メイン・インデックス雑記>意外に近くにいた催眠商法


意外に近くにいた催眠商法



空きテナントやスーパーの駐車場の一角などを借りて、健康食品の販売などを謳った謎の店舗をよく見かける。
店舗は広告でめばりがしてあって中を窺い知ることはできない。ただ、普通の店でないことは明らか。パイプ椅子のような物が並べられそこにおとなしく座った老人や主婦たち、、販売員はホワイトボードでなにか怪しげな講習のようなものを延々としている。
開店直後は激安の米やパンなどにひきつけられた老人や主婦などがすずなりで、ものすごい賑わいなのだが、ある日を機会にだんだん客が遠のき、開店から3ヶ月もした頃になると、あっけなく撤退してる。
こうした店を少なくとも過去に4軒、知っている。
この新興宗教のセミナーみたいな不気味な店―――実際店員は何か一本決めているんじゃないかと思えるほどの胡散臭い明るさを見せている――は一体なんなんだ、と調べると、これがいわゆる「催眠商法」の店なのだそうだ。
「催眠商法」というと、即日販売のイメージが私の中にはあったが、こうした数ヶ月根を張るものが今は主流らしい。
開店して1ヶ月ほどはただ同然の価格で日用雑貨や食料品をばら撒き、客の来店を習慣づけさせ、その間に販売側は「口上」に対するリアクションなどから本命の客の目星をつけるのだそうだ。
で、ある日を境に本命の高額商品の販売にスライド。本命視された客以外はリリースされ、客が減る。そして、あらかたの本命客を落としたら閉店、というわけだ。
このサイクルがちょうど3ヶ月ほどなのだろう。
「即日販売」であると「一瞬の高揚感に任せて購入」というパターンが多いからその一瞬の熱が引けば購入者はすぐ騙されたと気づくだろう。 しかし、こうした「短期間定置型」(←今勝手に私が名付けた)だど購入者は1ヶ月近く販売員の口上を聞かされ、薬を水にすこしずつ溶かしこむように洗脳させられるわけだから、購入者が騙されたと気づくのはよっぽど後のことだろう。例え気づいたとしてもこれではクーリングオフ期間などとうに過ぎている。しかも買うのは「健康」という眼に見えないものである。販売側はどうとでもいいわけができる。上手く考えたものだ。

なるほどなぁ、と思っているところに自宅の近所でまたそれらしき怪しいプレハブがスーパーの駐車場にできた。
老人や主婦がすずなりであること、販売員が不気味に明るいテンションであること、中では客が丸椅子に座らされ、そこであやしい講習が行われていること、このあたりは変わらない。
ただ、このプレハブがガラス張りで中の状況が丸見えであること、また、1回の講習が20分にもみたず客の入れ替えが激しいこと、さらに「催眠商法ではありません」などと謳っているところなどがどうも今までと違う。
みると「電子治療器の無料体験会」だという。
どうせこの電子治療器が数十万もするものなんじゃないの??とひそかに買い物のついでに不審な視線を送っている今の私である。

それにしてもつけいる企業の悪徳ぶりもすごいが(―――糾弾するつもりはさらさらないが、こういう会社にいる人たちがどういう感性の持ち主かちょっと話を聴いてみたい)それに騙されるお嬢さんたちも困ったもんだ。だいたい健康はお金で買えません。健康に必要なのは日々の努力とそして幾許かの基本的な正しい知識、これだけです。みのもんたの話とか真面目に聞いているようじゃだめだっつーの。
結局、欲深い人はより欲深い人に搾取されるというのが世の中の仕組みなんだなぁ。
せめて自分が年老いた時は静かに枯れていたいなぁ、としみじみ思う。


2004.06.30
落ち葉拾いのインデックスに戻る