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三田寛子「GOLDEN J−POP」

もしかして、芳恵!?

(1999.09.22/ソニー/SRCL-4632)

1.駈けてきた処女(おとめ) 2.夏の雫(しずく) 3.ふたりぽっち物語 4.色づく街 5.ひとりぽっちの卒業式 6.初恋 7.野菊いちりん 8.秋麗(あきうらら) 9.春の冒険 10.ガラス窓 11.貝殻物語~Once Upon A Summertime 12.恋するメトロ 13.20才の前で 14.ときめきおぼろ 15.死ぬまで笑ってて… 16.誘惑世代 17.ひとりぼっちのクーデター 18.少年たちのように 19.恋ごころ 20.あまいあまいラヴレター 21.TA-TI-TA~涙のマリオネット


歌手時代はまったく記憶にない三田寛子――私の一番最初の三田寛子の記憶は「笑っていいとも」の「寛子のお菓子大好き」だし。
というわけで三田寛子初体験なのである。
ではでは、どんなもんかね、と早速リモコンのスタートボタンをプッシュ。

……(聞いている)……

彼女って、もしかして声質が柏原芳恵に激似??
低音の妙に艶めいたところとか高音の甘ったるいしなだれかかるような感じとか、全体的に漂う声の重さとか。
「春の冒険」の「いんまぁじねぇいしょーーん」の部分とか芳恵の「なおりたがぁーーる」とほとんど同質だし。
他にも「死ぬまで笑ってて」(すげぇタイトルだなァ)の「つまんない」の部分の拗ねた歌い方とか「秋麗」の「あ・き・う・ら・ら」のはねた感じとか。

楽曲も中島みゆき(「少年たちのように」)とか小椋桂(「20才の前で」)とか村下孝蔵(「初恋」「野菊いちりん」「恋ごころ」)とかフォークよりのアーティストと相性がいいあたりとかもまた同じで。
どれもなんとなく70年代ひきずっている楽曲だし。いやぁ聞けば聞くほど似ている。
ちなみに寛子の「ト・レ・モ・ロ」に当たる部分なのが「恋するメトロ」。タケカワユキヒデ作曲のテクノっす。
ま、全体的に柏原芳恵より歌唱力は3割引ってあたりがアレですが。
てっきり酒井政利プロデュースで、ポスト百恵的な戦略だと思ったら、まさか芳恵に出会うとは。
特に「初恋」以降は芳恵濃度高すぎです。
――ちなみに撮影時、篠山紀信に「さぁ百恵ちゃん撮りましょうねぇ」といわれて「三田寛子を撮って下さい」と返したなんてエピソードがある。デビュー時は百恵狙ってはいたのだろう。

しかし、なによりすごいのは「夏の雫」よ。
作詞阿木燿子、作曲井上陽水、編曲坂本龍一。この一部の隙もない超豪華特盛トリオ。
才能と才能が激しくぶつかりあい、結果見事ななんじゃこりゃ系怪作となっています。
岩崎宏美「L」荒木由美子の「Lの悲劇」のような阿木燿子お得意の言葉遊びの詞。水蛇がのたうつような陽水のメロディーライン。アグレッシブなキョージュの弦アレンジ。
とにかく難しすぎ、こんな歌を新人に歌わせるなよぉ。

ともあれ、82年組の地力は充分に感じました。 これで歌手では大成しなかったんだから、当時のアイドルの層の厚さはものすごいものがある。


後日談、その1。
「死ぬまで笑ってて」のサビが頭から離れない。
つい口ずさんでしまう。
「あーあ、つまんない、つまんない、つまんない、つまんなぁーい、馬鹿嫌い、つまんなぁーい」
みなさんも退屈な時には口ずさんでみてください。

後日談、その2。
ネット上に落ちているジャケットを見る。
しっかし、随分作った表情させられていたのね。
「駆けて来た処女」のセーラー服といい、「夏の雫」のぽってり唇に睨み付ける上三白眼はどうみたって百恵。
他のも、全体的に暗めで沈んだ瞳で、その後の元祖天然系バラドルのイメージはまったく感じられません。


2003.11.12


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