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北原綴を知りませんか?


ずいぶん前から探しているある作家の本がある。
北原綴という作家の本である。

と、ここであぁとわかる人がいたらその人はちょっと凄い。
彼は多分生きているだろう。
が、小説は書いていない。
では小説を書かずに何をしているかというと、彼は獄中にいる。

彼は人を殺し、いまその刑に服している。

「事実は小説より奇なり」という言葉があるが、わたしは「そんなこたねぇよ」と思っている人間である。
現実なんてクライマックスもカタルシスもなにもあったもんじゃない、ただ平坦で退屈で予定通りで、なにも起こらなくって。
が、この北原綴という作家のこととなると別で「おいおい小説よかお前の人生のほうが面白いんでない」と思ってしまう。

彼が起こした「和D−14号事件」と呼ばれる偽札偽造とさらにそれにからむ「上野宝石商殺人事件」事件の顛末はここに詳しい。

もちろんこの事件をきっかけとして彼の名前を知ったので、彼の童話であるとか、小説というのを読んだ事はまったくない。
だいいち、この事件の舞台でもある、彼の作品を出していた「創林社」がなくなってしまったのだからどうしようもない。

ちなみに聞くところによると「美少女綺譚」は少女殺人がテーマで、また「薔薇館の神々」は少年愛がテーマらしい。
でもって彼の父も金素雲という詩人で北原白秋の門下生であるという。
これで私がどんな作品かと読みたくならないわけがないではないか。

私は作家という生き物は自己矛盾の塊で名声欲とコンプレックスとでどろどろの膿だらけの生き物だと思っている。
だから、彼のそうした犯罪も―――もちろん起こした罪を贖うべきという大前提はもちろんだが、ある意味作家という生き物として興味をそそられる。
それに、この事件の前にも犯罪を起こしていたり、外車乗りまわしたり、相撲取りのタニマチきどったり、銀座の某ホールで「北原綴 大地を唄う」なんてコンサートを企画したり、韓国の国立国楽高校芸術団を招聘して失敗したり、ダメ人間として実にいい仕事ぶりではないか。
なんとも見事に、遠くでそっと見ていたいキャラである。

また、いくら作家の人格っては元々破綻しているものとはいえ、殺人まで踏み切る作家は皆無で、どうしてそこまでいきついてしまったのかという、経緯や素因のようなものを作品から見出したいという気持ちもある。

とにかく、この人の作品、どこかに落ちてはいないものか。
まこりんはいまでも密かに探しているのである。


2003.10.18


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