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漫画 単発小レビュー集


◆ 木原敏江 「ふるふる」
◆ 木原敏江 「千歳の再会」
◆ 吾妻ひでお 「逃亡日記」
◆ 吾妻ひでお 「便利屋みみちゃん」
◆ 奈知未佐子 「花渡り」
◆ 橋本正枝 「貧乏セレブ」
◆ 橋本正枝 「ブルー・ジャスミン」
◆ 紫堂恭子 「姫神町リンク 神KAKUSHI」
◆ 藤たまき「プライベート・ジムナスティックス」
◆ 藤たまき 「フラッグ」
◆ 篠原烏童 「EYED SOUL」
◆ 篠原烏童 「クォート&ハーフR」
◆ 篠原烏童 「ファサード (12〜14) 〜その果てに愛はあるのでしょうか〜」
◆ 今市子 「笑わない人魚」 
◆ 今市子「B級グルメ倶楽部」(2)
◆ 天川信彦・皇なつき 「アルカイック・チェイン」
◆ 梶原にき 朝松健 「オヅヌ」
◆ 高橋なの 「Dandy dragon & Spring Tiger」
◆ 甘野有記 「楼閣の麗人」
◆ 甘野有記 「翡翠のためいき」「霧の貴公子」「お花の王子様」「楽園の階梯」「踊る月華」
◆ 猪川朱美 「アイラブパパ」
◆ 米良仁「新判 丹下左膳」
◆ 小笠原宇紀 「Nightmare Fortress 〜魔神の城塞〜」
◆ 三原順 「はみだしっ子」



cover ◆ 木原敏江 「ふるふる」  (08.02/講談社)
 ままま、まりしんだっ。
 摩利みたいな遊芸人・活流と新吾みたいな修行僧・日古が、仲良く喧嘩しつついちゃいちゃしつつ諸国漫遊していて私はとっても幸せでした。
 つまりホモが出てて来ればそれでいいんじゃねーか、自分。はい、そうです。
 腐女子系クリエイターって、結局一つのカップリング(=関係性)しか描けなかったりするもので、 そして読み手もまたそれを一番求めているわけで、つまり、ずっとドジ様はまりしんしていればいいと思うよ?
(記・2008.6.8)


cover ◆ 木原敏江 「千歳の再会」  (08.02/集英社)
 大正浪漫探偵譚シリーズの最終巻。
 木原敏江の最大の武器である安定感だけが光りまくるこのシリーズ、最後も相変わらずの横綱相撲であった。
 ぶっちゃけていえば読む前と読んだ後の印象はなにひとつかわらず、漫画に「なにか」を求めているオタク層には訴求しない作品なのであるが、そんなことは描いている木原敏江自身が一番よく知っていることなのだろう。
 レディース誌で作家性出されてもね。これは土ワイや火サスを楽しむ感覚で、いいのだ。
 こういう作家として極めて「大人」な姿勢を一貫して守りつづけたのが、まさしく木原敏江であった。
(記・2008.6.8)


cover ◆ 吾妻ひでお 「逃亡日記」  (07.01/日本文芸社)
 吾妻ひでおの生誕から現在までの生い立ちをインタビュー形式で語った「失踪日記」便乗本――って、吾妻センセ自身が言ってるんだもん、だから買わなくっていいです、って。ま、確かにどうってものでもなかったけれど、娘の知佳ちゃんがイラストレーターになってたり、JUNEの佐川くんが京都精華大学の助教授になってたり、そういうミニ情報を仕入れたのでそれでよし。それにしても――。若い頃はジュリー一筋で、今はジャニーズ好き。萩尾望都を若き吾妻に薦め、今お気に入りの漫画は「ハガレン」「テニプリ」「ヒカルの碁」「デスノート」って、吾妻ひでおの奥さん、ガチガチの腐女子じゃねーかよっっ。やっぱりロリオタは腐女子と結婚するのが一番幸せなのかねぇ。
(記・2007.02.23)


cover ◆ 吾妻ひでお「便利屋みみちゃん」  (06.10/ぶんか社)
 「失踪日記」でなぜか再ブレイクしてしまった吾妻先生。久々のギャグ新刊。アル中復帰後、再ブレイク前夜の同人誌とか出しながら細々やっていた頃の作品が中心。 って、あれれれ。これ、フツーに面白くない?
 「もう、ギャグ漫画描かない」いうてる漫画家の作品につまらん、いうのももアレだが、うううう。 もう完全にギャグ漫画の態をなそうという意志を放棄しているような……。「エイリアン永理」とか「クラッシュ奥さん」とかアル中まっただなかの作品は、 「もうギャグ漫画の態をなすこととかめんどうだわ」というメタ的な視点がギャグとして成立していた感じだけれども、ここまで来ると無味無臭でフツーに眼が流れるるる。
 ただ、同時期の同人作品を引っ張り出して読み返すにやっぱり充分面白いわけで、この時期は自分が表現したいマニアックなネタは同人に、オファーの仕事はオファーの仕事と振り分けていたりかな、と、思えたりもする。
(記・2006.11.17)


cover ◆ 奈知未佐子 「花渡り」 (96.06/創美社)
 80〜90年代を駆けぬけたハードコア少女漫画誌「プチフラワー」(わたしの唯一の定期購読漫画誌でもありました)。その重量級の作品群のなかにあって常に独自の位置で短編作品を淡々と描いていた奈知未佐子さん。 すまんっっ。全然気づかなかった。こんなに良質の作品を描き続けていたなんて、今の今までこれっぽっちも気づかなかった。ごめんよーーー。
 はじめて精読した「花渡り」に感動。これを反省に先生の作品集めさせていただきます。はい。ひとまず私が持っている「プチフラワー」から読み直さしていただきますです。
 童話がよみたいなぁ、と、ずいぶん前から思っていた。 小川未明のような、浜田廣介のような、昔の質の悪い濁ったガラスのような、不確かな透明感のあるそんな童話がよみたいと思っていた。 そんな私の気持ちに奈知未佐子の描く物語はとても心地よく心に染みていった。
 「天使の釣り鐘」「宝の島の青い船」「雨寺の傘」……。人の生のおかしさや切なさ、よころびとかなしみ、ひとつの小さな物語にその全てが交じり合っている。うまい。そしてなりより物語を包む作者の温かな視線がここちよい。
 他の少女漫画家で言えば坂田靖子の世界が1番近いかもしれない。ともあれ、何たる不明―――。これだけできる人を見逃しているとは……。
(記・2004.07.11)


cover ◆ 橋本正枝 「貧乏セレブ」  (07.07/新書館)
 うああああっっ。いのまたむつみは「宇宙皇子」やら「サーバーフォーミュラ」やら「テイルズオブ〜」シリーズで稼いだ金をこんな風に無駄使いしてたのかっっ。
 財布はいつもからっぽの貧乏漫画家"まっち"=橋本正枝、けれども高校以来の親友のイラストレーター"むっち"=いのまたむつみは全盛期のマイケル・ジャクソンが会いに来たこともあるというけた違いのセレブリティー、彼女と一緒にまっちは850円の財布片手に今日もセレブな一日。
 閉館後の上野の博物館で、閉店後のデパートで、アラブの大使館で、オペラ観劇後に、大手ブランドのファッションショーの後に、繰り広げられるパーティーという名の、乱痴気騒ぎ。
 金と権威と格式のある、あるいは才能のある、あるいは美貌を湛えた、選ばれた男と女たちのあいだを物珍しげにまっちは回遊する。さらに日本を離れて、そしてロスへ、プロバンスへ、ボローニャへ。どこまで続くラ・ドルチェ・ビータ。
 なんというか、バブルだ。
 それを得るために何か大きな代価を払ったというわけでもないのに、運とキャラとタイミングで富にご相伴、というのは、これ、 90年代青春組には、かなりいらっとくるものがあるのでは。
 バブル青春組って、こういった能天気なポジティビティーを持った人が多いけれども橋本正枝は格別。金はないが、心はどこまでもぼんぼんの貴族。
 「パンがないならケーキを食べればいい」
 本気でそういえる人ってのは不思議なもので、パンが口に入らなくなる星回りには決してならないのだ。しみじみ。
 次々と展開されるむつみと正枝の激友っぷりとか――あんたらソウルツインか ? 小林智美の友人( 山藍紫姫子か? )の招待で小林・いのまた・橋本の3人で打ち上げ花火まであげてもらう豪華温泉旅行、でも夜更けになるとやっぱり三人スケブを囲んでの落書き大会とか、 80年代のJUNEっ子として微笑ましい場面も数々あり。わたしは好きだけれども、嫌われる要素も多分に含んだ1冊かと。
(記・2007.07.27)


cover ◆ 橋本正枝「ブルー・ジャスミン」  (04.09/宙出版)
 好きだった少女漫画家が、ハーレクインのコミック化作品を手がけたりするのを見るほど切ないものはない、って思うわたしはハーレクインを差別しているのだろうな、きっと。
 ま、いいんだけれども。世の中、右を見ても左を見ても、願望充足作品が横溢しているわけで、それをいまさら批判するのは大人気ないってものです。
 ってわけで、まあ、普段はそういったものはこの世にないものとしてスルーしているわけだけれども、好きだった漫画家がねぇ、こう、久しぶりに、ハーレクインで単行本出しましたよ、っていうのはさ、まぁ、漫画ってのは、好きになる要素に、物語もあるけれども、絵ってのも、また、多いわけで、そんなこんなで、なかなかスルーしきれないわけで。
 と、相変わらずうだうだいっているわたしなのですが、えーーー、この作品は、そこそこよかったです(笑)。
 砂漠を舞台に、アラブの王子様カシムと、イギリス人の画家の娘ローナとの、まぁ、いわゆるアラビアン・コスプレ・ラブロマンスってやつで、まぁ、みなさんの想像とおりの展開を見せますが、「マージナル」のアシジンみたいな、カシムさまのちょっと不器用でワイルドなお姿がおすてきだっので、もう、それでいいんじゃないかな、と。カシムさまの黒の着こなしにうっとりすればいいんじゃね、ということで。
 こっち系のコスプレ好きなんだよな、おれ。橋本正枝の絵によるエスニックコスプレが好きなら、読んで問題ないかな。て、ま、わたしは橋本正枝さんの絵が見れればそれでいいという、それだけなんですが。
(記・2005.11.30)


cover ◆ 紫堂恭子「姫神町リンク 神KAKUSHI」 (全二巻/01.09〜12/角川書店)
 角川移籍後のこの人の作品がどうしても好きになれない私であったが、この作品を読み終えたいまなら、はっきりとこういえる。この人、漫画描くの、下手になった。
 元々紫堂さんの作品って、作者の善良さが作品の内容を最大に引き立てていたのだけれど、どうも本人は素質を見間違えたような気がする。
 やたらファンタジーづいているけど、残念ながら、彼女には異世界を構築するという妄執のようなモノがないし、なにより善人しかかけないので、壁があるのだ。  大傑作「辺境警備」と「グランローヴァ物語」の夢を作者も編集もいまだに追いかけてしまっているからなのかこういった作品ばかり手を染めるけれど、上記2作が成功したのはファンタジーだからでなく「おとぎばなし」だから。それらは心傷ついた者(――それは作者自身だったのだろうが)のための癒しの物語なのだ。それがここには、ない。
 とにかく、もういい加減、学園モノとか、無国籍ファンタジーはこの人はやめておいたほうがいい。
 この「姫神町リンク 神KAKUSHI」に関しては掲載誌廃刊による打ち切りだからなんともいえないが、とにかく設定が陳腐。あと、萩尾望都の「あぶない丘の家」を想起させるだけでとくにオリジナリティーを感じなかったのも減点。
 処方箋として私がいえることは「エンジェリック・ゲーム」をきちんと完結させなさい、ということ。アメリカが舞台で「戦争経済」がテーマのこの作品、舞台を善人だけのおとぎ話の世界からシビアな現実世界へと持っていき、ここでいかに夢を希望を浪漫を紡ぎだせるか、といったプロ作家としての試金石となるはずだったのに、角川移籍前後に連載中止。本人もホムペで続きを描く意志がないといっている。まったく困ったもんだ。
(記・2003.09.03)


cover ◆ 藤たまき「プライベート・ジムナスティックス」 (全3巻/00.12〜03.08/新書館)
 これって、もしかしてホモのカミングアウト物語?
 愛し合う二人にとってただお互いがいる、ただ、それだけでこの世の楽園。世界は二人のためにあるのー――的な80年代恋愛至上主義の向こうにある作品かもしれない。 恋愛、それ自体はすばらしいし、好きなように謳歌すればいい。 だけど、それは果たしてあなたを今まで育ててきた家族や友人や周囲の環境もろもろをなかったことにしていいほどのものなのかしら?
 そんな作者からの問いかけとみた。
 これは駆け落ち、心中の栗本温帯にも書けないだろうし、その辺に転がっているらぶらぶボーイズラブ作家にもこれはかけないだろう。 ま、いつもながらのリリカルだし、やっぱり主人公達は大人になろうと、自分と周囲とに折り合いをつけようと必死で、そこがいとおしい作品。
(記・2003.09.03)


cover ◆ 藤たまき 「フラッグ」 (全二巻/05.04〜07.02/徳間書店)
 人の心が旗となってみえるちょっとひきこもり気味の少年、聖。彼は腹違いの兄と同居しているのだが、彼の周りには色々な男たちが集まって……ブラコンの聖はそんな兄がちょっとばかり小憎らしく……というやおいホームドラマ。
 しっかしのこの人の15年ほど前の「JUNE」の投稿漫画風味というのはいったいなんなんだろうか。
 主人公の「人の心が旗になって見える」という設定がもう既に「あぁJUNEだなぁ」というシロモノだし。 しかもこの真性「June」な地点から更に深化していくでもなく、安易に劣化するでもなく、絶妙なところにずっと書き続けているわけで、不思議な作家の一人だよなぁ。
 そんなわけでこれもJuneとしてはそこそこ良作。危なげありません。
(記・2005.05.12)


cover ◆ 篠原烏童 「EYED SOUL」  (連載中/07.02〜/徳間書店)
 あ、今度のChara連載は香港ノワールじゃないんだ。 人の世界に溶け込む人ならざるもの、彼らは神か妖異か、って、帰ってきた「純白の血」ですか。 もう、ほんと、なんていったらいいのか、とにかくありがとうございます。狼男な主人公、稜と吼がもう、やおい過ぎ。ってか絶対出来てるよね、ふたり。
 内容は超王道のシリアスな篠原節で、これからの展開が楽しみ。彼女は24年組の作品性を継承している作家のひとりだと、確信するね、わたしは。
(記・2007.03.26)


cover ◆ 篠原烏童 「クォート&ハーフR」  (連載中/07.02〜/朝日新聞社)
 本当に帰ってきた「クォート&ハーフ」。動物霊媒師クォートと相棒の黒猫ハーフのどたばたオカルトコメディーなんだけれども、新キャラのツンデレイケメン霊媒師・ラクシャスが、もうなんというか、こいつ絶対誘っていやがる。もう、やるしかっっ(――え?)。
 なんかこう、いちいちツボなんだよなぁ。篠原さんのこういうキャラ。わたしもラクシャス様に「まだるいっ」って言われたいっつーの。こちらも続いてますが、いかにも「ネムキ」な安定路線のキャラクター漫画でずんずん突き進んで欲しいぞ、と。
 ところで前シリーズのヒロイン、長袍を可憐に着こなす男装の中国系美少女、思遠ちゃんはどこへいったんだぁっっ。
(記・2007.03.26)


cover ◆  篠原烏童 「ファサード 12〜14巻」  (05.06〜06.08/新書館)
 「ファサード」シリーズで最長シークエンスかな、これ。「その果てに愛はあるのでしょうか」という副題。戦争放棄を謳い、自然と科学技術が見事に融合した文化を築き上げたある国家。しかし周辺国家の政治情勢から戦争に巻き込まれてゆき――という、「男性社会、いくない」と「日本は憲法第9条を固持しましょう」が入り混じった社民党みたいなお話。って言ったら、随分な言い方ですが、これって、手塚・24年組に以来の漫画のメインストリームの思想ですよね。  元に今、ミサイルが飛んでいるのに、わたしたちははたして非暴力主義を貫けるか、どうか。そこまで菩薩になれないよなぁ。少なくとも私は。戦いは負の連鎖、その先に平和なんてないっていう、それはよく分かるんだけれども。あなたは菩薩になれますか? 平和のための尊い犠牲となれますか? 篠原さんはこれからも恐がらずに、もっともっとこういうテーマに踏みこんで欲しい。
 しかし、ファーサードの出生の秘密がこんな形で解明されるとは思わんかった。いつか訪れる最終回のための布石の回。ってわけで、相変わらず篠原先生は全速力でやおい臭い、しかしやおいでない少女漫画をお描きになられておりました。
(記・2007.03.26)


cover ◆ 今市子 「笑わない人魚」  (05.02/あおば出版)
 「楽園まであともうちょっと」のプロト作品で「真夏の城」という作品が収録されていた。「楽園まで〜」は往年のTBS水曜劇場のようなドタバタでむちゃくちゃなホームドラマっぷりが楽しくって気に入っている作品だけれども、「真夏の城」は普通の「やおい」なのね。ちょっと意外。 川江がちょっとかっこいいのになんだかむかついた。川江はもっと何考えているかわからないヘンな奴で、浅田はもっとひねくねて可愛気のないこところが可愛い奴なのぉ〜。 それにしても、この人って絶対「やおい」や「ホラー」や「動物モノ」より「ホームドラマ」の人だと思うんだけれどもなぁ。俺の気のせいかなぁ。
(記・2005.02.28)


cover ◆ 今市子「B級グルメ倶楽部」 (2)  (06.10/ムービック)
 ただのゲイカップルがメインのホームコメディーという感じ。ゲイ版橋田壽賀子ドラマというか。はたしてこれはやおいとえるのか? って、こういった話は1巻が発売された時にレビューしたな。
 えー。既にカップルとして出来あがっているふたりの終わっている具合をひたすら追いかけた2巻は、「らぶいちゃぬるやおい」を楽しむ感覚で楽しみました。みなさんも読みながら、たのしく砂を吐きましょう。なんだかんだいって読ませるんだよな。面白い。 読んで人生が変わるとか泣けるとか、そういうのではないのだけれども、日常のよくあるしょーもない部分の描写がいちいち上手くって、いちいち半笑いしてしまうのだ。
(記・2006.11.16)


cover ◆ 天川信彦・皇なつき 「アルカイック・チェイン」  (05.09/マッグガーデン)
 スメラギ先生お元気でしょうか。「始皇帝暗殺」以来樹海に迷い込んだスメ様ですが、思ったよりこの森は深そうです。あぁ、出口が見つからない。てゆーか、「始皇帝暗殺」→「双界儀」→「黒猫の三角」→「アルカイック・チェイン」と、どんどん鬱蒼としてきているような。いま、俺が歩いているところはけもの道ですらない、という、なんかそんな深い森に体まるごと抱かれている感じです。って褒め言葉みたいな比喩だな。先生―――、帰ってきてくれーーーーーっっ。
 正味の話、買うのに、迷った。はじめて迷った。これャもうダメかもしらんね。と。なかったことにしとくべきか、と。でも、あなたとの愛の日々が忘れられないダメな女なの、あたい。「花情曲」とか「梁山泊と祝英台」の頃が忘れられなかったの。体が覚えていたの。だから、やっぱり買っちゃって、読んじゃって、そして、だるーーーー。 ストーリーはほんっっとしょーもないし、しかも思いっきり打ち切りで「俺たちの戦いはこれからだぜ」エンドなので、本当にマジ読む必要なし。
 てゆーか、スメラギ先生、ここ最近なんでよりにもよって厨臭い原作で作品を描くのでしょうか?よりにもよって、スメ先生の希望というじゃないですか。僕にはさっぱりわかりません。オリジナルの時はそんなこと全然ないのに、何故。
(記・2005.10.09)


cover ◆ 梶原にき 朝松健 「オヅヌ」  (連載中/06.04〜/幻冬舎)
 リメンバー、藤川桂介。
 役小角の少年時代の物語。頃は、壬申の乱直前。小角は半神半人の「キ」の唯一の末裔で、力によって黄金の狐に変じる。 幼い頃介抱された大海人皇子のもとで、暗殺者と生きている日々の彼が、ある日、「キ」の生き残りと出会い―、っていう、他、まつわぬの神々とか、蝦夷とか、百済とか新羅とか、天智帝の暗殺を大海人皇子に進言する藤原鎌足とか、一方でなんだか色々企みまくっている息子の美少年不比等くんとか、韓国広足とか阿倍比羅夫とか色々でてきーのな、つまりは宇宙皇子宇宙皇子な作品。固有名詞からしてもう懐かしい。
 それにしても役小角がマゾヒステッィクな受け受けしい美少年って言うのが、イメージつかね―なぁ、おい。後の持統帝であるウノノサララ媛が萌え系はいっているのも、ちょっとびっくり。持統帝、息子を孫を天皇に擁立するのに必死な教育ママってイメージだからさ。ま、藤川センセの古代モノの諸作とか、火の鳥の太陽編とか、10代の頃がっつり読んでいたわたし的には、特に目新しい展開が待っているようには見えない漫画ですよ?
 つか、梶原センセ、正味な話、なんでちゃんとオリバナル書ける人なのに、こういうしょーもない原作つきばっか書かされてるかなぁっっ。ボクにはその大人の事情がまったくわからんですばい。
(記・2006.4.30)


cover ◆ 高橋なの 「Dandy dragon & Spring Tiger」  (06.04/司書房)
 まさかよもやの復刊。
 87〜90年頃に今は亡きみのり書房「アニパロコミックス」にて掲載された大河ドラマ「独眼龍政宗」「武田信玄」パロ漫画。 90年にみのりから出版された「Dandy dragon」に未収録分と「Spring Tiger」を加えた完全版。
 まさか、本当に出版されるとは、現物を見るまでにわかに信じがたかったよ。わたしは、こういうまるキャラが、たわいもなくきゃわきゃわいっているアニパロ四コマ大好きッ子なんで、白井三国志とともにひっそりと愛していたんだけれども、とはいえねーー、まさかねーー、いまさら本にしてくれる出版社があるとは、ってか、よく覚えていたよね、司書房さん。エライっっ。今作で「アニパロコミックス」での高橋さんの大河パロ作品はほぼコンプリの模様ですね。よかったよかった。
 「STOP劉備くん」好きな人は、読んでもきっと後悔しないものだと思いますんで、まだ読んでいないみなさまもひとつ、よろしくお願いします。って、俺は、出版社の人間か。
(記・2006.4.28)


cover ◆ 甘野有記 「楼閣の麗人」  (03.12/芳文社)
 「っていうか、美少女(のような美少年)受のやおいって、そんなツボでないかも。萌えたの「アーシアン」のちはやちゃんと「トラブルフィッシュ」の潮くらいだしさ」
 と、年末にhisuiさんにふぢかましたまこりんさんが新年最初に読んだやおいがコレ――って思いっきり「美少女受」やないかぁっっっ。
 時は19世紀末、場所は英国。変人貴族と名高いリチャード・バーンシュタイン伯爵は、ある日、阿片窟でまだ幼い東洋系の美少年、李悠を拾い、彼を召使として雇いあげる。
 て、ストーリーのオープニングを説明するとじとっとしたお話かな、と思うがさにあらず、本編は気のいい変人リチャードさんと健気で不器用で勝気な李悠ちゃんのほのぼのらぶいちゃ的日常が延々と描写、 リチャードと李悠は、主人と執事見習の関係だけれども、時に親子であり、時に恋人でもあるよ? という、それ系です。
 で、問題の李悠ちゃんは、素で少女と間違えられる美貌で、女装もします、てかさせられます、チュールをつけてデコルテをばっちり出したドレスだって着せられます、そしたらやっぱり強姦されそうになります、もちろんご主人様がすんでのところで助けにきてもくれます、っていう。
 もうね、お約束だってわかっている。これ、李悠ちゃん性別女性にして、メイドにしちゃえばそのまんま大きなお兄さんがちんちんおぎおぎするような話だって、よぉーーーっくわかっているっっ。 でも、黒髪ストレートのロンゲで健気で一途で美少女な李悠ちゃんがかわういんだもんっっ。ポニテが似合い過ぎてるんだもんっっ。
 hisui、ごめんご。やっぱ、こういうの、ツボだったわ。

 それにしてもこの作品、ヨーロッパの貴族社会という舞台に、キャンディーキャンディーやマイフェアレディーを髣髴とさせる古典的なストーリーが80年代ど真ん中なのもさることながら、絵柄も凄い。これ初出は80年代前半ですかといいたくなるほど。
 ものすごい、意地のかけあみや点描、みちみちっとしたコマ割の細かさが、どうみたって、80年代。 いまやフツーにトーンやらコピーやらCGでやるところを全篇手描きで突っ走る人がまさかいたとは……。あきれるほどにみっちり書き込んでます。
 あとあと、やおい描写も80年代的。ふたりは「できてる」状態だけれども、セックスそのものは決して直接的に描写せず、あくまで表現の核は日常の瑣末な事件から漂ってくるふたりのらぶらぶ具合、という。 これは80年代の「LaLa」か「グレープフルーツ」って感じかな。もはや「June」ではない。 「June」に入れるには、エロ指数が低すぎるという、そんな非常に奥ゆかしい作品です。
 これが21世紀に新作として読めるのは、ある意味やおい界の奇跡かも。 甘野有記さんには、ぜひともこれからも80年代少女漫画でいていただきたいです。他の作品も読もっと。
(記・2007.01.06)


cover ◆ 甘野有記 「翡翠のためいき」「霧の貴公子」「お花の王子様」「楽園の階梯」「踊る月華」
 「翡翠のためいき」と「霧の貴公子」は先日の日記で感想を書いた「楼閣の麗人」 のリチャード×李悠シリーズ。英国貴族社会で日常ほのぼのやおい。「お花の王子様」は現代を舞台にしたファンタジーラブコメやおいで、hisui嬢お薦めの一冊。「楽園の階梯」は中世ヨーロッパの修道院を舞台にしたゴシック浪漫シリアスやおいで、「踊る月華」は大正浪漫で幼馴染みなこれもシリアスだな。
 で、結論から言うと、この人は"日常ほのぼのなラブコメタッチの美少女受やおい"が一番面白い。てか萌える。「楽園の階梯」「踊る月華」も悪くはないんだけれどもね、なんかシリアスになると良さが半減するな、この作家さんは。
 もち、李悠たんがかわういのは相変わらずでしたが、「お花の王子様」の平安貴族風の花の精霊《お花ちゃん》もかわういぃぃ。お花ちゃんはうざかわいい系だね。ちっちゃくなったのおっきくなったりするのですが、巨大化するとうざさがさらに増していい感じ。
 買う前に立ち読みしなくってよかったわ。「むふふ、うひょひょ」ときんもい声だすこと確実でしたよ、ええ。わたし的に、やおいの愛は、暑っ苦しいくらいがちょうどいい、です。
 とはいえやはり、李悠たんが一番かわゆぃぃぃぃ。うおおおおっ。ハイティーンの今も素敵だけども、ローティーンの頃も、もっとちっちゃい頃もっ犯罪級のかわうさ。 10数年"MY BEST OF 美少女受"の王座を決して譲らなかった「アーシアン」のちはやちゃん、最大のピンチだっっ。もう、どうしよう。どうすればいいの ?
(記・2007.01.26)


cover ◆ 猪川朱美 「アイラブパパ」  (07.11/朝日新聞社)
 短編集「オルゴールドール」収録。「晴明」「朝霧の笛」(「紅蓮の義経記」所収)など、時代物のアクションシーンがカッコいい猪川朱美さん。「ネムキ」に久々に彼女の名前を見つけ、購入。今回は現代モノなんだ。
 滝本敬二。39歳。独身。ミュージシャンを廃業し、今は田舎暮らしのハンパな音楽ライター。 ある日、彼のもとにひとりの少女がやってきて、こういう、
 「わたしは、あなたの娘のゆかりです。ママのことを覚えていますか」
 しかし、女性遍歴の多かった彼はなにも思い出せない。 それ以来、毎年年の瀬になると、自称娘のゆかりが彼のもとにあらわれるようになって――。
 子を思う親の気持ち、親を思う子の気持ちが不器用に交錯する、 つまりはフツーにいまどきの、ちょっといい話。このまんまで邦画になりそう。 こういうリリカルで爽やかなモノもかけるんですね。
 逃げ癖の強いダメ中年男の主人公と、そんな彼を愛する周囲がリアリティーをもって描かれているところがなかなか大人味。
 それにしても、この人、絵が地味にうまいっっ。ネームなんて、完璧に近いんじゃなかろうか。ネームのうまい漫画は、読んでいる時、絵なのに動くんだよね。
 彼女は、地味な洋服に身を包んでいるけれども、実はナイスバディーのおねぇちゃんって感じ。もっと自信を持って、もっと華やかになっても罰はあたらないと思う。そしたらもっと人気が出るんじゃないかなぁ。
(記・2007.03.05)


cover ◆ 米良仁「新判 丹下左膳」 (03.11/リイド社)
 格闘ゲーム全盛の90年代中頃「サムライスピリッツ」のキャラクタ―デザインを担当した白井影二さん、SNKが倒産してその後どこにいかれたかと思いきや、別名で劇画誌「コミック乱 Twins」(リイド社)で時代劇漫画を書かれていた。というわけで読む。
 派手な剣戟よりも小粋な人情話が主体。読んで血が熱く滾るというのはなく、むしろ人肌でほんのりと暖かくなる、という感じ。時代・歴史モノというとどこか男性原理的な上昇志向やらなんやら、「男たるもの〜べき」といった鬱陶しさがつき纏うものだけれども、それがここにはない。
 それは丹下左膳が「一度死んだ者」=「男性社会から排除された者」だからだろう。 彼は藩内の派閥争いに巻き込まれ、瀕死の重傷のまま山に捨てられたところを蒲生泰軒と後の妻になるお藤に拾われ、そこでそれまでの名を捨て、丹下左膳となる、という履歴を持っている。であるから、彼には男性社会のしがらみが一切なく、あるがままに愛するものを愛することができる。
 本当、この左膳、羨ましいほどにお藤とらぶらぶだし、ちょび安のいいパパなんだよな。理想の家族だよ、ホント。だから彼は、強くてカッコよくっても、全然押しつけがましくない。
 奥さんと子供に囲まれて、幸せだったらそれでいいじゃん、という姿勢なのだ。しかし自分がそうであるようにはみないかないのが世の中であり、その哀歓が物語の核となっている。
 この丹下左膳の解釈は一般的に敷衍されたものなのか、あるいは作品独自のものなのか、私はわからないけど、とにかく、いいなと思った。
 この本は雑誌掲載の全28話のうち九話を選んで収録、続刊は売上次第というところだったのだろうが、この単行本も出版されて五年、未収録はこのまま埋もれるのかぁ。勿体無いなぁ。読みたいなあ。
(記・2008.9.26)


cover ◆ 小笠原宇紀 「Nightmare Fortress 〜魔神の城塞〜」  (06.08/リブレ出版)
 エロエロやおいファンタジー。やおいフルスロットル。
 「平和なリゾート地、ベルナー公国の王室警護隊に所属するフリッツは幼い頃の記憶がない。そして保護者であり、上司でもある隊長・吉祥(きっしょう)―――彼の姿を見る度に、フリッツは毎夜高ぶる熱を抑えられないでいた。 ある日、突如として現れた異形の者達に公国の王子は陵辱され、人々は犯されながらも快楽を貪り耽り、場内は淫猥な舞踏会へと一変する―――!」
 以上が、単行本裏表紙の作品解説なんだけれども、このあらすじの部分までが作品はじまってからなんとわずか10Pまでのこと、いきなりのトップギアですよ、センセー。このあらすじを10Pのネームでまとめられますか、フツー。
 しかもそのあとがまぁ、「淫猥な舞踏会」なわけで、ちんちんの乱舞というか精液まみれというか、相手をとっかえひっかえ入れたり出したり、大変なことになってます。
 しかも、これにかててくわえて「ファイナルファンタジー7」以降のゲームファンタジー的な世界観むちゃくちゃのファンタジー要素をふんだんに盛り込みまくりおってからに、無茶しすぎ。ある意味やおい版「バイオレンス・ジャック」?「うろつき童子」?
 ざっくりいうと、色んな理由で、堕天使が降臨して人を犯しまくっている国があって、その国を取りもどすために、元国家警護隊、今日本の神主さんが模造ピストル片手にえっちでエクスタシー状態の堕天使を祝詞の書かれたBB弾で撃ち殺す、という話で、まあ、一種の退魔行モノなんだけれど、どうですか、フツーの話なのですか ? この手のジャンルではこういうの。
 以前の「裏刀神記」の時もそうだったけれども、聞いたこたない固有名詞連発のこちゃこちゃした設定を、読者への説明をぶっちぎってすすめまくる、という、にちゃんでいうところのものすご厨房臭い作品です。高速厨房エロエロやおいエキスプレスに、おこちゃまやおらーや半端な大人やおらーは、乗り遅れること必至かと。
 なんていいながら、この悪趣味な作品を半笑いで読んでいる自分もどうかと思うが、ここまで突き抜けると、むしろ爽快だったりするわけで。ひっじょーに人に、薦められない、薦めたくない、しかし、やおいとしかいいようのない作品です。好きといえないけれども、否定はしたくない。
(記・2006.11.16)


cover ◆ 三原順 「はみだしっ子」  (白泉社)
 腐抜けたシルバーウィークに活を入れるために名作と名高い「はみだしっ子」(三原順 著)全巻を読み通す。友人に「まこは絶対気に入るはず!!」と太鼓判つきで薦められたのだ。
 そして読了。結果、どよーんとした気持ちになる。
 なんだろうな、この感じ。こうね、うっかりメンヘラさんのブログをじっくり読んじゃった後みたいな、どろんとした深い沼に足を取られてしまいそうな、そんな危うい感じ。「残酷な神が支配する」に女性カウンセラーのペネローペさんっているでしょ、ジェルミの救われなさ過ぎる告白を聞いて、気持ち悪くなっちゃう、「もう逃げ出したい」って、つい思っちゃう、あの人。あの感情に一番近かった。
 やばい、このままぼうっとしていると一緒に泥沼に引きずられていく、みたいな。このままだと私も一緒にゾンビになっちゃう、みたいな。
「違う、それは間違った考え方だ」と理性で何度抗っても、自分の中に潜むチャイルディッシュな感情が、どこかこの作品を受けて入れようとしてしまって、とにかく始末が悪い。気持ちをもってかれそうになる。悪霊退散!!と思わず十字架突きつけたい。そんなダークサイドに私は落ちないぞっっ。
 そんなわけで私にとって「はみだしっ子」は「中二病をこじらせてメンヘルになった人が物凄いスピードでこちらに近づいてくるような作品」でした。――ってどんな評価だ。
 色々と語ることはできるけど、なんか沼に引きずり込まれそうで恐いのでしない。ただひとつ、この話には作者がわざと見ないふりしていることが多いと思った。「そんなことない」とファンの人は云うのかもしれないけれどもね。とにかく私はこの話の世界が好きじゃないっ。本当の現実に蓋していると思うねっ。
 だいたい、定期的に銀行からお金振り込まれてて家出少年気取るって、そりゃねーだろ、おい。どんだけ甘やかされているんだよ。それで大人は汚いってよく言えたもんだな。俺だって金があるならほいほい家出するわさ。
 ――と、こんな作品を絶対好きなはずと薦められるってことはわたしは中二病で屁理屈屋でメンヘル気質で子供っぽい奴ってことなんだろーな。……はい、そこ当たっているって云わないっ。
(記・2009.09.22)

09.02.23 編纂
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