ああっ、もう、いつになったら仕上げるんじゃ。 今、猛烈にもう一人の自分を叱りたてている、そんな相変わらずの怒れるまこりんです。 こんにちは。 で、ですよ。なにがって、「同人作家に花束を」ですよ。 このサイト開設時から予定を立てながらずっと予定中、って。 いやーーー、いつまで予定中なのか、と。 もう、なにをやっているのか、と。 気がついたらサイト開設1周年でないの。 ……いや、別にやる気がなかったわけじゃあないんですよ。 ただね、なんか気が進まなくって。 だからやる気がなかったんじゃね―――かって、いや、そうじゃなくってですねぇ。 だって別に、私自身が同人誌を紹介できるほど同人界に精通しているわけでもないしさぁ。 読んでいるものや、ジャンルも激しく偏っているといわざるをえないし。 なにより俺は毎回コミケに行ってないっつー――の。 まぁ、通販とかでわりと定期的に手に入れているけれども。 それにこういう世界って激しくセクト化しているから、あんまり迂闊なこともいえないしなぁ、とか。 もちろん苦言を呈するつもりなどまったくありませんが、ま、私のことだから素で相手の逆鱗に触れることもなきにしもあらず、だし。 なにより、同人誌ってのはそれこそ同じ趣味の好事家たちが寄り集まって作るものであって、作品自体も広く世に出ているわけでもないし。 なにより広く世に問うつもりなどさらさらないから同人作家をしているともいえるわけで。 こうして取り上げること自体当人としては嫌なのかもしれないわけで。 だからずぅーーーと、どっしようかなぁ、と思っていたわけ。 でも、こうして立ち上げた以上引っ込めるのもアレだし。 サイト立ち上げて1年の経って今の状況を見るに、みなさん、割と私の書く文章を適当にスルーしてくれているようなので、頭にのって書いちゃお、か。 と、再始動。今ここに足掛け1年のテキストがいよいよアップということになるわけです。 第1回はやっぱり、この方へ花束を、銀谷時無さん。 えーーー。 我が家には恥ずかしながら大変趣味の偏った同人誌が大量にうねっているんですけど、その中でダントツのジャンルなのが聖闘士星矢でして、でもって、星矢ジャンルでこの人をおいてはやはり語れないだろうという。 正直、時無さんはまさしく星矢同人を描くために生まれたといっても過言でないほど。 なにより、作品に対しての入れ込みというか、愛情がハンパなく深い。 画風も漫画の車田っぽさとアニメの姫野・荒木っぽさをミックスした絶妙な描きっぷりで、また、内容も原作品の破天荒な世界観を壊さないで、エピソードを作る様は神業といっていいほど。 また、「聖闘士テール」シリーズなどのパラレルモノにしたって、脇に実に絶妙な原作品のキャラを起用していたりして、はっきりいって凄いです。 女性キャラだとガイストがお気にの銀谷さんですが、だいたい、ガイストといってああ、アレね、ってすぐわかる奴いくらいるよっっ、みたいな。 そういった愛すべき忘れられたキャラたちをさりげなく脇に配置したり、こういった些細なディテールを見るにつけ、本当に彼女の原作品に対する敬意を感じずにはいられないのですよ。―――新作「Watching」でも鋼鉄聖闘士の翔が出てきてぶっ飛びましたよ、わたしゃ。 わたしなんかは(原作もアニメもリアル小学生の頃楽しんでいたけど、今となっては)「星矢パロも本編も面白いけど、……さすがに原作はちょっと恥ずかしい」という困ったちゃんなファンなので、思わず恥じ入ってしまいます、はい。 本当に、星矢同人における太陽のような人。 なんでこの人はこんなに星矢ワールドを愛しているのだろうと、感動すらも呼び起こします。 いわゆるカップリングはミロ×カミュなのだけれども、星矢ワールドを愛している人なら誰だって愛さずにはいられないような、 決して原作のイメージを壊さずになおかつかゆい所に手が届くような作品ばかり。 ―――ちなみにミロ×カミュに関しては、原作の天蠍宮戦以前にアニメのキャラ表を見て、「この二人ってお似合いーーっ」とばかりに「カミュ・ミロ教発足宣言」を出して以来だというのだから筋金入りであったりする。 特に「夜毎、神話がたどりつくところ」「Light Sphere」はアニパロ同人としての極北なのでは、と思いますよ。マジで。 「夜毎、神〜」は、原作完結篇にしょぼーーーんとなってしまった星矢ファンのために描かれたといってもおかしくない、そんな「星矢最終章」の長編パロディーです。 簡単に言えば黄金聖闘士みんな生き返ってめでたしめでたし、ってストーリーなのだが、このフォローっぷりがなんとも丁寧で愛にあふれていて、1ファンである銀谷さんのなかに渦巻いている萌えや妄想などの個人的な想念という範疇を越えて、星矢ファンにとっての「かくあってほしいもうひとつのエンディング」にまで昇華しているのでは、と私は感じるのですよ。 また、「Light Sphere」は原作での黄金聖闘士の死と言う結末を積極的に肯定するために生まれた総ページ200を超える長編サイドストーリーです。 あくまで原作では脇役であった彼らだけれども、彼らの運命にも必然はあったのだよと言わんばかりに、物語は原作よりさらに時代を遡り、彼らに与えられた運命を掘り下げて(フォローして)いきます。(……とはいえ、いつものコメディーテイストは忘れておりません) ここに私はひたすらに作品を愛している著者の姿を垣間見ずにはいられないのです。 私のようないい加減なファンはひれ伏すしかありませんってば。 ちょっと大上段ないい方をしますと、アニパロ同人誌っていうのは原作品に対して、読者それぞれがかくあって欲しい願う「もうひとつの世界」であり、「原作品の鏡像」といえます。 ですが、それぞれの視点の違い、感性の違いによってできあがるものは、ずれてくるものです。 パロディーとして、実作品を鏡写しをしているように見えて、その写し出している鏡はそれぞれ個人が作り上げたフレームなのですから。 ですから、それは、もう個人の作品といっても過言ないほど千差万別です。 なかにはどんな作品を鏡写ししようと、写された鏡像がいつも同じような方もいます(どんなパロをやっても同じ作品ばかりみたいな人もいますよね)。 また違ったいい方をすれば原作品がプリズムであって、それに当てられ乱反射する光達が同人誌による作品たちといってもいいかもしれません。 であるから、同人誌が面白いともいえますが、そうした作品群のなかには原作品から完全に飛び越えてしまうものも少なくはありません。 つまり、原作品を自己の創作のための手段となってしまっているわけです。 もちろん、これが一概に悪いというわけではありません。 ただ、そうした光の乱反射のようにさまざまなベクトルを持つ多くの同人作家とそして同人作品群の中で、銀谷さん作品ほどの原作重視しつつ、かつ読者サイドのかくあってほしいという妄想とが高レベルな時点で結合し、そして最後には原作品へのオマージュに帰するモノってのを、わたしは見たことがない、つうことなのですよ。 彼女の作品は常に「原作最高」という結論に結びつくのです。 作品はそのためにフォローのストーリーといっても過言でないわけよ。 やはり、アニパロ同人っつうのは原作に対する溢れる愛情がその創作動機の根本あって、原作品に対するオマージュという点を抜きにしちゃだめだよなぁ。 と、銀谷時無さん作品を読むにつけ、しみじみ思ったりするわけです。 ちなみにものすごく蛇足なのですが、銀谷さんものすごく漫画、上手いです。 構図とか、効果とかがしっかりしているのはもちろん、原稿を手抜きするというがまったくない。 ま、知らない人がいるかもしれないから一応書いておきますが、「同人誌」って趣味の産物のくせして、ある意味「商業出版の醜悪なパロディー」じみているところがあって、「〆きりがぁー――」と書き手が煩悶していたり、でもってぎりぎりになってテキトーな仕上りの絵で本出したり、とか、編集しているだれそれがうんぬんとか、発行部数がどうとか、原稿返ってこないだとか、つきあいで寄稿だとか、なんてことが良くあるのですよ。 ま、そういった政治的なのはともかく、絵が汚いのだけは納得いかない私なので(下手なのは仕方ないですよ、手抜きや汚いのは読者に対して失礼ですよん)。 それに比べて、時無さん、奇跡のような丁寧な原稿なのですよ。 「自分の気に入っている作品を誰の制約を受けることもなく書くのだから、当然自分の納得のいくところまで贅沢に時間を使って丁寧に書くのなんて当然じゃない??」と、当人にしてはそれは当たり前の行為なのかもしれませんが、その当たり前のことにすれっからしの私のような人間は思わず感銘を受けてしまうのです。 と、心酔した私は時無さんにファンレターを送ってしまったのでした(笑)。 ――――4、5年前、「これって絶対ミロ×カミュソングだと思います」と強引に野田幹子の「太陽・神様・少年」のテープを時無さんに送ったのは私です。 ひえーーーーっ。恥ずかしい。 ちなみに「この曲はミロ×カミュ&横恋慕するアフロという銀谷時無ワールドと合致しますね」とお褒めの言葉を頂きました。 これからも地道に星矢パロを書きつづけてくださぁー―い。 と、最後はファンレターしてしまうのであった。 おまけの銀谷時無さんの星矢同人作品リスト。発行はすべて聖闘士ぱにっく。 ちなみに完全リストかどうかかはまったく不明です(笑)。 補完してくれる方お願いします。 ちなみにこのリストを作っているさなかに私がまったく持っていない作品集があったことが発覚。 ……「E=MC2」なんですけどね。 「ミロ・カミュIN 赤頭巾ちゃちゃ」なんだとか。 くぅー―――。ぬかった。 あ、ちなみにもちろんほとんどの作品は入手不可。 まんだらげなりヤフオクなりで、がんばって探してください。 新しい作品集はあるのかもしれませんが、通販とかイベントの参加とか、それも私はまったく知らないので、がんばって本人に聞いてください。 ……というか、私がこのテキストアップするのをぐずぐずしているあいだになんと銀谷時無さんの星矢ファンサイト「聖闘士ぱにっく 分室」がオープンッッ!!! 公式情報はここでどうぞ。
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2004.01.28