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厭なCM


厭なテレビ番組というのは見なければいい。でも厭なCMというのはある日突然の不幸のように予告もなしに訪れるからまいってしまう。
そんな厭なCMで特にダントツなのといえばサラ金のCMである。

ティッシュ配りが「まごころで配ると誠意が伝わる気がします」とこたえるものがあるが、 サラ金のティッシュ配りにあるという「誠意」というのが私には皆目わからない。
一夜考えて答えは出ず、眠れずに夜が明けた。
いや、眠れないのは昼寝したせいだった。ごめん。
その会社はただいま盗聴事件で話題沸騰である。

また、犬を衝動買いしたり、犬に無理やりタキシードを着せたりスノボーさせたりするCFもある。
「どうする?」でない。迷う余地などない。
いい大人が金もないのに、犬を買ったり犬のいやがる服を買ったりする、そんな選択肢を選べるわけがない。
ペットを飼うというのは生き物を飼うという事で、その生き物を背負うということだ。責任は果てしなく重い。
そんなサラ金で借りた金で気楽にするものではない。

また、妙にハイテンションな接客で「もしこんなのいたら客は引くって」と思わせる女性従業員がメインのCFもある。
「声の笑顔」だとか「お客サマにリラックス」、「笑顔の挨拶」などといっているが、サラ金の客はそんな過剰な接客は求めていないであろう。
そんな媚を売るような努力をするより、利子率を下げるなり――せめて出資法でなく利息制限法にあわせるとか、の努力をしたほうが客は喜ぶと思うが。
だいたい、私はサラ金の事務所でリラックスなんてしたくない。

とにもかくにもサラ金のイメージを払拭しようとの努力が垣間見える涙ぐましい作品群であるが、所詮サラ金はサラ金である。
こんなもの流して「今月厳しいな、なんて時は気軽に借りてよ」というイメージを出しても、一部の少々頭のよろしくない人が本当に気軽に借りて馬鹿を見るだけで、一般の良識あるひとは不愉快な気分になるだけである。
もちろん、サラ金、高利貸し自体を否定するつもりはない。
どうしようもなく首が回らない時というのもあろうし、そうした時に借りること自体は仕方ないことであろう。
だが、今のCMは、明らかに、新たな需要創出を狙っている。それがわたしたちをイライラさせるのだ。
視聴者もなめられたものだ。イメージを変えれば、客がくるとでも思うのか。

結論は早い。
借金などという、できればしないほうがいいものの新しい需要など生みださないで頂きたい。
この不況でサラ金会社の景気がよく、金が余っているというのなら、もっと違う形で市場に還元するべきである。
パチンコメーカーが潰れそうなゲーム会社を買い取ったり、映画に出資したりしているように、金の捨て方ならいくらでもあるというものだ。
とにかく私はサラ金のCMなど見たくない、ただ、それだけなのだ。


2003.12.03


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