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西崎祥
「月の宵宮」・「お得な恋愛獲得法」 (「月の宵宮」/2002.01.10/ビブロス) (「お得な恋愛獲得法」/1998.10.16/スコラ) |
いつも、にこにこまこりんです。 というわけで、(どういうわけだかしらんが)今日も元気に「ブック・オフ」しまして、 いやーーー、しかし、愛媛の松山から埼玉に戻ってきて、「ブック・オフ」のチェーンが広がるまでは大変だったなぁ、 漫画・文庫本中心にゲームソフト、CDも扱うの薄利多売系の古本店って愛媛の松山に一杯あってさぁ、「写楽堂」とか「もいち堂」とか「城北ざっし」とか、「写楽堂」の本店なんか神だね。 もう、その文化が私の漫画道の土壌になったといっても過言でなくてさぁ、それが大学で埼玉に戻ってからは、どこで買えばいいっちゅうねん、みたいな そりゃ「だらけ」とかは知ってたけどさぁ、けして安くはないし、いつも混んでいるし、全部商品にビニールかぶっていて商品チェックできないし、 しょうがないから、盆と正月に帰省するたびに漫画を買っては宅急便で届けるなんて、してて。 それがいまやこれだけ「ブック・オフ」できて、ありがたいよ、ほんと。 とぐだくだいつものように漁っていたわけなのですよ。 やっぱり、「ブック・オフ」の魅力は100円コーナー。 でもって100円コーナーの魅力は、見知らぬ才能との出会い、これですね。 で、見つけちゃったのさ、上物を。 え、何をって。あんたそりゃここきてんだからわかるでしょうが。 というわけで、前おきが長いが、今回の「西崎祥」さんです。 いい買い物をしたよ。 ただ、どういった作者なのか、現時点で、なにも知らない。 だって、今日「ブック・オフ」で100円で買って、今読み終わったばっかなんだもん。 どういう人なの?といま、ググッてみたら、日舞の先生のが出てきました。 多分それじゃないだろう……。 このひと、どういうひとなんでしょう。 一応、出版されている単行本は私の読んだ2冊だけみたいです。 それ以外、なにも知らない。 案外、キャリア、あるのかな。 同人とか、やっぱりやってるのかな。 だとしたら、ジャンルは……。 気になるなーー-。 いやーーー、それくらい、良かった。 全体の印象としては、昔の内田美奈子さんや、デビュー当時の吉田秋生さん、西炯子さんに近いかな……。 多分、作者は絶対、内田美奈子さんのファンでしょう。(確証はないが、断言してしまう) 2冊とも短編集で内容はバラエティーに富んでます。 やおいメインだけど、普通っぽい少年漫画風のもあるし、カニバリズムな猟奇モノもあるし、百合モノだってある。 で、それが、きちんと話を落として、平均点以上の出来なんですよね。 かつ、キャラも立ってる。 「RIPPER」のエディは少年誌の主人公のように健気で元気だし、 「可愛いだけでいいじゃない」の美古都は藤島康介の美少女キャラみたいで勝気で可愛いし、「本田君の理由」の大友は「STOP劉備くん」の馬超みたくお馬鹿で猛牛だし。 ネームもしっかり、いまどき珍しいぐらいです。画面が(もちろん、いい意味で)黒い。間でごまかしたりなんかしません。 なにより、よくあるやおいモノのように妙にシリアスぶらない明るさがあって、好感持てます。 シリアスで不用意に重くならず、またコメディーでも無駄に軽薄にもならない、きちんと作っている感じです。 これは初期「June」の系譜なのかも。エンタテイメントとして成り立っていて、エロ表現において奥ゆかしく、かつ濡れ場がなくても、ホモでなくてもなんかやらしい。(そういえば初期「小説June」には百合小説なんかも載ってたもんなー)このあたりは結構ルーツを感じますね。 そして、なりよりもなのが、画力。 上手い。 いやーー、こんな上手い人をしらなかったなんて。 正味な話、絵を見た瞬間、購入を決めたもんね。 きっっっちんと、描いてます。 しかも少女漫画特有のアクがない絵なので、どこでも対応できるんじゃないかなーー。 誉めてばかりだと気持ち悪いので、むりやり苦言を呈すれば、 この作者、モノクロの絵の良さに比べるとカラーはさほどというかんじ。 あと、肩幅。 この人、油断するとみんな吉川晃司みたいに肩がはばはばになります。 しかし、そんなことはどうでもいいくらいに、いい。 この2冊の所収のなかで一番好きなのは、唯一連作のカニバリズムモノ「貴婦人の嗜み」、「食卓のモラル」かなぁ。 続き、激希望。 あと、表題作の「月の宵宮」もリリカルでいいかも。 ただ、バラエティー溢れる短編集のせいか、この2冊から作者がどんな人で、今後どういうものが描きたいのかなぁ、というのはちょっとわからなかった。 これは作者のせいでもなんでもなく、こういう形態だから、仕方ないことだけど。 とにかくもっと読みたい人です。 長編とか、描かないのかなぁ……。 |
2003.01.08