メイン・インデックス少女漫画の館>倉田真由美「だめんずうぉーかー 1巻」・「くらたまのお蔵だし」


倉田真由美
「だめんずうぉーかー 1巻」・「くらたまのお蔵だし」

非常に残念賞


(「だめんずうぉーかー 1巻」/2001.07.30/扶桑社)
(「くらたまのお蔵だし」/2002.05.20/扶桑社)


うちの弟、うなぎはダメなものを見分ける能力がなぜか極めて高い。
基本的に瞬時に判断してそれがほとんどあたるから怖い。
暇だったので、自称西原理恵子の弟子、倉田真由美の「だめんずうぉーかー 1巻」と「くらたまのお蔵だし」をブックオフの100円コーナーからサルベージしてみた。
と、それをうな「なんでそんな金をどぶに捨てるようなことするの?」と瞬殺。
いや、くらたまは西原の「人生一年生2号」に載ってた5ページの漫画しか読んでないし、まだそこまでの判断材料ないし。
ということで、読んでみた。
……
ら、やっぱり、だめだった。
全然だめだった。全然おもろなかった。全然笑えない。むしろ作者の無駄な自意識が散見されて厭な気持ちになってしまった。
くらたま、ただのそこらへんにいる自意識過剰の厭な女とたいしてかわらないよ……。
自虐の裏にハンパな選民意識の垣間見えるただのダメなお笑いだったよ。
挫折。
うなぎは正しかった。

「いやぁ、私ってば死ぬ思いして受験勉強して一橋大学に入ったのに就職活動で余裕ぶっこいて『通っている歯医者変えたくないので東京勤務がいい』なんてかましてたら一流企業どこにも受からなくってさぁ」
「で、そんな時ちゃらっと描いた漫画が偶然賞もらっちゃって、うまうまと漫画家デビューしたらもうこれが貧乏貧乏」
「クラスメートはどんどんエリートコースに乗って出世するわ、金持ち掴まえて優雅にマダムってるわでやっとられませんわ。みんな収入一千万とか言ってふざけてますよ」

あのさぁ、こんな話に共感できる人?いる?
なーーんか、やな女、と思わない人がはたしているだろうか。いや、ない。
自分を貶めているようで、全然貶めてないでしょ、これ。
むしろ、こんなに抜群にイケてる私がなんでこんな不遇味わっているの?というぼやき。しかも、一般の人から見れば全然いい境遇だし。
フツーの人はちゃらっと一流国立大に入ることも、漫画家でデビューして、自分の思ったことをマスコミで披瀝することもできません。
ってゆうか結局この人はシロガネーゼの小マダムや億単位の金を動かすキャリアウーマンになり損ねて、ただ嫉妬しているだけじゃん。
そんな俺には関係のないどうでもいいコンプレックスなんて掘り下げられても、つまんね―よ。だいたいしっかり学歴つけて、とどこおりなく就活して、落ちまくっているって、それってただお前の要領悪いだけじゃん。
一言でいえば、「いいご身分だな、お前」って感じ。
自分をこんな安全なところにぬくぬくと置いておいて面白い話が描けるわきゃないじゃん。

で、実際、フツーのギャグ漫画(「お蔵だし」のほうね)は強烈なまでにつまらんのだから本当に救いどころがない。
でもって、後書きで「思い入れがある。自分の作品なのに読み返して笑ってしまった。」なんていわれると、寒いよ、なんてここは寒いんだ。ここは氷の世界だよ。
それにしてもギャグ漫画家が自分の作品を面白いとかいうかなぁ、フツー。

ヒットした「だめんずうぉーかー」に関しては率直な話、各回のクオリティーはネタ提供してくれる人頼みなわけで。
これは本人の実力はどれほどのものなのだろうかとしばし考えたくなるわけで。

あぁ、もうだめだめ。
西原の後継なんて100年早いよ。類似点は「麻雀やってるギャグ漫画家」ってくらいでしょ。正味な話。 例えば、くらたまから「ぼくんち」のような名作が出る可能性はコンマ1パーセントもないだろうし。
格が違うよ。三下のチンピラと本物の大悪党ぐらい格が違う。
くらたまの描いている悪意はつまんねー小者の持つ悪意、西原の持つ悪意は一生かけて昇華していかなくてはならない本物の悪意。西原の悪意は世界を変えるかもしれないけれど、くらたまにはその可能性は一つもないし、そんなこと本人もはなから望んでもいないだろう。
だからただ退屈なだけ。同じようなつまんない小粒の悪意を持っている人が「あ、私も同じ」と小市民的に共感する、それだけのもの。
なんつっーか、近い将来、テレビのワイドショーのコメンテーターとか、地方の講演会とかの「お文化的木っ端だめ仕事」をしている彼女の姿が俺には確実に見えましたね (もし、そんな仕事をしはじめたというのなら私に連絡ください)。

だいたいあの強烈キャラの瀬戸内寂聴と対談しているのに彼女を弄らないでおとなしくお話を拝聴してうっとりしているだけなんてギャグ漫画家として失格だよ。寂聴庵にやっくるおばはん達と変わらんじゃないか。
西原なら絶対ツッこむだろ。寂聴まんじゅうとか、説法テープとか。

ちなみにうなぎは先ほどの言葉の後こう繋いでいた。
「ま、古本なら本人に印税がいかないからいいけれど」
確かにその通りだな。と。
ともあれ早く西原と違う道を歩いていることを自覚してほしいものです。
そんな非常に残念な気持ちになってしまった1冊(でなく2冊か)でした。

大きなお世話のアドバイス。本当に「就職先なかったのでとくに目的もなくちゃらっと漫画描いているだけ」なら早くその椅子どきな。そしたら漫画家志望の誰かが座ることができるでしょ。
もう充分名前売ったんだから埋め草マスコミ仕事で食べていけるってば。そのほうが実入りがいいし楽だしさぁ、そのほうが双方にとって幸せなんじゃないの。



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倉田真由美  くらたまバッシング おかわり


2004.05.26

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