (91.10.23/2位/44.0万枚)
 作詞:松井五郎 作曲:後藤次利 編曲:後藤次利

静香プロダクトではなかなか実のある仕事をしている松井五郎さんですが、これはなんというか、彼の悪い癖の「雰囲気重視作品」になってしまったというか、そんな印象。フックに足る言葉が乱舞するが、なにをいわんとしてるのかがわかりませんがな。 まあ、いい女と夜の淫靡な匂いがすればそれでオッケー、っうそういうことなんだろうけれども。 とはいえ、コツグのメロはカラオケ映えする、ヒット曲として実に堅いつくりだし、ドラマ「なんだらまんだら」の主題歌にも起用されたことで、この年の彼女のシングルで一番のヒットに。7点。


cover
 めちゃくちゃに泣いてしまいたい  (92.01.29/4位/28.2万枚)
 作詞:松井五郎 作曲:後藤次利 編曲:後藤次利・門倉聡

ごめん。こういう路線。俺、わからんわ。OLのカラオケ需要に対応したバラードですね、としか。 結構アルバムではいいバラードも多く残している静香さんですが、うーーーーん。なんか、この時期、ヘンに"歌っちゃう"んだよね、静香さん。 それがどうも、納得いかない。とはいえ、ここで一定の成果を感じた彼女は必殺技のひとつにバラードを組み込むことになるのでした。6点。


cover
 うらはら  (92.05.21/5位/21.4万枚)
 作詞:松井五郎 作曲:後藤次利 編曲:後藤次利

バラードで攻めていた92年にして唯一のアップテンポであるもののいまいち印象の薄いシングル。「ぼやぼやできない」の続編という感じで、ロカビリー調楽曲で蓮っ葉な彼女の魅力をフィーチャーしたということなんだろうけれども、うーん、これまた微妙。 あまりにも想像通りでスリルがないなあ、これは。負け試合ではないけど勝ちに行ってない姿勢が、なんか嫌。こういう曲、好きですか、みなさんは。5点。


cover
 声を聴かせて  (92.08.21/5位/32.6万枚)
 作詞:松井五郎 作曲:後藤次利 編曲:後藤次利・門倉聡・高尾直樹

彼女のバラードといえばこれでしょう。というファンにはお馴染みの作品だ、け、れ、ど、も、これまた個人的には歌いまわしがトゥーマッチかな、と。 さすがに彼女の歌唱力の限界を感じずにはいられない。ローギアで無理やり引っ張っている、という感じ。 もともとそんなに歌が上手くない人なんだから、変にドスをかけると和田アッコになっちゃうよ、というか。 とにかく、もっと引いて歌っていこう、静香。そんなバラードでぐいぐい押しつけないでくれよ。曲自体も演歌くさいいつものバラード・ロックで趣向が足りない。6点。


cover
 慟哭  (93.02.03/1位/93.9万枚)
 作詞:中島みゆき 作曲:後藤次利 編曲:後藤次利・高尾直樹

ドラマ主題歌ブームに乗って本人主演の月9ドラマでミリオンを狙ったが、100万にはギリギリ届かず。とはいえ彼女の最大のヒット。 物語調でトリッキーなフックがあるあたりがいかにも中島みゆきプロダクト。「訊けよ」「いやよ」「訊けよ」「知ってるわー」って、もう、あざといほどにみゆき過ぎますです。 これはヒットしますがな。この時期、煮え切らないシングルが多かった静香様ですが、ひっさしぶりにはじけました。カップリング「コール」も地味に佳曲。8点。


cover
 私はナイフ  (93.06.02/6位/18.7万枚)
 作詞:松井五郎 作曲:後藤次利 編曲:後藤次利・門倉聡・高尾直樹

曲・アレンジともに露骨に「慟哭」の二番煎じだし、詞は「わたしはナイフ」というキャッチの部分だけはそこそこ強いものの、後はもうスルーと流れるという、ええぃっ、どう評価すればいいというのだ、これを。 92年頃から確実に一定のファン以外の訴求をはなから求めていない流れ作業的なシングルが目立つようになるがこれはその際たるもの。スタッフは静香様に飽きております。 ちなみにジャケットはみゆき様の「ジェラシ―ジェラシー」に似ていて、って、そんなところまで飽きるなよ。5点。


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 あなたしかいないでしょ  (93.10.06/5位/20.5万枚)
 作詞:松井五郎 作曲:後藤次利 編曲:後藤次利・門倉聡・高尾直樹

むむむ。またこういう路線ですか。実質ゴツグ作品ラストだけれども、特にこれといったイベント臭もない、いつものロックのビートがベトンベトンいってるバラード。ゴスペルっぽいコーラスが黒っぽさを主張しておりますが、まあ、さしたる新しさはなく、「いつもの静香」というラインからまったく外れず。 こういうバラードものって歌う本人とファンは気持ちのいいものなんだろうけれども、やっぱり外部への訴求って薄いなぁなんてわたしは思ったりします。 例えばさ、この曲を"わが生涯の一曲"としてあげる人がこの世でいるか、っていうといないでしょうよ、と思ってしまうわけで。 だって、ファンにしても、静香のバラードならカップリングとかアルバム曲探せば、もっといいものいっぱいあるしさ、とはいえライトユーザーに訴求するには薄すぎるしさ。 そういう「こなし」の作品って、わたしは好きくないです。5点。


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 BLUE ROSE  (94.03.18/8位/30.5万枚)
 作詞:愛絵理 作曲:都志見隆 編曲:澤近泰輔

三貴系CFソングっぽい実体なしの雰囲気ゴージャスが絶妙に漂うセルフプロデュース第1弾シングル。 92年頃から確実に静香−後藤プロダクトはだれていたのだが、ここでようやくひとり立ち。 そんな意気込みもあってか、「嵐の素顔」以来の畳み込ませ系歌謡ロックで、それを静香は髪をばっさり落としてハードに踊りまくって、表現。これは驚いた。中森明菜、こりゃまた食われるなと思って作家陣を見ると「作曲 都志見隆」。なぁるほどね。 とにかくカコイイです。この曲が後二年早かったら、静香はもっと大物になっていたのになぁ。9点。


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 Juger Line  (94.07.21/8位/24.4万枚)
 作詞:愛絵理 作曲:尾関昌也 編曲:羽田一郎

カラコンに金髪で虎柄パンツでおいおい野生のエルザかよ、なシングル。 が、エフェクトのかかったボーカルは彼女にしてはかなり実験的でカコイイし、詞も自作ながら、女豹と狩人のスリリングな恋を歌って、映画的でドラマティック。良作。 曲中のストップタイムが、これは効いているよなあ、まさしく「瞬間、対峙している」って、絶体絶命な雰囲気がここにある。 ところで「興味心」ってなんですか、静香さん。ここは「好奇心」でいいと思うんだけれどなぁ。 「愛絵理」の詞は基本そんなに悪くないんだけれども、時々ずっこけるようなところがあってそれがなんとも……。一言そっとアドバイスするスタッフはいないんかい。9点。


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 Ice Rain  (94.11.18/8位/41.4万枚)
 作詞:愛絵理 作曲:都志見隆 編曲:門倉聡

これ、ヒットしてるんだけれどもあんまり印象ないんだよなぁ。 可もなく不可もなくの普通のバラードって感じ。ただ、92年頃の「バラードでも押せ押せ」な過剰ボーカルを修正して、自然に歌いまわして、そのあたりに成長を感じるかな。 これでいいんですよ、これで。 弦アレンジが丁寧でぬくもりを感じ、そういった意味で彼女にしては珍しいクリスマス向けの作品といえるかも。 ちなみにカップリングの「Party」はディスコ調で痛快。わたしはこっち推しで、ひとつ。6点。


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 Moon Water  (95.05.19/14位/17.2万枚)
 作詞:愛絵理 作曲:谷村新 編曲:澤近泰輔

かなりマニアックなシングル。ルーズでミステリアス。いわゆるサビに到るまでの展開を聞かせるようなよくある「歌謡曲」ではなく、ぼわーーっとただよう、妖しげなトラックを楽しむ、という、これはこの時期にしては実験的だな――。 後藤次利プロデュース時代は王道歌謡路線を敷いていたのが嘘のよう。 同じ楽曲を歌詞とアレンジ違いで仕立てたc/wの「Still Water」との対比も面白い。 ここでベストテン陥落してしまうが、このクオリティーであれば問題ないんじゃないかな。「Blue Rose」以来、静ぃ様は本当に好き勝手なことをやっているなぁ。8点。


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 7  (95.11.20/15位/8.3万枚)
 作詞:愛絵理 作曲:松本俊明 編曲:松浦晃久

こりゃ、失敗作なんじゃないの?  前作を引きついで、ルーズでダルな歌唱とアレンジで攻めていますが、 明らかに、曲の素質を見まちがえている。この曲なら、もっとわかりやすい歌謡ロック方向でよかったんじゃないかな。 これではただの、盛り上がりにいまいち欠けるだけの作品だよ。 静香の詞もね、なんというか、ブラッド・ピット主演の「セブン」でも見て思いついたタイトルなのかな、という、それだけ。方向性皆無。5点。


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   (96.03.21/15位/7.3万枚)
 作詞:愛絵理 作曲:藤井尚之・愛絵理・松浦晃久 編曲:松浦晃久

咲き零れ、爛れ落ちる直前の花のような、妖しい大人の色香の漂う、っていうか、もう純粋に、このシングルはエロいです。 サビ部分など「あられもない」という言葉がまさしくぴったり。 ひら歌での抑えた歌唱が、サビでフェロモンむんむんに炸裂する。 このシングルあたりから、さらに歌での表現力があがっているようにも聞こえる。 セルフプロデュース時代になって、いろんなパターンの歌を歌いこなすことによって、歌で"演じる"ということをしっかり掴んだかな、と。8点。


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   (96.06.05/26位/7.3万枚)
 作詞:愛絵理 作曲:中崎英也 編曲:中崎英也

これもいい。シングルのバラードでは久しぶりに評価しちゃう。 オーソドックスな歌謡感の強いバラードだけれども、これは彼女の磨きのかかった表現力で全部持っていったという感じ。 サビで繰り返される「愛をください」という、ここが、まさしく心から叫びとして響く。 「恋一夜」や「千流の雫」で表現された"この一瞬にかける"といった若さゆえの激しい、切迫とした感じとはまた一味違う、大人になり女になり、本当の孤独を知ったいまだからわかる、心の奥底からのせつなる希求と響く。8点。


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 激情  (96.11.07/10位/42.4万枚)
 作詞:中島みゆき 作曲:中島みゆき 編曲:瀬尾一三

静香が中島みゆきに直接手紙を出してオファーしたという会心の一撃。 みゆきのガイドボーカルがうっすらと聞こえるかのような静香のみゆき的歌いっぷりはご愛嬌だけれども、やぁ、凄い。 イントロからアウトロまで奔流のごとく歌に飲み込まれますです。 歌唱力、表現力のあがったこの時期の工藤静香だからこそ、といっていい濃密な一曲。 気合一発で一気に突っ走るのはデビュー当時からの静香の魅力だけれども、そこに年齢相応の陰影と凄みが加わって、素晴らしいです。9点。


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 Blue Velvet  (97.05.28/8位/25.7万枚)
 作詞:愛絵理 作曲:はたけ 編曲:はたけ

をををっ。今度もいいぞ。これは直球の疾走歌謡ロック。これこれこれ。静香はこれだよ。思わず膝を叩く出来。 シャ乱Qはたけのいなたいロックサウンドが静香にベタはまり。 「くびったけ」のストップタイムも決まっております。 静香の歌唱力も安定しているし、もうこりゃ、しばらく静香に任せちゃうか(――って、なにを)、という気持ちになります。精気に満ちていて、磐石。8点。


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 カーマスートラの伝説  (97.11.19/29位/3.4万枚)
 作詞:愛絵理 作曲:はたけ 編曲:はたけ

タイトルからイメージされるようなインドでエロチック、ということは全然ない。前作に引き続くはたけの歌謡ロック。 ちょっと二番煎じ臭が強くって、勢いも前作ほどではなく。 ところで静香は「カーマが語る 愛の教科書読んだことが ありますか」と聞き手を啓蒙しますが、フェラチオの仕方とか記載してある、かの有名なインドの赤裸々な性典を本当に彼女、読んだことあるのかね。 ま、読んでてもおかしくない感じはするのが彼女なんですが。ちなみに衣装は明菜の「AL-MAUJ」のようなコスプレのノリでした。7点。


cover
 雪・月・花  (98.02.18/23位/8.9万枚)
 作詞:中島みゆき 作曲:中島みゆき 編曲:瀬尾一三

中島みゆきの神通力通じず。みゆき提供のシングルでとうとうヒットを逃すが、とはいえこりゃ、またまたひそかに名曲じゃん。 いまや、中島みゆき自身名義では決して作ることのないだろう、したたるほど激しくエロティックな性愛の歌。 睦言でもちょっと小理屈を捏ねるあたりがみゆきクオリティーなんでしょうね。 みゆき唱法を下敷きにしながらも、意図的に荒々しく、感情のままにぐらぐら揺れながらはげしく歌い上げる静香さんも、素晴らしすぎます。 あたかも、身も世もなく男の肩を抱いてかき口説くような、そんな「業」を感じる情熱的な歌唱。 みゆきはここまで色っぽく歌えないでしょうよ。10点。


cover
 きらら/in the sky  (98.07.17/6位/38.4万枚)
 作詞:RK 作曲:RK 編曲:澤近泰輔

RKプロデュースでドラマ主題歌で両A面。つめこむだけつめこんで再びヒットをもぎ取っております。 「きらら」のシリアスさと、「in the sky」のさわやかさが好対一になっていて、これはうまいプロデュースワーク。 静香の磐石な表現力で、どちらの曲もよく出来ています。ちなみに「やっぱ静香は、眉間にしわ寄せて歌ってなんぼでしょ」というわたしは「きらら」派。7点。


cover
 一瞬  (98.11.06/29位/2.7万枚)
 作詞:RK 作曲:RK 編曲:澤近泰輔

さらにRKだが、これは不発。ご本人もちょうどサーファー焼けして変に爽やかになりすぎちゃっていた時期だったりして、 ま、それを象徴するシングルというか。本人の趣味とか、性格はともあれ、やっぱり工藤静香には歌謡曲の一番保守的な部分、陰だったり、淫だったりを歌に表現して欲しいな、と小生そう思いますです。 これでは、ちょっと湿り気が足りないですがな。静香の爽やか路線はマイナー歌謡路線があって、はじめて成立するジャンルだと思う。6点。


cover
 Blue Zone  (99.04.07/28位/2.0万枚)
 作詞:愛絵理 作曲:都志見隆 編曲:澤近泰輔

直球の気合一発歌謡ロック。保守的なヤンキー美意識まきちらして、最高です。 カラオケ映えもするし、彼女のお得意の路線だけれども、セールスには響かず。もう「静香」って言わんばかりの曲でわたしは好きなんだけれどもなあ。 この曲が使われたトーヨータイヤのCFもレディース風でカッコよかったのに……。時代がもう、こういう路線を彼女に要求していない、ということか。8点。


cover
 深紅の花  (00.11.08/33位/2.2万枚)
 作詞:橘朋実 作曲:YOSHIKI 編曲:YOSHIKI

元カレ、YOSHIKIプロデュースによるシングルで火サステーマソングと、盤石の布陣にもかかわらずヒットせず、ってこりゃヒットは難しいだろうよ。ひとことでいうと凡作。 オーケストラが美麗っちゃ美麗だけれども、それだけというか。 静香様はビジュアル系と近いように見えて案外遠い位置にいるのかもなあ。 ちなみにリリース直後に静香は木村拓哉と結婚。 そう考えると元カレと作った歌の詞が「でも夜明けが来る それぞれの道を歩き出す いつかまた出会える日が来るまで」って、うーん、意味深。7点。


cover
 maple  (02.04.24/35位/1.1万枚)
 作詞:愛絵理 作曲:菅原サトル 編曲:菅原サトル

出産復帰後初のシングルで、やっぱりまたバラード。子守唄のように柔らかな歌がサビで壮大なオーケストレーションになって、という、まあ、そういう歌で「母性」ですね、という。こういう歌を歌うようになったんだなぁ、と感慨。 綺麗な歌だけれども、ただ、ポップスとして勝負しているかどうかとなると、疑問だったり。また雰囲気だけって感じも否めず。悪くはないんだけれども、もうひとつ何か踏み込みが欲しいかなぁ。7点。


cover
 Lotus 〜生まれし花〜  (05.02.16/40位/0.8万枚)
 作詞:山口寛雄・愛絵理 作曲:山口寛雄 編曲:中野定博

古巣ポニー・キャニオンに戻って3年ぶりのシングルで、ダイハツ「Tanto」CF曲。握手の指先の重なり合いがまるで蓮の花のよう、ということでロートス。ヒューマンタッチな大味のバラード、こういうの、もう飽きたッスよ。ねぇさん。3年ブランクがあって、こういうので攻められると歌手としてどうありたいのかと、いささか疑問に思えてくる。闘争心剥き出しの姿がそろそろ欲しい。6点


cover
 心のチカラ  (05.04.27/60位/0.4万枚)
 作詞:前田たかひろ 作曲:h-wonder 編曲:h-wonder

映画 『ふたりはプリキュア Max Heart』ED曲。えーと、もうこういうの何枚目? 曲ありきで静香がタイアップに乗ったのか、元々静香向けなのかは不明だけれども、オーケストレーションをバックに壮大な愛、歌っとります。母であることがそんなに嬉しいのか静香。でももう、お腹いっぱいだよ。結婚以来ずっと、本人が歌でやりたいこととパブリック・イメージの乖離がはなはだしく、それにどこか無自覚に見えるのが非常にもやもやする。この路線で続けるなら、あくまで歌は趣味です、というスタンスを明確にすべき。5点。


cover
 Clavis −鍵−  (06.09.06/67位/0.4万枚)
 作詞:中島みゆき 作曲:中島みゆき 編曲:瀬尾一三

火サスの後番組、NTV系 『DRAMA COMPLEX』 挿入歌。育児ボケした静香をピリッとさせるのはやはりみゆきねぇさんの役割なのか。マイナーでドラマチックなメロディーに、説明過多ともいえるツメコミまくりのリリック。だがそれがいい。かつての激しさのかわりに惑う心の表現がよく、なにより歌うべき歌を歌っている静香が輝いている。昔みたいにヤンキー丸出しバトルモードに突入することできなくなっちゃって、なんて静香の愚痴に、こういうやり方もあるのよとみゆきねぇさんに教えてもらった感じ。8点


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 雨夜の月に  (07.05.23/44位/0.6万枚)
 作詞:愛絵理 作曲:山口寛雄 編曲:久保田邦夫

東海テレビの昼ドラ『麗わしき鬼』主題歌。前作「Clavis」を自作で展開といった感じのマイナーなドラマチック歌謡。翳っていて湿っていて迫力押し一本槍が、歌手・工藤静香の魅力と、本人もはたと気づいたのだろうか。静香らしくもあり、どろどろした昼ドラ主題歌らしい一曲。こういう路線の方が説得力あります。7点


cover
 NIGHT WING / 雪傘  (08.11.05/75位)
 作詞:中島みゆき 作曲:中島みゆき 編曲:瀬尾一三

ア、アレ? 中島みゆきなのに、さほど良くないぞ。両A面でともに中島みゆきだぜ、という大盤振る舞いがよくなかったのか。「NIGHT WING」は「Clavis」との差異があんまりなかったし、「雪傘」のふにゃっとした歌唱には、違うだろ、静香と思わずいいたくなる。平均点はいってるんだけれども、みゆき+静香という高い期待値のその上を必ず越えてくれる鉄板コラボにしては妙に薄味な及第点。おっかしいなぁ。 歌手として今後どうしたいのかクリアに見えないし、本人自体も特にそれに危機感を抱いてないだろう今の工藤静香では、中島みゆきですら魅力を充分に引き出しきれないというのか。むー。舞台の上に立つなら、心の贅肉そいでかないと、やっぱいかんね。7点




追記 2010.07.20
2005.12.07
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