六時開演。私はすこし遅れて一曲目「原始女は太陽だった」の途中から会場入りした。 会場は立ち見客もでる盛況で、私は一区切りがつくまでそのまま後ろで鑑賞した。暗い中席を探して右往左往しては迷惑だろうという他の観客に配慮するという気分もあったが、なりよりその日の明菜はいつにも増して気力が充実していて少しも見逃したくないという気持ちのほうが上だった。 一部ではやたら声の衰えをいたずらに指摘するものも居るようであるがあくまで近年の曲は明菜の製作意図によるものであるとと実感、相変わらずボーカルコントロールも絶妙で全くこちらを不安にさせない堂々とした佇まいであった。 とくに白眉は演目中間部でニューアルバム「レソナンシア」からの歌を一気に歌ったところで、さしずめ黒魔術師といった妖しげななりとフラメンコ調の振り付けで歌ったそれらはまさしく彼女の土壇場といったところだ。 前後にあったシングルメドレーもしっかりした出来であったが「これはファンサービスだよ」といった雰囲気すら感じるほど、新曲部分の勢いはすばらしかった。ただ去年のツアーから封印を解いた初期のつっぱり系ソングは断然今のほうが荒々しさが増していて良いのだが、今回も「十戒」「1/2の神話」などを歌いそして前回同様大変良かった。 結論。中森明菜という歌手の才能はまだまだ枯れていない。まだ彼女は成長する。 コンサートに関して提案があるとすれば、まだ彼女はナツメロ歌手ではないのだから闇雲にヒットシングルを構成のなかに入れるよりももっと自分にわがままな構成のほうが今後は良いだろうということのみ。「デザイア」「タトゥー」「飾りじゃないのよ涙は」「ミ・アモーレ」は毎回歌い過ぎではなかろうか。(ただ今回の「タトゥー」はダンサーとの掛け合いによってより曲の持つ猥雑さがまして、良かった) もっと全体の構成にあった形でピックアップしても良かろう。いたずらに過去のファンを保護する必要はないのだから。 蛇足であるが、ただいつも不思議に思うことは客層。もちろん中森と同世代か少し下くらいのファンが一番多いのだが、案外年齢そう高めの客が多い。明菜よりも遥かに年齢が上、五十過ぎまたそれよりもっと上のといった紳士ご婦人のかた。明菜のコンサートは彼女の意向なのだろうがいつもレコードよりも遥かにバスドラが効いていて、ほとんどハウリングぎりぎり、下手なロックよりも音圧にやられるのだが、ああいったの方々は「うるさい」と感じないのだろうか。 だとしたらすばらしい年のとりかたであるが。 あともう一つ蛇足。ベースに元クライズラーカンパニーの竹下欣伸、キーボードにアレンジャーとしても活躍している上杉洋史が参加していた。それぞれなかなかいいプレイであった。 |
2002.06.25