メイン・インデックス歌謡曲の砦>さくさくレビュー 中山美穂 シングル編


さくさくレビュー 中山美穂 シングル編



cover  「花とゆめ」のモデル時代から紆余曲折を重ねつつ絶妙に芸能界をサバイブしている中山美穂。彼女のシングル作品もそんな彼女の芸歴と共に多種多彩。
 個人的には「ツイてるね ノッてるね」のファンキー路線の発掘から「Rosa」でのファンキー総まとめまでがツボ。その後はドラマタイアップによるシングルヒットという構図に傾けすぎてしまって、シングル自体の面白味は減少してしまったように思える。趣味で出したような作品とタイアップガチガチの作品とのバランスが取れていないというか。
 今後は「趣味で芸能活動しています」的なポジションで優雅に活動を続けていくのかなあ、はたしてどうなることか。ただ、これからも歌を歌うかどうかという事になるとその可能性は低いような気がする。なんとなくだけれども。自己表現のツール、高嶺感キープのためのツールとしての「音楽活動」というアイコンを小泉今日子ほど上手く使いこなせなかった感じがするんだよね。アルバムを聴けば、音楽が好きなのはよくわかるけれども、少しばかり不器用だったか、と。

 彼女のシングルは、チャートアクションがアイドルらしからぬ動きを見せていて、面白い。 「色・ホワイトブレンド」以降の、既にアイドルとしての地位を確立してからも、あまり初動が動かない。オリコンでの初登場1位が87年の「Catch Me」というのだから驚く。 そのかわり、歌番組で積極的に歌披露している間は、さほどチャートが落ちずに着々とセルを重ねていくのだ。
 最大のヒットとなった「世界中の誰よりきっと」は8週目にしてようやくの1位獲得であったし、ノンタイアップでは最大のヒットになった「Rosa」やアイドル時代の代表曲「You're My Only Shinin' Star」も、11位以下に一度落ちてからの粘りがアイドルではありえないほどに強かった。
 他にも「ツイてるね ノッてるね」「WAKU WAKUさせて」「50/50」「人魚姫」「Virgin eyes」などなども、どかっと売れてさっと引かず、人気の割に低めの初動で始まり、じわじわいつまでも売れつづけている、というパターン。これは、80年代アイドル――特に、おニャン娘以降の、初動型に過度に傾いた時代においては、稀有としかいい様がない。 彼女のシングル、特にアイドル時代の作品に関しては、世間で流れていた期間が長かったせいもあるのか、オリコンの数字がよりももっとヒットしていたイメージが強い。

 彼女のシングルの歴史はドラマ主題歌・CMソングの歴史でもあるので、記憶があるものだけでも付記することにする、がしかし、ホントその数が多いな。


cover
 「C」  (1985.06.21/第12位/17.0万枚)
 作詞:松本隆 作曲:筒美京平 編曲:萩田光雄

TBS系「夏・体験物語」主題歌。セックスの「シー」、海の「シー」、Close to youの「シー」。夜の海辺での性体験をテーマにしながら、けっして下品には聞こえない。 一歩間違えればキワモノアイドルになる危険を孕んでいた彼女にイメージを違わずにここまで綺麗に仕上げた松本隆の手腕に驚く。筒美京平のとっ散らかりつつも、全体で見ると見事に非常にまとまって見える楽曲も彼らしくていい。デビュー曲としては出色。8点。


cover
 生意気  (1985.10.01/第8位/11.4万枚)
 作詞:松本隆 作曲:筒美京平 編曲:船山基紀

ギターを弾く異邦人、遠くシンガポールの船、異国の地で恋人の写真を破る少女。これはちょっと15の少女にしては難しい世界なのでは。 中山美穂のスタッフは彼女を中森明菜のラインで攻めようと思っているということはよくわかったが、この曲に関してはそのまま明菜サマにあげたほうがよかったと思わせてしまう。悪くはないけれどもね。あとタイトルと曲全体のイメージがずれ過ぎ。ポップスとしてこれはちょっといただけない。7点。


cover
 BE-BOP HIGHSCHOOL  (1985.12.05/第4位/17.9万枚)
 作詞:松本隆 作曲:筒美京平 編曲:萩田光雄

映画「BE-BOP HIGHSCHOOL」主題歌。ヤンキー少年のマドンナ路線発動。膝枕して「おやすみ私のステディボーイ 大きなBaby」と中山はドリーミーにヤンキー少年達を癒す。この時期の彼女にとって1番危なげがない路線といえる。「毎度お騒がせします」ののどかっぽいしね。この曲で売上がワンランクあがり「ザ・ベストテン」にも初登場する。この頃の彼女は川越とか所沢あたりの埼玉のベットタウンにいそうな庶民派な少女という感じ。6点。


cover
 色・ホワイトブレンド  (1986.02.05/第5位/22.3万枚)
 作詞:竹内まりや 作曲:竹内まりや 編曲:清水信之

資生堂'86春のキャンペーンソング。前作のドリーミーなテイストを強めた春向け化粧品コマソン、という感じ。全体的に意味ナシ系で華やかな感じが出ていればそれでオールオッケー、という世界。楽曲のフェミンな雰囲気に彼女は多くの女性ファンの獲得するようになるが、とはいえ楽曲自体はこの時点では孤立しているようにみえる。アルバムにもまた前後のシングルにもないあまりテイスト。7点。


cover
 クローズ・アップ  (1986.05.16/第4位/12.8万枚)
 作詞:松本隆 作曲:財津和夫 編曲:大村雅朗

お宝ショット狙いのカメラ小僧を一喝しながらも、そんな青臭い童貞少年達を誘惑し、挑発する美穂。望遠レンズのクローズアップ、対象を捉える主体と客体が一瞬反転する錯覚。松本先生は舞台設定がホント上手いよなあ。この曲は大村雅朗の硬質でタイトなアレンジもポイント。ヒット狙いの派手派手しさがなく、渋い。7点。


cover
 JINGI・愛してもらいます  (1986.07.15/第4位/13.8万枚)
 作詞:松本隆 作曲:小室哲哉 編曲:大村雅朗

映画「BE-BOP HIGHSCHOOL 高校与太郎哀歌」主題歌。またまたヤンキーマドンナ路線。少年達を手なずけ説教する美穂。彼女に「コラ少年聞いてるの」なんていわれちゃ、イキっているヤンキー少年達も思わず顔をほころばせるってモノ。 ちなみに曲はイントロ部分からして笑っちゃうほど小室節。この辺りまでが中山美穂、第一期アイドル期。「毎度お騒がせします」を引きずっている時代かな。6点。


cover
 ツイてるね ノッてるね  (1986.08.21/第3位/19.2万枚)
 作詞:松本隆 作曲:筒美京平 編曲:大村雅朗・船山基紀

資生堂'86秋キャンペーンソング。やったね。タイトルがいかにも化粧品のコマソンという感じだけれども、松本先生は見事に消化しております。歌詞は高飛車な美少女の何様ぶりが気持ちいい。彼女ほどのビジュアルであるからこそいえちゃう特権。 アレンジは大村雅朗・船山基紀の連名なんだけれども、どういう担当の分け方だったんだろ。 ギラギラと派手派手しくとっ散らかったサウンドでこれぞ「歌謡曲」といいたくなる。このあたりからおにゃん子系や85年組アイドル陣から一歩前に出てきたという感じがする。中山美穂のシングルの王道であるファンキー歌謡路線のスタートという意味でも趣深い。9点。


cover
 WAKU WAKUさせて  (1986.11.21/第3位/23.7万枚)
 作詞:松本隆 作曲:筒美京平 編曲:船山基紀

CX系「な・ま・い・き盛り」主題歌。前作の世界を更に推し進める。歌詞は徹底して無内容系「みんなで朝まで踊りまくろうよ」というだけで、それに見合って曲はあくまで派手派手しく、途中様々な仕掛けが炸裂している。ユーロっぽいアプローチが時代を感じるかな。 歌詞冒頭の「みんな友達じゃないの」が本来の意味だと「みんな友達だよね」の確認の意味なのが、彼女が歌うと「『みんな友達』なんて馴れ馴れしくしないでよね」と突っぱねているように聞こえる。7点。


cover
 派手 !!!  (1987.03.18/第2位/20.5万枚)
 作詞:松本隆 作曲:筒美京平 編曲:船山基紀

TBS系「ママはアイドル」主題歌。「派手」と銘打っているようでいて、一聴してそこまでの派手派手しさはない。が、楽曲構成をきちんと見ると、符割りの細かさ、展開の忙しさ、音程の取りづらさに「こりゃ、派手だわい」といわざるを得ない。 4分間弱にポップスのあらゆる魅力をぐっとコンパクトに濃縮したようなつくり。一つ一つのパートが派手ながらも実にいい仕事をしている。この成果をもって松本隆、筒美京平から卒業。8点。


cover
 50/50  (1987.07.07/第2位/21.1万枚)
 作詞:田口俊 作曲:小室哲哉 編曲:船山基紀

「筒美からTKへ」と今の時点で見るとそこになにかの意味があるような気もするが、この時期の小室哲哉は一介の作曲家でしかない。 ほとんどカリプソのスチールドラムの音色が涼しい1曲。このラテンテイストは船山センセの仕事なのか小室側からの指示なのかというのはよくわからない。歌詞はそれに合わせて「南国でのアバンチュール」。こういうテーマがすんなり受けいられるほど彼女は妙に艶っぽく、高嶺感が既に漂ってきていた。 ちなみに小室さんはこの曲を「中山美穂が1アイドルから社会現象になろうとしている頃のオファーで、そのイメージに追いつくため一生懸命作った」んだそうだ。8点。


cover
 CATCH ME  (1987.10.07/第1位/21.8万枚)
 作詞:角松敏生 作曲:角松敏生 編曲:角松敏生

CX系「おヒマなら来てよネ!」主題歌。またまたやったね。カッコイイぞ、これ。歌謡曲としてみると曲の展開やメロディーの起伏は平板だし、サウンドにも特にこれといった仕掛けもなく退屈にも見えるのだが、実際、歌として聞くと全然そんなことがない。 歌には実にいいグルーブ感があるし、リズムコンシャスなトラックには、ある意味男気すら感じてしまう。間奏のサックスソロも痛快。歌詞の「流されるままの現状に不満を抱いて、何かを変えたいと思っているけれども具体的なものはなにもなく、夜更けのディスコでひたすら踊りつづけるいいオンナ」って描写もなんか妙に当時の中山美穂とマッチしていた。 なんでもこの時期、角松敏生から与えられる詞に中山は「なんでわかってしまうんだろう」と思っていたとか。彼女のシングルで個人的に一番好きな楽曲。ちなみに初のオリコン1位獲得曲でもある。9点。


cover
 You're My Only Shinin' Star  (1988.02.17/第1位/29.3万枚)
 作詞:角松敏生 作曲:角松敏生 編曲:角松敏生

TBS系「ママはアイドル」挿入歌。87年年末、過労の日々が続いた果てにCX系ドラマ「おヒマなら来てよね」の一人二役でつい限界、ぶっ倒れてしまった中山美穂。その影響か、年頭のシングルはアルバム曲からのシングルカットという事になった(これは歌いなおしていたっけ!?)。これが見事に怪我の功名。
初のバラード、しかも既発表曲ということでチャートイン当初の動きはさほどよくなかった――4週目で早くも10位内から転落するがその後11位近辺に停滞し、ベスト20位内は12週もの長期滞在。結果この時点で最大のセールスとなった。彼女の代表曲といっていいんじゃないかな。文句なくいい曲、ゆえに彼女のバラードは「ユアマイ」越えが今後の課題となる。10点。


cover
 人魚姫  (1988.07.11/第1位/36.5万枚)
 作詞:康珍化 作曲:Cindy 編曲:Rod Antoon

TBS系「若奥さまは腕まくり」主題歌。アイドルのトップへ向かう階段を着実に上がっていった彼女、右肩あがりを続けたシングルセールスもここで1つの頂点を迎える。「ザ・ベストテン」でも初のそして唯一の1位奪取楽曲となった。1つの大きな成果を象徴する作品といえる。 またこれは中山美穂の最重要作家であるCindy(ご冥福をお祈りします)との出会いとなった楽曲でもある。彼女の手によるブラコンモノは中山美穂のメインストリームとなる。 とはいえこの頃からしばらくはCDはともかく生放送の歌番組の歌唱に関してはボロボロ。「50/50」あたりから楽曲の難易度はあがり、フリも結構激しくなっていた彼女だが、この時期になるとどちらかに絞ったほうがと忠告したくなるほど。8点。


cover
 Witches  (1988.11.14/第1位/31.4万枚)
 作詞:康珍化 作曲:Cindy 編曲:鳥山雄司

康+Cindyでそのまま「人魚姫」の続編というような感じの作品。この曲でFNS歌謡祭の大賞を受賞する。音楽賞で大賞を彼女が獲たのはこれが最初で最後。個人的には鳥山雄司の打ちこみによる安っぽい擬似ホーンセクションみたいなのが結構好きだったりする。それにしてもこの曲ボーカルレンジがやたら低めに設定してませんか。コーラスの声のほうが前に聞こえるってどうよ。7点。


cover
 ROSE COLOR  (1989.02.21/第1位/27.7万枚)
 作詞:康珍化 作曲:Cindy 編曲:鳥山雄司

資生堂'89春のキャンペーンソング。またまた化粧品のコマソン。うーーーん。化粧品ソングっていのは意味がないのが基本というのはわかっておりますが、それにしても格上演出ばかりが目について、これは本当に意味がないような作品に見えまする。 まったりとラグジュアリーな雰囲気を撒き散らして通り過ぎてゆくトラックにリスナーはどこに何を取っ掛かりにして楽しめばいいのでしょうか。 中山美穂が美形なのはよく知っているからさ、と肩でも叩きたくなる。5点。


cover
 Virgin Eyes  (1989.07.12/第2位/25.4万枚)
 作詞:吉元由美 作曲:杏里 編曲:小倉泰治

主演映画「どっちにするの」主題歌。当時絶好調で中山美穂が大ファンの杏里プロジェクトに間借りしての1曲。 夏向けど真ん中のわかりやすい楽曲で期待とおりの作品。とはいえこれは出来不出来というよりも今までがんばってきた中山美穂へのプレゼントという意味合いのほうが強いんじゃないかなぁ。だってこの曲にしても当時の杏里そのもので彼女が歌う意味ってかなり希薄だし。 そもそも中山にはこの路線にCindyという強力なパートナーがいるんだから、杏里の力を借りる必要はまったくないじゃんと思ってしまう。7点。


cover
 Midnight Taxi  (1990.01.15/第1位/18.1万枚)
 作詞:飛鳥涼 作曲:飛鳥涼 編曲:十川知司

リリースペースが半年開いてのシングル。「ザ・ベストテン」の終了の影響か、この時期、アイドル勢の多くがシングルの切り方とそのペースを一気に乱している。中山もここでセールスを一気に落とす。 この時期に飛鳥涼のメロウなバラードという選択は間違いではないけれども正解でもなさそ。 ところで前々から思っていたけれども、この詞って岩崎宏美の「急いでTaxi」に似ていません?6点。


cover
 セミスイ―トの魔法  (1990.03.21/第3位/12.2万枚)
 作詞:松井五郎 作曲:Cindy 編曲:Rod Antoon

協和銀行'90 CMソング。Cindy+Rod Antoonという「人魚姫」布陣であるが、大ヒットには至らなかった。とはいえ、個人的には好きなんだよなぁ。ミディアムテンポで打ちこみメインのブラコンモノで、安定した中山美穂の世界だと思うけれども……。 協和銀行のCFで最初に聞いた時はこりゃ渋めでカッコイイと思ったのになぁ。 相次ぐ歌番組の終了という背景もあってか、このあたりからそれまで作り上げてきたアイドル路線が通用しなくなったのかもしれない。7点。


cover
 女神たちの冒険  (1990.07.11/第3位/11.9万枚)
 作詞:松井五郎 作曲:斉藤英夫 編曲:斉藤英夫

当時、森高千里プロジェクトでブイブイいわせていた斉藤英夫作・編曲による作品。バブル絶頂でいい気になっているF1層ターゲットにあわせたのか、 詞はキャリアウーマン讃歌風。ちなみにこれは和田加奈子にあげた「Dreamin' Lady」の焼きなおしだよね。松井センセ。この曲自体はヒットしなかったが、F1層に狙いをあわせるという選択は決して間違っていなかった。それは次曲ですぐに成果をあらわす。6点。


cover
 愛してるっていわない  (1990.10.22/第3位/36.1万枚)
 作詞:安藤芳彦 作曲:羽場仁志 編曲:樫原伸彦

CX系月9ドラマ「すてきな片思い」主題歌。シングル売上の低迷を救ったのは「自身のドラマ主題歌に起用する」という手段であった。これが思いの外の効果をあげ、「人魚姫」以来の大ヒットに。ドラマ主題歌バブルの時代がひたひたと押し寄せてくる。 作品自体は「派手 !!!」以来のポップでわかりやすい、展開のスピィーディーなもので、おもちゃ箱をひっくり返したような楽しさが音にある。これはヒットするわな。8点。


cover
 これからのI Love You  (1991.02.12/第3位/14.5万枚)
 作詞:松井五郎 作曲:崎谷健次郎 編曲:崎谷健次郎・ATOM Project

目指せ「ユアマイ」越えでリリースしたバラード。前年アルバム『Jeweluna』からのシングルカット。とはいえ「ユアマイ」越えはならず。決して悪い曲じゃないけれどもね。この時期でもっとも印象が薄い中山シングルの1つ。曲は典型的な崎谷節。「君のために僕がいる」とかアレ系。 詞はトレンディードラマ属性が強いように見えるのでドラマ主題歌に起用していたら大化けしていたかもしれない。8点。


cover
 Rosa  (1991.07.16/第3位/36.2万枚)
 作詞:一咲 作曲:井上ヨシマサ 編曲:ATOM

一咲は美穂のペンネーム。これはカッコよかった。ハウス+ラテン。同年春のアルバム『De eaya』の「COCKATOO」(←これなんでシングルにしなかったんだろ)の続編にあるような作品。確かこの曲は後ろにバックダンサーを大量に従えて歌い踊りまくっていたと記憶している。それを一緒に見ていた父曰く「なんか中森明菜みたいだな」。私もそう思ったぞ。 ベッテンや夜ヒットがあった頃にリリースして欲しかったなぁ。これは見て楽しむ楽曲。 チャートアクションは「ユア・マイ」に近い粘り腰――4週目で早くも10位内から転落するが、その後11〜15位近辺に停滞し、ベスト20位内は13週。次作がリリースされるまでチャート上位に居座りトップ100に27週滞空。ノンタイアップでは最大のヒット曲となった。 ちなみに原題「ちょっとどうしたの」だそうで、これじゃいかんなぁと会議をかけて中山美穂からあがったタイトルが「Rosa」なそうで。9点。


cover
 遠い街のどこかで  (1991.11.01/第3位/67.3万枚)
 作詞:渡辺美佳 作曲:中崎英也 編曲:中崎英也

CX系月9ドラマ「逢いたい時にあなたはいない…」主題歌。彼女のシングルセールストップ3に入る曲だが、極めて印象薄。ドラマ主題歌+クリスマスソングのダブル効果によるヒットと見る。タイミングが勝因。中崎英也の曲も彼にしてはフックも歌謡感もない出来で退屈だし、詞も匿名性の高いどってことないもの。中庸にもほどがある。 前年の「愛してるっていわない」とこの曲の大ヒットをきっかけに彼女はドラマタイアップ歌手の道へと突き進むようになる。5点。


cover
 Mellow  (1992.04.01/第3位/16.9万枚)
 作詞:一咲 作曲:井上ヨシマサ 編曲:井上ヨシマサ

エステDEミロード'92 イメージソング。CFソングとして先行で流れていた時は結構好きかなと思っていたのに、シングルになったものはディストーションギターが全面でフィーチャーされていて萎えたという記憶がある。 これは井上ヨシマサのディレクションなのかなぁ。セルフプロデュースはこの楽曲からという事になるのであろうが(実際は「De eaya」の後91年夏に「P.S I Love You」という彼女のラジオ番組のタイトルが仮題となったセルフプロデュースのアルバムを制作していたのだが、何が理由かわからないはそれは見事にポシャっている)、 彼女が楽曲制作のどこにまで手を伸ばしていたのかという事になるとそれはよくわからない。ただ「信じる事は簡単じゃないけど/願う事さえなくしてしまったなら/それまでだから」という言葉に彼女のこれからの意志が垣間見える。6点。


cover
 世界中の誰よりきっと  (1992.10.28/第1位/183.3万枚)
 作詞:中山美穂・上杉昇 作曲:織田哲郎 編曲:葉山たけし

CX系水9ドラマ「誰かが彼女を愛してる」主題歌。ドラマタイアップによる彼女にとっての最大のヒットであるが、バーニング+ビーイングの奇蹟の邂逅という点以外に特にこれといったトピックはない。曲自体は平板な中庸ビーイングポップス。 リリース当初は刺身のツマであったWANDSがこの楽曲ヒット途中に「もっと強く抱きしめたなら」で大ブレイクし、わかりやすい主従関係が微妙になったなぁ、と子供ながらにテレビで見て感じた。6点。


cover
 幸せになるために  (1993.04.21/第4位/41.4万枚)
 作詞:中山美穂・岩里祐穂 作曲:日向敏文 編曲:日向敏文

NHK朝の連ドラ「ええにょぼ」主題歌。小市民的で毒にも薬にもならないバラードという印象しかないが、こういうモノをもとめる層が確かにいるのは事実(「ひだまりの詩」とかkiroroとかさ)であって、否定はしない。が、中山美穂がその方向へ突き進むのは私は納得できません。できませんともっっ。 実際の彼女が「いいひと」であるのはかまわないが、それを楽曲で表現されても困るというものだ。それにしてもこういう生ギターメインの音作りでどこまでも善人っぽい感じってホント、ダメ。4点。


cover
 あなたになら……  (1993.07.07/第8位/28.0万枚)
 作詞:中山美穂 作曲:久石譲 編曲:久石譲

映画「水の旅人」主題歌。またまた「いいひと」っぽいバラード。久石譲作品でありながら、彼得意の弦は思ったよりも前に出てこない、それがちょっと意外。とはいえこれもまた取っ掛かりのない楽曲であって、なんとも。右から左という感じ。中山美穂から弟へのメッセージソングという話も聞いたが、このエピソードもまた右から左。 93年は歌手活動メインでじっくりとレコーディングに専念したそうで、確かに歌い方がちょっと変わってきたように思える。喉が強くなったような気がする。 ちなみに密かに久石譲作曲のシングルヒットはこれが初。5点。


cover
 ただ泣きたくなるの  (1994.02.09/第1位/104.8万枚)
 作詞:中山美穂・国分友里恵 作曲:岩本正樹 編曲:岩本正樹

TBS系金曜ドラマ「もしも願いが叶うなら」主題歌。前作前々作と続いた「いいひと」路線はまだまだ続く。いいひとでOL泣かせでドラマ主題歌。これで売れないわけがない。これで自身名義で唯一のミリオンとなる。 事務所の政治力の強さを武器に90年代はドラマバブルとCDバブルの流れに乗ってシングルの売上を伸ばした彼女であるが、わたしとしては「Rosa」までの人、という感じが強い。もっとシングルでポップス歌手として挑戦して欲しかったし、安易に転向(お)りて欲しくなかった。アルバムに関してはそれなりのトピックはあるがシングルとしてはこれ以上語ることは難しいのでここまで。この曲は6点くらいかな。




改訂 2007.12.22
2004.12.26
アーティスト別マラソンレビューのインデックスに戻る