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メイン・インデックス歌謡曲の砦>全作品レビュー  中原めいこ


全作品レビュー  中原めいこ


cover 日本のポップスがニューミュージックと歌謡曲の二項対立で成り立っていた80年代、ひとり中原めいこはそれとは関係ないところで上質なポップスを作り出していた。

80年代のニューミュージックにはいまだ70年代フォーク・ロックの残滓が色濃く残っており、自作自演する歌手はなんらかのメッセージ性、政治性の欠片のようなものが必要であった。
意味性の希薄な上質なポップスを次々と生み出していた松任谷由実にしても、自身の作品へ理論武装ともいえる発言をしなければならなかったこと(―――当時の自著「ルージュの伝言」でそれは確認できる)を見るに、 当時の自作自演系歌手にみられる「意味性」乃至「作家性」の呪縛というのは相当根深かったといえる。――ちなみに一方の80年代の雄、桑田佳祐は"パロディーという名の批評性"というスタンスで「意味性」に対してサービスし、ここを切り抜けている。
ともあれ「ただ単に甘くて、ただそれだけで、いつしか風のように霧散してしまう、ひたすら心地よい商業ポップスを自分の手で作り出したい」ということは、80年代の自作自演系にはとても難しいことであった。
ビーイングの時代から小室の時代を経て、いつしかニューミュージックと歌謡曲という対立構造も瓦解し、日本のポップスが全てJ-POPに―――自作自演による意味性の希薄な甘くて、ただそれだけの上質なポップスになってしまった今、この事実はなにかの冗談のように思えて仕方ない。

今こそむしろ中原めいこの時代ともいえるが、しかし、彼女は91年のアルバムリリースに最後に表舞台から消えてしまった。
以前のような歌手としての活動は難しいかもしれないが、作家としてプロデューサーとしての活動でもよいので、また彼女の作品を楽しんでみたい。 当時の彼女のポップス作りの手腕は相当のものだったと私は思っている。 この人はポップスの快楽というのをホントよく知っている人だな、と改めて聴いて感じることしきりだ。
推測であるが、彼女は、郷ひろみを中心にした筒美京平のディスコ・ラテン系の諸作に対して、かなり深い造詣をもっているのではなかろうか、と私はにらんでいる。


cover ◆ ココナッツ・ハウス  (1982.07.01/チャートインせず)
1.今夜だけDance・Dance・Dance 2. Sunset Freeway 3. バカンス 4. 涙のスロー・ダンス 5. 恋はサンバにのせて… 6. タイム リミット 7. GEMINI 8. ほんのちょっぴりOld man 9. City Night 10. Come back to me
夏だ、海だ、ラテンだ。そんなアルバム。ほどほどバタ臭く、ほどほど都会っぽく、ほどほどに田舎っぽいところが、夏の三浦海岸によく似合う、というようなつまりはそんなアルバムです。 それにしてもデビュー盤なのに、既に中堅どころのような安定感。せめて後半歩くらいおぼこいところを見せたほうがお利巧さんだと私は思ったりもしますが……。 ちなみにアレンジャーは木森敏之。彼女をまかせるには、ちょっと洗練さが足りないかなぁ。「恋はサンバにのせて…」のフュージョンっぽいアレンジメントとか、カッコいいのもあるけれどもね。なんか微妙に82年という時代で考えても古いかな、と。6点。


cover ◆ 2時までのシンデレラ   (1982.12.21/第72位/1.3万枚) 
1. FANTASY 2. ジゴロ 3. ココナッツの片想い 4. パールのマニキュア 5. Go away 6. FRIDAY MAGIC 7. 恋の余韻 8. ステキなじゃじゃ馬ならし 9. ダイヤルまわして… 10. 2時までのシンデレラ
これはヒットだね。A面はオープニングの「FANTASY」から始まって一気に聴ける。 遊び心を感じされながらも、集中力を感じる。 「FANTASY」「ジゴロ」「ココナッツの片思い」と夜のきらびやかさ、なにかがはじまる予感から、少しずつ景色が移ろって、様々な恋の模様をうつして、〆はとってもスウィートな「2時までのシンデレラ」、よくできている。 「Go away」を聴くと、東芝がポスト・ユーミンとして彼女を売り出した理由がよくわかるというもの。 ここにあるのは、演歌でもジャズでもクラシックでも洋楽でもニューミュージックでもない、ポップス。 大人の遊び心をポップスで表現したらこんな素敵な音楽になったよ、というそんな作品。 職業作家が遊びで出したアルバムのようにもみえる。 この腰のどしっと座っていた感じが、良くも悪くも、彼女の魅力。J-POPの時代に活躍していたらなあ、と惜しまれる。
ちなみにここから3作アレンジャーは新川博に固定。8点。

cover ◆ MINT  (1983.09.01/第18位/6.3万枚) 
1. 渚のDaydream  2. ふたりのRainy day  3. 眠り姫   4. ケンカのあとの口づけ 5. 恋のバースデイ 6. 月夜に気をつけて! 7. Sexy dandy 8. ジャグラー 9. アナタの魔法にかかりそう… 10. ペパーミントの朝
安定した作品をドロップしつづけて、シングルヒットはなくともじりじりとアルバム売上を伸ばしていく彼女。これはブレイク前夜の充実した作品集といっていいと思う。 前半部分の集中力が後半にはちょっとばかり欠けるきらいがあるけれども、 夏場のリゾート地で、聞きたくなるような、夏の休暇旅行の期待と高揚感と、恋愛のそれが上手く混交した佳盤。 ただひたすらハイテンションなわけではなく、「ケンカのあとの口づけ」「Sexy dandy」でメロウに迫ったり、 「ジャグラー」「眠り姫」でシリアスな泣きの表情を見せたり、全体に起伏もあってよくできている。 ただリリース時期が9月ってのは明らかに間違い。ここまで全体が爽やかで夏向け仕様なら、どうにかがんばって七月には出して欲しかった。7点。


cover ◆ ロートスの果実  (1984.07.21/第8位/12.7万枚) 
1. 魔法のカーペット  2. ロートスの果実−夢楽樹  3. エモーション  4. I MISS MY VALENTINE  5. メランコリー TEA TIME  6. 君たちキウイ・パパイア・マンゴーだね。  7. こんな気分じゃ帰れない  8. スコ―ピオン  9. 気まぐれBAD BOY  10. CLOUDYな午後 
化粧品コマソン「君たちキウイ・パパイヤ・マンゴーだね」の大ヒット直後、真価を試された勝負アルバム。スタッフ、本人ともどもの「ヒットしなければッッ」の勢いはジャケットの豪華絢爛さにも表れております。ブランド服にエスニック調のアクセサリをジャラジャラ。
「I Miss My Valentine」のようなスタンダードっぽい楽曲ありーの、「スコーピオン」のようなマイナー歌謡曲調ありーの、「エモーション」のような「女・郷ひろみ」路線ありーの、と曲調もパラパラ。タイトル曲「ロートスの果実」はラテンテイスト全開、この路線が彼女の本線だと思う。 各曲の完成度は高いけれども、結果からいうと散漫な1枚になってしまったというか、勢いのわりには、あまり本懐は遂げられなかったように見える。 1st、 3rdは「夏のリゾートと恋」、2ndは「都会のきらびやかさと恋」と全体のテーマがあったように見えるけれども、そのへんの一本とおった筋がちょっとこのアルバムには見えない。 彼女はそこまで小器用にできるタイプじゃないんだろうなぁ。おちゃらけで行くか、シリアスで行くか、アーバンで行くか、エスニックで行くか、それくらいの一定の方向は出すべきだったかな。7点。

cover ◆ CHAKICHAKI HOUSE  (1984.05.22/第10位/8.2万枚) 
1. 宇宙恋愛 (スペース・ファンタジー)  2. やきもちやきルンバ・ボーイ  3. Kiss In Morning Light  4. サンバでも踊ろう  5. ホットラインは内線424  6. 夜はMusical  7. ルナ ルナ・TIKI TIKI  8. 恋の秘訣  9. ハートエイク  10. フレンチ・バニラ 
全編曲が佐藤準。いきなり「ダーティー・ペア」のテーマ「宇宙恋愛」ではじまる、アゲアゲな1枚。彼女の1番コミカルな面が前に出た作品なんじゃないかな。ラテン+ディスコ+筒美京平=女・郷ひろみの世界。「やきもちやきルンバ・ボーイ」「ホットラインは内線424」など、ヘンテコだけどなんだか可愛らしい曲がこのアルバムでは目立っている。 特に、フリーザーのなかでいつかあなたに食べられることをまっている甘いアイスクリームよ、という「フレンチバニラ」がなんともキュートでいい。「女・郷ひろみ」ここに極まれり。 難しいことは全て投げっぱなしジャーマン、それでいいんじゃない? そんな、いかにも80年代な身軽さ、能天気さが今となっては懐かしい。 「Kiss In The Morning Light」のポップセンス、「夜は Musical」の涙モノのバラードもいい。 ちなみに「恋の秘訣」は後につちやかおりがカバー。7点。


cover ◆ MOODS  (1986.03.20/第10位/13.5万枚) 
1. GIMME GIMME MOTIONS  2. 極楽鳥のテーマ  3. SO SHINE  4. WE WERE IN L.A.  5. NUMBER 1  6. こわれたピアノ  7. LONELY WOMEN  8. ロ・ロ・ロ・ロシアンルーレット (Album Ver.)  9. NEW YORKでサルサ
格上演出発動。今作以降、「君たち〜」のようなみょうちくりんなエナジーを発するような楽曲が俄然少なくなっていく。ヒットシングル「ロ・ロ・ロ・ロシアンルーレット」もアルバムバージョンでアゲアゲ風味を控えめ。 このアルバムのお手本はジョルジョ・モロダーの諸作とか、そのヘンなんじゃなかろうか。よく知らんけれども。「極楽鳥のテーマ」「Number 1」「Lonely Woman」あたりは特に「ワラフィーリン」指数高めで、良質。 明菜の「SOLITUDE」チックでルーズな「SO SHINE」や、ブラコンな「GIMME GIMME MOTIONS」も手堅いし、「WE WERE IN L.A.」もわかりやすい涙モノのバラードだな、こりゃ。 全体が非常に玄人めいたつくりで、作家性というよりも、作品性が重きにおいてある感じ。そして時代性を考えるとこれ以上のものはないだろうというバランス感覚に溢れたポップさ。磐石にもほどがある。ゆえに彼女のアルバムで最高セールスの作品となるのも納得だな、こりゃ。 ちなみに今回の編曲担当は小林信吾。9点。


cover ◆ MOGA  (1986.09.03/第19位/6.6万枚) 
1. PASSION  2. GIMME,GIMME MOTIONS  3. ロ・ロ・ロ・ロシアンルーレット  4. やきもちやきルンバ・ボーイ  5. こわれたピアノ  6. 今夜だけDance・Dance・Dance (Ethnic Ver.)  7. ルナ ルナ・TIKI TIKI  8. 君たキウィ・パパイヤ・マンゴーだね。  9. I Miss My Valentine  10. DESTINATION
新曲2曲、アルバム未収録アレンジ2曲による公式ベストアルバム。 アルバム『MOGA』のヒットをひきつぐ時期のリリースで、タイミングとしては悪くない時期かな。収録曲も、10曲と考えた時に悪くはない並び。 「Passion」は早見優への提供曲だが、これはAメロがドナサマーの「情熱物語」だよね。タイトルから既に狙っているでしょう。 「Destination」は彼女には珍しいシリアスなマイナーバラード。背景は冬の日本海というか、そういう世界。隠れた名曲じゃないかな、これは。 「今夜だけDance・Dance・Dance」はオリジナルのとっぽいアレンジも捨てがたいけれども、打ち込み使用の今回のアレンジもなかなか。 個人的には「スコーピオン」「ジェミニ」「ココナッツの片想い」「眠り姫」あたりも入れてほしかったなぁ。 とはいえ後にレコード会社から勝手に出された乱造ベストと比べれば選曲も曲順も格段のまとまり。8点。


cover ◆ PUZZLE  (1987.03.04/第8位/9.5万枚) 
1. THE OVERTURE 〜Merry train〜  2. STUDIO 54  3. TOKYO GAME  4. PUZZLE  5. アンバランス・ゾーン  6. Hallelujah Anyway  7. マスカレード  (仮面舞踏会)  8. カーニバル  9. HAPPY BIRTHDAY LOVE FOR YOU 
彼女、どんどんよくなってきている。前作もいい作品だったけれども、これまたいい。 「マスカレード (仮面舞踏会)」のようなダルな曲や「カーニバル」のようなシリアスな曲を歌って違和感がないほど、成長している。 「君たち〜」の世界をあえて切ったのは、正解だったな。 日常生活のふとした風景から歌が始まって、その景色はしだいに中原めいこの歌の世界になっていく。 とくに後半部分はなかなかのもの。 ラストを飾る「Happy birthday love for you」は彼女のレパートリーの中でも屈指の涙モノバラード。 ちなみに今回のアレンジャーは小林信吾に大村雅朗。8点。


cover ◆ 鏡の中のアクトレス  (1988.03.05/第7位/9.8万枚) 
1. Dance in the memories 2. What's going on 3. Don't be silly 4. Infinite Love 5. 鏡の中のアクトレス 6. Paradise Island 7. Caribbean Night 8. ビーチ・バーからの手紙 9. CASANOVA 10. In your eyes
これまでの中原めいこの集大成の1枚。黒っぽい匂いを漂わせながらも、あくまでゴージャスでチープな「ポップス」。彼女の魅力が全開になって表れた作品といっていいかも。
自身の手による完全プロデュースで、コーラスアレンジも全曲自身が担当している。アレンジャーは、中原自身をはじめ、西平彰、中村哲、小林信吾、E. C. JONES。
「君の瞳に恋してる」な「Dance in the memories」で華やかにはじまり、 「What's going on」「鏡の中のアクトレス」ではハードボイルドな一面を見せ、「Infinite Love」ではおおらかな愛を歌い、「Don't be silly」では彼女のコケティッシュな魅力がちらりとみえ、 「Paradise Island」「Caribbean Night」「ビーチ・バーからの手紙」の連作は彼女の本領であるラテンテイストとリゾート感覚が溢れ出し、 「CASANOVA」で、シリアスな愛の横顔を見せピリッとしめて、ラストは大甘のラブバラード「In your eyes」でロマンチックに幕となる。 全体の流れもバランスも抜群。これ以上ない。実にコンパクトかつタイトにまとまっている。エンターテイナーだな、彼女。
また全篇でめいこのボーカルを凌駕せんとがんがんに攻めてくる坪倉唯子・杉本和世コンビのコーラスが実にソウルフル。 もちろんめいこもそれにまったく負けていず、このボーカルの主導権の奪い合いともいってもいい緊張感が、実にいい雰囲気を醸し出している。 「Caribbean Night」(早見優提供曲のセルフカバー)では、このボーカルの応酬がいっそう激しく、今作で白眉といっていい出来。10点。


cover ◆ 303 EAST 60TH STREET  (1990.03.21/第20位/3.0万枚) 
1. ダイヤモンド見分けなさい−Is it true love− 2. ナッソーの月 3. Daybreak in N.Y. 4. What do you want me to do−どうして欲しいの− 5. CON GAME(取り込み詐欺) 6. 34F−雨のSunday noon 7. BOYFRIEND 8. Private Beach 9. アリーシャ 10. 最後のX'mas eve 11 Day break in N.Y.(reprise)
「鏡の中のアクトレス」の成果を残して渡米。ニューヨークでの2年の充電期間を経て作られたアルバム。タイトルは彼女のニューヨークの住所から。 アレンジャーは中村哲。彼との二人三脚のような作品といってもいいかもしれない。
前作「鏡の中のアクトレス」はざっくりいうなれば「N.Y.在住の日本人が、カリブ方面にリゾートに行きましたよ」的なアルバムだったわけだけれども、 今作は、それをこの二年の間に実際に味わって、もう1度同じようなアルバムを作ってしまった、というかそんな感じ。 前作はあくまで、日本から見たフィクションの"カリブ"であったり"N.Y"だったわけだけれども、 今作の彼女は実際にそこに暮らして、生活者としての視点を持ってしまった、そこが大きな違い。
よって、ニューヨークでの生活は彼女の作品にナチュラルな余裕と豪華さを与えた―――なんていい方をしてもいいんだろうけれど、「鏡の中のアクトレス」のような作品を待っていた私としては、妙に本格的になって面白味が減ったかな、と思ったりもする。 「ナッソーの月」のようなちょっとチープでコケティッシュな作品が彼女の1番いいところだとわたしは思うけれどもな。 彼女は、変に腰を重くしてないでもっともっとはっちゃけるべきでしょ、と。 全体に漂うブラコン臭も「ここまで行くと杏里じゃん」なんてわたしは思ってしまう。
N.Y.やマイアミでの穏やかな生活が垣間見える「34F−雨のSunday noon」「Daybreak in N.Y.」「Private Beach」「アリーシャ」あたりがこのアルバムのキモなんだろうが、今聴くと、いやぁバブルですねぇ、という感じでこれまた……。 ともあれ、こんなラグジャリーな私生活、ブルジョアでないうちらには、絵空事ですぅ。6点。



cover ◆ HIGH ENEAGY  (1991.03.21/チャートインせず) 
1. CARIBBEAN NIGHT:garage mix 2. BOYFRIEND:red zone mix 3. DON’T BE SILLY:saint mix 4. SEXY DANDY:after hours mix 5. 1019 MEDLEY:君たちキウイ・パパイア・マンゴーだね。〜やきもちやきルンバボーイ〜渚のDaydream〜ルナルナ・TIKI TIKI〜今夜だけDance・Dance・Dance〜ココナッツの片思い 6. BOYFRIEND:dub mix 7. SEXY DANDY:instrument mix
HOTODA GOH氏によるリミックス・アルバム。リミックスアルバムも90年代後半になるともはや、人口に膾炙されたものとなっていたが、この時点ではまだちょっと早かったかな。そうでもない?
とはいえこのアルバムは、なんというか、さほど、こう驚きというのはなく、敢えて出す意味あったのかしらん、というか。 N.Y.在住のめいこさんの勇み足という印象は否めません。red zone mix とか saint mix とかいわれても、意味がわからん。 ていうか、元々私、こういうアルバムの良し悪しがわからんのよ。ということで点数はわからん。極私的にどうよ、というと5点くらいでしょうか。


cover ◆ ON THE PLANET   (1991.10.30/チャートインせず) 
1. サバンナの夢 2. To the storm −嵐の中へ− 3. Everlasting Love 4. Miami Dream −Don’t be shy− 5. ABCD! 6. Special Feeling 102 7. Fairly Tale 8. サンバ・セニョリータ 9. Imitation Lover 10. Fortune −銀の月夜のハネムーン−
現在のところラストアルバム。湾岸戦争がきっかけなのか、ニューヨーク在住の日本人という国際人感覚から「地球でのできごと」という副題がついたようなのだが、説教臭さ思想臭さは全くない。 前作の本格臭から、渡米前のいつものチープキッチュな歌謡曲方向に多少針を戻していて、これはいいアルバムですぞ。 ラテンで無国籍でディスコで、これこそめいこさんってなもんですよっっ。 「鏡の中のアクトレス」とともに、泥臭さと洗練のバランスが一番いいアルバムかもしれない。
アレンジは前作と同じく中村哲との共同アレンジで、当時流行ったハウスっぽい、薄い打ち込みをメインにした音作りなのが、ちょっと残念かなぁという感じだけれども、 そこにブラスセクションが絡むと、やっぱ痛快です。
「サバンナの夢」から「To the storm −嵐の中へ−」はもう最高だし、 「Miami Dream −Don’t be shy−」「サンバ・セニョリータ」といったラテンテイストの遊び心は、やっぱりめいこ節。 「ABCD!」「Imitation Lover 」はハウスど真ん中なアレンジでちょっと今聞くと恥ずかしいけれどもね。
筒美−郷ラインのラテン・ディスコ歌謡路線をひとり追及していた中原めいこさんですが、「鏡の中〜」とこのアルバムでひとつの世界を完全に作り上げたといってもいいかな。 歌謡曲は世界を巡るのです。
そんな「これからもまだまだいける」という確信に溢れた一枚なのに、これで歌手活動がおしまいなんて惜しすぎるぅ。また作家としても2000年頃まで、早見優、ビビアン・スー、チェキッ娘などへ提供で名を見かけたが、ここ数年はまったくという状況。 むむむむむ。もったいないなぁ。残念っっ。9点。

2005.12.09
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