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早川タケジ  「Paradis,Paradis」

沢田研二+早川タケジの奇蹟

(2002.01.10/リトル・モア)



 日本を代表するアートディレクター、衣装デザイナー、イラストレーターである天才・早川タケジの1974年から2002年に至るまでの仕事を集成した写真集。
 って、これ、沢田研二写真集じゃないかぁっっ。 全128ページ中、100ページがジュリーって、どうなん ?  早川タケジビジュアルプロデュースによる沢田研二30年の歴史、といって過言でない作りとなっております。 一斉を風靡した「TOKIO」や「サムライ」の衣装をはじめ、様々な時代の様々なジュリーが一冊に収まっている。
 まさかこんな作品が世に出されていたなんて、意外な隠し球だよっ。まったく気がつかなかった。 ってわけでつい最近に拝見したのですがっっ。
 す、す、す、すばらっしぃーーーっっ。すばらしすぎますっっ。
 ってか、もう、ジュリーは空前にして絶後ですな。
 ジュリー以上のスーパースターが今後日本に現れる、という気がしませんね、ええ。


 ジュリー登場後ビジュアル性を前面に出して活動した歌手ってのは、結構生まれたけれども、 浜あゆも、hydeも、明菜サマですら、結局ジュリーの後塵を拝しているのではと、そう思いましたね、ええ。
 だってだって。浜あゆの豹あゆだってジュリーの方が先だし、明菜サマのニュー着物だってジュリーのほうが先なんだもんんん。
 く、悔しい。でも感じちゃうっっ。びくびくっっ。
 そのアートワークは、今みても、断然に新しく、妖しく、美しい。
 ジュリー、君、早すぎだよ、早すぎ。
 ジュリーはビジュアル系の源泉にして頂点なのだ、と。そう確信しましたね、ええ。

 早川+ジュリーのコラボは、性別や年齢を飛び越すなんて造作もないこと。人間という枠すらもはや、必要となくなる。
 香港マフィアにも、変態ロリータ伯爵にも、三下のちんぴらにも、退廃的な男娼にも、傾国の美女にも、高倉健にも、獣人にも、アンドロイドにも、ビニールのマネキンにも、なんだってなりきってしまうジュリー。 軍人コスプレにしたって、ナチスの将校風から、アメリカのGI風、日本軍の三等兵とバリエーションいっぱい。
 だいたいがですね、厄年をとっくに過ぎたもうおっさんもいいところの男が、「ベニスに死す」のビョルン・アンドレセン風の青い瞳のセーラーの美少年になって、まったく違和感がないっていうのは、一体どういうことなんですかっっ。まったく、けしからん。ぷんぷんっ。

 沢田研二がどれほど凄かったか。
 どれほど世間をかき回してくれちゃってたか。
 シングル盤を聞いてるだけではわからない一面がこの一冊にある。

 これで、沢田研二一個人が、保守的で地味で気弱で説教くさい「ザ・団塊の世代」そのもののキャラクターってのが、つくづく面白いよなぁ。
 加齢とともに岐路に立たされるであろう90年代のV系アーティストにとっても、この本は非常に参考になるんじゃないかな。 美輪明宏の道と違った道で、ま、ぶっちゃけていえば"おかま化"することなく永遠に耽美するにはどうするか、と、その答えをあらわした一冊といえるかも。

 早川タケジさんのジュリーへの愛、また彼のエレメントを最大まで引き出すジュリーという素材のすばらしさをひしひしと、感じずにはいられない。
 ドレープの影とか、ガラス球が撥ね返す光とか、風に翻る葉陰とか、 わたしたちは、そういう部分に一瞬の幻影を見る――それをフェティシズムという、わけだけれども、 そういう一瞬を早川タケジは衣装という形で華麗に定着させる。
 そして沢田研二は、その衣装を身にまとって、その幻影を現実のものとして、血肉の通ったもうひとつの現実として、この世に表出させる。
 ともに彼らは、ひとりの芸術家なのである。
 その斬新さと、先鋭さ、毒気にみんな酔えばいい。
 ここにあるのは、この世ならざるもうひとつの世である。

 ありがとう、早川タケジ。ありがとう、ジュリー。


 あ、そうそう、ジュリー以外にも、観月ありさや、及川光博、アン・ルイス、山口小夜子などのお写真もあります。 室井滋まで耽美させてしまう力技に、乾杯。タケジよ、君はどんだけ美の求道者なんだ。

2007.01.28
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