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郷ひろみ 「ALLUSION」

これが私のひろみファースト・コンタクト

(1984.12.01/CBSソニー/28AH1808)

1.M.9 (マグニチュード・ナイン) 2.CHARISMA 3.どこまでアバンチュール 4.ESCAPE 5.愛のEMPTY PAGE 6.美音 LANGUAGE 7.I Feel My Love With You 8.女してる? 9.CARELESS WHISPER


おまえら、郷ひろみに対する認識甘いんじゃねーーーの??
と、今日も上から目線なまこりんです。
いやぁ、私の世代では「郷ひろみ=テレビの中でふらふらしている変なおっさん」というのが大抵の認識なんでして、でもって私もそんな感じに見ていたのね。
しかし、そんな私の認識をつくがえした作品がこれ。

郷ひろみのアルバム84年末のアルバム「ALLUSION」。
ひとことでいえば、
変だけど、かっこいいーーーー。
アホだけど、かっこいいーーー。
そんなアルバム。

プロデュースと全作詞は、ヘンリー浜口。作曲はヘンリー浜口、玉置浩二、井上大輔、大沢誉志幸、原田真二ら。全編曲は大村雅朗が担当している。
音の作りから、なんとなく吉川晃司「ラビィアンローズ」、太田裕美「I DO YOU DO」、沢田研二「ノンポリシー」、大沢誉志幸「CONFUSION」などの当時のナベプロもの音源 を想起させる。
とくに吉川あたりのイメージは強いかな。
作曲陣を見てもそうだし、なによりこのアルバムで郷ひろみは吉川晃司が(多分)日本のメジャーシーンで初めて行ったであろう、日本語に無理やりアクセントをつけて、なんとなく英語っぽく聴かせる歌唱法を郷ひろみ風に援用しています。

ところで、このアルバムの謎のプロデューサー、ヘンリー浜口って誰だと思います?? 
そう、大方の予想通り、郷ひろみ本人なんですよーー。
アホなペンネームだ。
でもって歌詞カードにこんなことかいている。
このアルバム「ALLUSION」が、郷ひろみというアーティストにとって、大いなるTURNNING POINTになる。そんな「予感」を、今強く感じています。

to Hiromi
Henry Hamaguchi

いやん、ひろみ。
馬鹿馬鹿しいけど、こういうの、好きやわ。

でもって、このアルバム、「テーラードソング 2」というこれまた謎の副題がついているんですが、その説明をしなくては。
えー、ひろみは83年に特別あつらえのマイクを造ったのだそうだ。
名づけて、"Hiromi Goテーラード・マイク"。
でもって、そのテーラード・マイクを使用しての2枚目のアルバムということ。
でもって、そのテーラード・マイクがどういうものかっていうと……。
……説明するの、めんどいわ。
とゆーか、説明しにくい。

←これです。なんと、ブラックとシルバーの2種類あるとか。

見たことあるでしょう。
大抵、「2億4千万の瞳」の当時の映像でこれは見ることが出来ますね。
で、このテーラード・マイクの解説も歌詞カードに書いてあるのだが、それを抜粋、括弧部分は私の注釈です。
……郷ひろみがテーラードマイクで歌うようになってから約一年がたちます。SONYのオーディオ技術部とCBSソニーの協力で開発に着手したのはさらに一年前にさかのぼります。 今ではすっかり彼の体の一部となった"Hiromi Goテーラード・マイク"ですが、それだけに完成までには様々な苦労がありました。
……まず(郷ひろみの)声の質を徹底的に分析し、特色を理解する必要があります。……(郷ひろみの音声パワースペクトル特性などを測定したそうだ。ひろみの声は5-10KHzの間にピークが見うけられるのが特徴らしい)
……SONY技術研究所では、このような実験を何度も繰り返しました。
また、常にエンターテナーであることを目指すひろみにとって、視覚的にも充分であることを望むのは当然。
長身のひろみが持って映えるには普通よりやや大きめであること。色は無彩色がよい。さらにアクティブなステージを考えれば、ワイヤレスであることも必要条件です。
以上を満たすため、音声を収音するエレメントの開発と平行して、いくつもの模型が試作されました。
そして、テストを重ね徐々に最も適したデザインに近づいていったのです。
でもさー、このマイク、変だったよね。ぶっちゃけ。
変にでかくて、鋭角的だし、マイクの輪っかの部分にはさりげに「Hiromi Go」の刻印があるし。
実際このマイクをいつまで使っていたのか知らんが、当時の映像見ていると変に悪目立ちしている。
そういう、無駄な自意識がまさしくひろみといえば確かにそうなんですけどね。

で、そんなひろみの声の特性を活かしたアルパムに見事にこのアルバムはなっています。
ひとことでいえば、「プラスチック(@近田春夫)」に磨きがかかって、むしろ近未来な歌声なのよーー。
英語の歌詞の部分なんて、なんか「速いの」。
早口という意味ではないんだけど、「速いの」。なんか……。
透明なプラスチックで出来たつるつるの高速道路を郷ひろみの声が猛スピードで彼方へ向かって駆けていくといった感じ??
説明になっとらん。
とにかく、テーラード・マイクとエフェクトの相乗効果なんだろうけど、なんか印象深い声になってます。

でもって、もうひとついいたいのが、ヘンリー浜口こと郷ひろみの自作詞。
「M.9」(「マグニチュード・ナイン」と読む)とか。こんななのよ。
抱いて 君を よぎる 世界 TIGHT
おいで まよう エンジェル 憎い TIGHT

(作詞/作曲 ヘンリー浜口)

これさーーー。歌詞だけ書くと、どってことないんだけど、唄聞いてるとおもしろいのよ。
簡単に言えばこれ「折り句」になっているのよ。にちゃんで言う「縦読み」??
つまり「だ・き・よ・せ・TIGHT」で「抱き寄せたい」。
「お・ま・え・に・TIGHT」で「お前にTIGHT」。
歌唱だと、多重録音で「抱いて」の部分は「だ」と歌うのと、「抱いて」と歌うのを重ねているという。
めっちゃくだらん小技だが、好きよーーーこういうの。森雪乃丞先生みたいで。
だってシブがき隊とか好きだしぃーーー。

その他にも素敵な歌詞がいっぱいですね。
互いの唇が火花を散らしたり(「CHARISMA」)、濡れた乳房を鷲掴みしたり(「どこまでアバンチュール」)大変なことになっている。
いっちゃん好きなのは「美音 LANGUAGE」のこの部分。
ヤワな言葉で口説くより ちょっと強烈(どぎ)つく 「Let's make love」
かなり得意な Elocution 今日も違う娘(こ) Look at me
Bubble-Gum噛み 街を歩けば みんな目を見張る
I am a 噂のcool boy 一度抱かれてみろよ

(作詞 ヘンリー浜口/作曲 大沢誉志幸)

はっきりいって大沢誉志幸作曲で思いっきりジュリーの「晴れのちBlue boy」な曲調なのだが、アホさ加減においては完全にひろみの勝ちですな。
あと「俺の体のどこが好きなの そっとおしえて」の部分も勘違い爆裂で好きだなーー。

あともういっこ、ワム原曲の「Careless Whisper」には触れなくてはいけないでしょう。
この歌詞、すっごいテーマなのよ。 どうやら、ひろみは女に振られたらしいのだが、なんと振った女にはひろみとの間に子供ができていたらしく、それを「一人でいい、一人で産んで、育てる」といって女はひろみを捨ててしまうという ありえない失恋の歌詞なのよ。
呟きは今でも胸を刺す
一人でいい…… あなたの子供産んでみたいの 
そんな言葉が……

(作詞・曲 G.Micharl A.Redgeley/日本語詞 ヘンリー浜口)

でも、ひろみは女に対して未練たらたらで
扉を開けるたび 部屋の隅の白いソファーに
笑いながら 僕を待ってくれればと思うよ

I'm never gonna dance again
一人で聴くにはこの歌はあまりにも辛すぎる
死ぬほど愛した女はお前だけなのさ
So,I'm never gonna dance again
時が流れても
と歌っています。
時期が時期だけにねーーー。
この直後、松田聖子との破局が報道されるわけで、あまりにも生臭いっすよーーー。
ちなみにこの続編ともいえる曲が「サファイア・ブルー」(ちなみにこれは井上陽水の「winter wind」の歌詞差し替えバージョン。新しい歌詞は(聖子担当の)松本隆が担当)。
彼女にあげるはずだった(多分)エンゲージ・リングをひろみは冬の海に捨ててしまいます。

もっとちなみにいえば、どうしてもひろみの「Careless Whisper」といえばつい思い出すのが、松田聖子の「抱いて」。
これはあまりにも有名だけど、不倫の末に妊娠してしまうというテーマの歌詞。
Hold me   あなたに秘密にしていたニュースがある
Hold me  私の奥に芽生えた命を祝って
抱いて 抱いていて……

(作詞 松本隆/作曲 D.Foster)

こういうワイドショー的な楽しみも歌謡曲の醍醐味ですな。

ああー、あともいっこ言いたい蛇足。
同時期に西城秀樹も「Careless Whisper」をカバーしまして、「抱きしめてジルバ」。
よく秀樹はトークで「ひろみに売上で勝った」といっとりますが、ひろみのはB面だぞ、ごるぁぁぁぁぁ。
秀樹はひろみに対して、常々じとっとしたライバル意識を持っているみたいだが、そういうのはみっともないぞ。まったく。
ま、あと「Careless Whisper」といえば、河合奈保子の「北駅のソリチュード」も忘れてはならないプロダクトだが、あまりにも蛇足すぎるのでこれは次回。

とにかく、書くだけ書いていよいよまとまらなくなったが、個人的には「EMPTY PAGES」以外不満な曲がないという佳盤で、是非とも聞いていただきたいわけよ。
私の郷ひろみの道はここから始まったわけでもあるし。
ちなみに他にひろみのアルバムでお気には、坂本龍一プロデュース「比呂魅卿の犯罪」と、井上鑑プロデュース「アスファルト・ヒーロー」、「プラスチック・ジェネレーション」などなど。
ひろみ、いい仕事しています。
篠田正浩監督による同名タイトルのビデオ「ALLUSION 〜転生譚〜」も見てみたいなーーー。

2003.02.02

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