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「イエローマジック/テクノマジック歌謡曲」

(2005.02.23/ソニー/MHCL-490〜2・MHCL-493〜4)

「イエローマジック歌謡曲」【disc:1】 1. YELLOW MAGIC CARNIVAL(single version) 2. エレクトリック・ラブ・ストーリー 3. ユー・メイ・ドリーム 4. チャイナ ローズ 5. 憧れのラジオ・ガール 6. 夜の翼 7. IDOL ERA 8. CARNAVAL 9. AH! SOKA 10. 浮かびのピーチガール 11. ラジオと二人  12. アパルトマン 13. 春咲小紅 14. ハイスクール ララバイ 15. コンピューターおばあちゃん 16. 恋はルンルン 17. ティアドロップ探偵団 18. プリティー・ボーイ……大・丈・夫
【disc:2】  1. 赤道小町ドキッ 2. サマルカンド大通り 3. 哀愁のデスマッチ・ラブ<予告篇> 4. 夏の雫 5. ハートブレイク太陽族 6. しあわせ音頭  7. コズミック・サーフィン 8. ねらわれた少女 9. ロマンチスト 10. 雪列車  11. 三国志ラヴ・テーマ 12. I Like Best 13. 哲学しよう 14. だって、ホルモンラブ  15. ティーンエイジ・イーグルス 16. きたかチョーさん まってたドン 17. 君の名はサイコ 18. 毎日僕を愛して 19. From Tokyo -Endingメロディーはリピートで-
【disc:3】 1. わがままな片想い 2. まりン 3. 鏡の中の十月  4. ダンスホールで待ちわびて 5. ピンクの鞄 6. 玉姫様  7. 風の谷のナウシカ 8. ピンクのモーツァルト 9. ファンキーマージャン 10. リセエンヌ 11. クララ気分 12. タキシード・ムーンで夕食を 13. 銀河鉄道の夜 14. 生意気娘 15. NEO-PLANT (12inch single ver.) 16. SIAM PARADISE 17. 天使のゆびさき 18. 時代よ変われ
「テクノマジック歌謡曲」 【disc:1】  1. 宇宙人ワナワナ 2. ROBOT 3. チャイナ・ガール 4. ミスターシンセサイザー 5. デジタラブ 6. あららこらら 7. 想像力少女 8. AMENIC-逆回転のシネマ 9. SOSペンペンコンピュータ 10. ハートがピッピッ 11. 哀愁のオリエント急行 2. スペース小町 13. Eccentric Person, Come Back To Me 14. くちびるヌード 15. HOSHIMARU音頭 16. 夏へ抜ける道 17. チラチラ傘しょって 18. Time Out 19. ニュアンスしましょ
【disc:2】   1. 東京ブギウギ 2. スクスク 3. 何んかちょうだい 4. Wa・ショイ! 5. 嗚呼!武道館 6. 花のように 7. えんぴつが一本 8. 途中にしてね 9. はいからさんが通る 10. 太陽になりたい 11. 靴をはいたサマー 12. 傘を持ってでかけよう 13. 星空のパスポート 14. ラメントNO.5 15. コンビニ天国 16. 地球の危機 17. 彼は外人 18. ウェイトレス




まぁ、70〜80年代の歌謡曲に関するサイトを運営しているような人間の端くれとして、80年代初頭に大ブレイクしたYMOを中心とした日本のテクノ・ニューウェーブモノってのは大好物のひとつで、まあ、それなりに聞いているつもりでいた。 いたんだが、この2枚のコンピレーションを聞いて正直やられた。
いやぁ、わたしなんざ全然ひよっこですよぅ。ただの知ったか全開にわかマニアでしたよぅ。って、思わず卑屈になっちゃうもんね。
誰だッッ、こんなマニアックな選曲をしたやつはっっ。ビックリして買っちゃったじゃないかぁっっ。



えーっと、これは80年代テクノ歌謡コンピレーションで「イエローマジック歌謡曲」がYMO関連、「テクノマジック歌謡曲」がそれ以外、という感じなんだけれども2セットあわせて全92曲という大ボリューム。
もうここはテクノ地獄なの?てなもんですよ。これはテクノという名の新手のいじめか、と。
ええぃっ、どいつもこいつもピコピコしやがって、と。
もう、冷静になることも容易でなくなってしまう。

いやぁ、こう選曲がね、「春咲小紅」「ハイスクールララバイ」「風の谷のナウシカ」などのお約束のテクノ系ヒット曲、あるいは「ハートブレイク太陽族」「ねらわれた少女」などのマニアのみの知名度なら抜群の裏名曲といったものはもちろん収録されているのだけれども、 こんなものどっから持ってきたの?という、これ選んだのどんなオタクだよ(――や、田中雄二さんなんだけれども)と、そんな楽曲がてんこもりにありまして。(―――ソニー系の音源が当時の実勢よりもちょっと多めじゃねぇの、ということにはあえて触れない。大人だから)
こんなのあったんだぁ×うわっそれにしてもなんだかすげぇ、という素直な驚きの2乗で、もうマニアゴコロくすぐられまくりですよ。もう。
このコンピだけでも充分素敵なんだけれども、もっと聞きたくなる。1曲だけでなく、じゃあアルバムでは他に何やっていたのかしら、とか、気になる。気になりまくる。
で、気がついたら、解説文に載っているアルバムタイトルを思わずGoogleで検索している。ネットオークションで落札している。中古レコードショップ漁りしている。ヤバイ。金がいくらあっても足りないっっ。
危険ですよ、この作品は。非マニアにはともかくマニアには「取り扱い要注意」。マニア的好奇心刺激されまくりで、気がついたら、散財してしまう。現にこのわたしはコンピ聞くまでまったくノーマークだった同日発売の「Complete SUSAN」をしっかり買っているし。



「イエローマジック歌謡曲」のほうはもう色々楽しすぎる玉手箱状態。
伊藤つかさ、安田成美、中原香織、ユミから、ロリータキャンディボイスとテクノポップの親水性を改めて確認したし(伊藤つかさの「恋はルンルン」には骨抜きッス。)、山田邦子、川上さんと長嶋くん、竹中直人などの作品からは当時のお笑いとのクロスオーバーぶりを想起して微笑ましく(――それにしても「I Like Best」のパンキッシュで潰れた山田邦子の声には驚き)。
あとあと、ラジって前々からYMO関連の作品があると聞いていたけれども、やっぱ気になるなあ、とか。「ねらわれた少女」は自己言及アイドルの始祖かもなぁ、とか。「コンピューターおばあちゃん」はやっぱり坂本編曲だよなぁ、とか。「銀河鉄道の夜」はあんまりにも無茶な作品だろっっ、とか。なんか「サマルカンド大通り」のディレイの処理が微妙に気色悪くって忘れられないんですけれど、とか。 坂本センセは「From Tokyo」を『heartbeat』でリサイクルしているよな、とか。近田春夫さんってばキャラに似合わず美声なんだぁ、とか。 コスミックインベンションの「コズミックサーフィン」聞いてから、ふと気がついたら「キラキラキラキラ しゅわしゅわしゅわしゅわ」って歌っている私がいるんですけれど、とか。まぁ、余計なところを刺激されまくっているわたしがいるわけですよ。



「テクノマジック歌謡曲」のほうはYMO以外というしばりのせいで非常に選曲の苦労が垣間見えるラインナップなんだけれども、それでも面白いモノたくさん。
「哀愁のオリエンタル急行」に、あれ?船山基紀の打ちこみアレンジって、84年の柏原芳恵の「トレモロ」で一気にはじめたと思いこんでいたら、この時期からも片足はいっているのね、とか。堀ちえみ「Wa ショイ」はいつ聞いても気持ち悪くって素敵だよなあ、とか。「スペース小町」がなんだか「ラジオスターの悲劇」っぽくってカッコいいぞ、とか。「花のように」が俺には坂本教授アレンジに聞こえて仕方ないよ、とか。 「えんぴつに一本」にいたってはこのイントロのフレーズを坂本龍一はそのまま『Beauty』でいただいているよな、と思ったらその経緯が解説に書かれているよ、とか。 「星空のパスポート」って、たぶんこの企画もう1度やる価値ありだよな、とか。とにかく宍戸留美に萌え萌えですぅ、とか。もう前葉頭刺激されまくり。お、俺を誰か冷静にさせてくれっ。このマニアの無間地獄から助けてくれ――っ。



……ぜいぜい。さすがにもえあがりすぎた。ちょっと頭を冷やす。
や、ともあれ、テクノ歌謡の入門編としても、より深くのめり込んでいくための応用編としても、どっちでもいける感じのいいコンピレーションです。
一曲あたりの単価も大変お安く上がっておりますので、1度手にとってはいかがでしょうか。
ただし泥沼にのめりこんでもわたしは何も保障しません。ていうか一緒に溺れましょう。
一緒にピコピコしていきましょう。カクカクギクシャク踊ってみましょう。ついでに痙攣なんかもしてしみましょう。
そんなわけでほとんどソニーの宣伝部員な今回のわたしなのであった。ちゃんちゃん。

2005.04.28
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