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さくさくレビュー Rebecca


cover  Rebeccaの歴史はまさしく「青春」という言葉で封印されている、とわたしは思う。
 一度も振り返ることなく、あらゆるものを振り切るようにひたすらに突っ走りつづけて、そしてあっけなく散っていった。
 ファーストアルバムからラストアルバムまで、その期間はわずか五年という短いものだったけれども、すべてが濃密で、ひとつひとつが欠かすことの出来ない活動履歴だったと、思う。
 オリジナルアルバムも、わずか七枚(――うち三枚がミニアルバム)と、あまり多いとはいえないけれども、その全てが「次に迎えるなにかのためのアルバム」というか、そんな感じがあって、 未完の美しさと切なさ、鮮やかさを感じずにはいられず、 これはやっぱり「青春」以外の何者でもないよね、と、このこっ恥ずかしいを思わず繰り返し言葉にしてしまうのだ。

 だから、たとえ、どのような形でRebeccaが再結成され活動再開しようとも、あのときのRebeccaは決して再現できないものだ、と、わたしは思う。 あの時代のあのメンバーだからこそ。あの時のNOKKOだからこそ、RebeccaはRebeccaだったのだと、そう思うのだ。
 00年の再結成シングル「神様と仲なおり」は、そんな、あの頃が遠くに過ぎ去ったことを知るに充分すぎる「美しき後日談作品」だった。
 「「Moon」の「BOTTOM LINE」の「フレンズ」のNOKKOが、神様のきまぐれで作られたこの世界に怒りを湛えたひとみで歌っていたNOKKOが、とうとう神様と仲なおりしたんだ……」
わたしはRebeccaという物語がほんとうにこの時終わったことを知った。



 各楽曲の素晴らしさは、各アルバムのレビューで知っていただくとして、ちょっとほかの話を……。
 Rebeccaの魅力として欠かせない、しかし、わりと見落とされがちな魅力に「NOKKOのダンス」ってのがあると思う。
 NOKKOは、小学一年から約十年間クラシックバレエのレッスンを受けていたのだけれども、その少女期に培われたダンスのセンスがライブで、プロモーションビデオで、フルに発揮されている。
 NOKKOのダンスは、とにかく野蛮でスリリングで、情熱的。
 今時のポップシンガーのような、「ただうまいダンス」ではなく、「この瞬間の、このNOKKOだからこそ成立するダンス」、 リズムやメロディー、詞と体の動きが渾然一体となり、かつ身体と精神のそれぞれが高いところで燃焼した時にしか表現できない、 二度と同じダンスを見ることは出来ないだろう、という、一回性のダンスを見せてくれる。
 だから、いわゆるしっかりフリのついたダンスもいいのだけれども、 そうでない、ライブ中に思わず体がうずいて踊ってしまったという、そういうNOKKOがとりわけいい。
 その瞬間、確実に音楽と舞踏の二柱の女神が彼女の下に降りてきている。

 そんな神がかった踊り歌うNOKKOとRebeccaが楽しめるベスト作品は、やはりライブDVD「Dreams on 1990119」に尽きるかな。
 実質のラストライブとなった1990年1月19日の武道館ライブを完全収録したDVDだけど、NOKKOはもちろん、他のメンバーも、完全に切れまくっている。 二時間という限られた時間で、自らの命の全てを燃やしつくそうとでもするかのような鬼気迫るライブ。 Rebeccaを知る者は、これは是非とも見ておくべき作品じゃないかな。


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 VOICE PRINT  (84.5.21/第47位/3.8万枚) 

1.WEARHAM BOAT CLUB 2. 百萬弗コネクション 3. 瞳を閉じて 4. ハチドリの証言 5. 蒼ざめた時間 6. QUEEN OF VENUS
レベッカ、デビューアルバム。 初期レベッカは当時のリーダーである木暮武彦の作曲がメイン(――後の中心人物である土橋安騎夫は、レコード会社のオーディション合格後の参加)で、ロック色の強いギターアレンジが印象的。 後のレベッカを印象づける鮮やかな音の色彩感覚というのはここになく、あくまでモノトーンで、渋め。ストイックです。 小暮リーダー時代の第一期レベッカと土橋リーダー時代の第二期レベッカは別物として聞いた方がいい感じ。 「フレンズ」や「ラズベリードリーム」のレベッカを期待すると肩透かしを食らうかも。 NOKKOのボーカルも、荒削りでまだまだ原石段階。はじめてのレコーディングでちょっと肩肘はりすぎているかな。声が硬い。 このバンドには"なにか"があるのだろう。それは感じるが、明確な"なにか"がまだ見えてこない。そんなもどかしいアルバムともいえる。 デビューアルバムらしいといえば、そうかな。 とはいえ頽廃的な詞にニューウェーブっぽいサウンドが素敵なデビューシングル「WEARHAM BOAT CLUB」は、もう、大好きです。わたし的にはこれだけでいいかも、という。 ちなみに初期レベッカの二作はレーベル"FITZBEAT"の当時の主催者であった後藤次利がアルバムプロデュースしている。6点。

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 Nothing to lose  (84.11.21/第38位/7.1万枚) 

1. VIRGINITY 2. 怒りの金曜日 3. PRECIOUS STAR 4. 結接蘭 破接蘭 5. STEFANIE 6. NOTHING TO LOSE
二枚目のミニアルバム。着実な成長を感じる一枚。 「VIRGINITY」にはじまり、「NOTHING TO LOSE」におわるあたりが、いかにもレベッカ。 「失うものはなにもないわ(NOTHING TO LOSE)」といきがりながら、そのいきがりにこそ処女性(VIRGINITY)が立ち表れ、というあたりがじつに後のレベッカ=NOKKOらしい。 地下鉄で痴漢に遭った少女の怒りを表現した「怒りの金曜日」は「BOTTOM LINE」「Cheap Hippeis」などの"怒れるガールズ"路線の原型とも云えるし、 「VIRGINITY」「STEFANIE」はその後「蜃気楼」「LONDON BOY」「MOON」といった哀愁・追想路線に繋がるといっていいだろう。 サウンドもボーカルも前作の世界を引きつぎながらも、ひとまずレコーデイングするのでいっぱいいっぱいといった前作と比べて、余裕を感じる。 前作より、含みのある深い印象を受ける。 作曲は「VIRGINITY」のみ土橋で、他は小暮が担当。 このアルバムを聞くと、木暮・土橋のツートップによるレベッカというのもありかな、と思ったりするけれども、世の中そうはすんなり行くわけにもいかず、 第一期レベッカは可能性のつぼみだけ残して終わりを迎える。7点。

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 WILD & HONEY  (85.5.22/第8位/30.2万枚) 

1. WILD EYES 2. LOVE PASSION 3. FREEWAY SYMPHONEY 4. 黄金の日々 5. 瞳を閉じて 6. LOVE IS CASH 7. 恋するおもちゃ 8. 夢幻飛行 9. 蜃気楼 10. NEVER TOO LATE (M-4.5.7.8.はLP、CD選書には未収録)
木暮武彦と小沼達也の両氏が脱退し、小田原豊・古賀森男が加入、土橋安騎夫が新リーダーに就任した新生レベッカの一枚目。 先行シングルとなった「ラヴ・イズ・Cash」のスマッシュヒットとあいまって好セールスを記録している。 マドンナやシンディーローパーなど、当時の洋楽の王道サウンドをお手本に土橋が構成するシンセメインのきらきらしいサウンドプロダクション。 NOKKOのハイティーンの青春の光と影を表現したシズル感のある詞とボーカル。 いわゆる「レベッカ」的なものは、このアルバムで作られたといっていいかな。 全六曲のミニアルバムながらも集中力のある作り。 オープニング「WILD EYES」から「フリーウェイ・シンフォニー」までのA面の奔放さは、この頃のレベッカだからこそ。若いですなぁ。 「バージニティー」の続編的にも聞こえる「蜃気楼」の異国情緒の哀愁路線も決まっています。 ハイティーンの頃って、いつも無駄にテンション高いんだよね、というアルバム。 ちなみに同日発売のCDバージョンはアルバム未収録の初期のシングルB面も収録し、全10曲構成。8点。

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 Rebecca IV 〜Maybe Tomorrow〜  (85.11.1/第1位/95.8万枚) 

1. HOT SPICE 2. PRIVATE HEROINE 3. COTTON TIME 4. 76th STAR 5. 光と影の誘惑 6. BOTTOM LINE 7. GIRLS, BRAVO ! 8. FRIENDS 9. LONDON BOY 10. MAYBE TOMORROW
初期傑作と名高い四枚目にして初のフルアルバム。 シングル「フレンズ」の大ヒットをきっかけに売上を伸ばし、このアルバムもミリオンに迫る成績を残している。 前作「WILD & HONEY」で掴んだ確かな感触が、彼らに自信を持たせたのだろう。 これで売れないならなにが売れるというのだ、というメンバーの確信に満ちた声が聞こえるような、そんなポップで泣ける、力強いアルバムとなった。 サウンド、詞の基本的なラインは前作を引きつぎつつも、さらにスケール大きく、派手派手しく、原色の鮮やかさで展開している。 NOKKOのボーカルも、活きがいいな。生意気そうに、レコードの上でぴちぴちに跳ねている。 「BOTTOM LINE」では怒りに満ち満ちた声で迫る、その一方で「Cotton Time」「LONDON BOY」など、泣かせるところはしっかり泣かせてくれる。 ポップでガーリーだけれども、甘くない。リアルでスパイシーな、レベッカの世界。 このアルバムはいい曲だらけだけれども、やっぱり「フレンズ」の切なさは、別格かな。もうイントロから泣ける。 どんなに手をのばしても、けっして届かない、砂時計のこぼれる砂のように喪われてゆく瞬間が、この疾走するサウンドに悲しくなるほどこめられていて、やっぱり名曲だーーっ。若いときは誰しも一陣の風のように生き急ぐもの、だからこそ普遍の切なさがここにあるのです。ううっっ。9点。

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 TIME  (86.10.25/第1位/74.5万枚) 

1. WHEN A WOMAN LOVES A MAN 2. LONELY BUTTERFLY 3. TIME 4. (It's just a)SMILE 5. GIRL SCHOOL 6. BOSS IS ALWAYS BOSSING 7. CHEAP HIPPIES 8. WHITE SUNDAY 9. NEVER TOLD YOU BUT I LOVE YOU
常に過渡期のレベッカ。 前作のビッグセールスが契機になったのか、「WILD & HONEY」「REBECCA IV」と続いた世界観とはまた色を異にしている。 サウンド・ボーカルともに、我に返ることを知らずごりごりと攻勢一方なのが前二作のよさだったわけだけれども、 このアルバムでは、楽曲ごとのサウンド構成、あるいはアルバム全体のトータルバランスを考慮に入れて"引き"の技術でみせようとしている。 ただ、それが成功しているかというと、どうもさほどうまく決まらなかったというか、なんか地味なアルバムになったなぁ、というのが正直な感想。 沈んだ色味がシックに見えるか、地味なだけに見えるかというのは、まさしくコーディネイト能力によるところなわけだけれども、まだこの頃はうまくない。 売上も、前作で膨らんだ数字を落としている。 とはいえ、ここでの変化はただの失敗では終わることなく、次作で大きな成果を残すことになる。 レベッカの可能性を広げた一枚といっていいかも。 ま、前作が好きだったわたしとしてはあまりにも早すぎる"コギャル讃歌"「GIRL SCHOOL」「CHEAP HIPPIES」 あたりが一番好きだったりする。6点。

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 POISON  (87.11.28/第1位/63.1万枚) 

1. POISON MIND 2. MOON 3. 真夏の雨 4. TENSION LIVING WITH MUSCLE 5. DEAD SLEEP 6. KILLING ME WITH YOUR VOICE 7. NERVOUS BUT GLAMOROUS 8. CHERRY SHUFFLE 9. TROUBLE OF LOVE 10. OLIVE
レベッカの最高傑作。殺意のアルバムといってもいい。 NOKKOは、いつもなにかに憤っていた。 それは歌や詞、踊りの端々に時折噴出していたけれども、その全貌はこれまで明らかではなかった。 しかし、その怒りの蓄積がついにこのアルバムで「殺意」まで高められ、全てがクリアに表現された。 このアルバムのNOKKOは、ただ怒りに狂っているだけではない、殺意まで高められたNOKKOの情念は、千変万化だ。 オープニング「POISON MIND」は「はっきり言ってあなたただのゴシップ好きよ」と怒りをぶちまけるが(――それにしてもこの歌、最高)、 続く「MOON」は殺意の源である失われた自らの少女時代を慰撫し、 「TENSION LIVING WITH MUSCLE」では殺意を自虐的な笑いとしてエンターテインし、 「NERVOUS BUT GLAMOROUS」では、殺意をうちに秘めながらも男を妖しく挑発し(――この歌も大傑作 !)、 「TROUBLE OF LOVE」では、諦めの表情すら立ち表れる。 またアルバム全体の起伏もすばらしく、それぞれの音ひとつひとつが正鵠を射ている。 「POISON MIND」のホーンセクションや、「TROUBLE OF LOVE」のストリングスなども、決まっている。 特に「真夏の雨」のオーケストレーションは素晴らしく、真夏のむせ返るような湿気と、陽射しがイントロからまるで目に映るものとして感じられる。 これはキーボーディスト土橋安騎夫の最高傑作なのではなかろうか。 ラスト「OLIVE」は、今という不確かな瞬間を闇路をかけるようにかけてゆく姿が胸に痛々しい、「フレンズ」と双璧といっていい疾走ロックで幕を閉じる。 このアルバムには、第一期レベッカで見せたモノトーンで硬質で部分すら、活かされているように感じる。 まさしく総大集といっていい。レベッカは、このアルバムをつくるために生まれたバンドだったといっても過言ではなかろう。10点。

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 BLOND SAURUS  (89.5.21/第1位/47.5万枚) 

1. BLOND SAURUS 2. VANITY ANGEL 3. NAVY BLUE 4. COTTON LOVE 5. LITTLE DARLING 6. LADY LADY LADY 7. SUPER GIRL 8. NAKED COLOR 9. WHEN YOU DANCE WITH ME 10. ONE WAY OR ANOTHER
ラストアルバム。 「Poison」で完全に構築された≪レベッカの世界≫をベースに作られたアルバムなのだが、 前作の余力でつくったというか、どの曲を聴いても「今までにあったアレ風コレ風ですね」という感じで、レベッカにしては新しさや驚きに欠けるアルバムになってしまった。 もちろん「BLOND SAURUS」「VANITY ANGEL」「SUPER GIRL」あたりのガールズモノは大好物だし、「COTTON LOVE」も 「NAVY BLUE」もいい曲だし、と、各曲のクオリティーは保っているけれども、「レベッカ」としての意義はあまり感じない。 このアルバム制作時は解散という話はまだ表に出ていなかった(――メンバーそろって「解散なんてありえない」とインタビューに答えたりもしている)が、このアルバムを引っさげてのツアーの後、レベッカは活動停止→解散と相成る。 なるほど、バンドの結束力というのは、このようにして解けていくのか、というのが、このアルバムでよくわかる。 ラスト「WHEN YOU DANCE WITH ME」〜「ONE WAY OR ANOTHER」とアルバムを綺麗にクロージングすることなくとっちらかったままにするあたりが非常に象徴的。 アーティストには、ひとつの確固たる世界を構築して後、 「そういうバンド・歌手」として、その座に座り金太郎飴のように同じ作品を出しつづけるタイプと、 あえて全てを捨てて変化してゆくタイプのふたつに大別されるけれども、 レベッカというバンドは、その歴史を見るに、明らかに後者。ここで解散というのは、致し方ないのかな。7点。


2006.03.03
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