と、よしながふみのついでになんとなく隣りに在った藤たまきの「私小説」を買ってしまったのだが、これがなんっっっっかよかったのでついでに書いておく。 あとがきで作者が「ジュネだよーーーーーー」と悶絶しとるけど、「ジュネ」なんだよね、確かに。「やおい」でも『ボーイズ・ラブ』でも「耽美」でもなく、『ジュネ』。この表現、わかる人にはわかるよね。 なんかさぁ、妙に懐かしくなってしまったよ。 学園モノでストーリーは読書がだいすきで内向的な少年紅絹が幼い頃に惹かれ、でも友人になることが出来なかった少年息吹に宛てて何通も出すこともない手紙を書きつづけている、というシチュエーションからはじまるんだけど、もう、かわゆいんだよ。 「トーマの心臓」とかあの世界を愛してしまう人にはもう避けられない愛しさです。 で、私はこういう心のピュアネスに訴えかけるような作品ってやっぱり否定しようとしても否定できないものがあるのです。 全体的に漂うチャイルディッシュな佇まいというのは在るのは確かなんだけれど、この内海から一生懸命でようとしている。向こう側を見ている。 やばいなぁ。 なんかこの人のほかの作品が見たくなってしまった。 そう、あともう1ついっとくと、この人モノローグがものすごく上手い。 大島弓子・萩尾望都クラスとまではいえないけど、ちょっと比べたくなるくらいのレベルではある。 予言めいたことを言えば、この作者の今後は大島弓子のように少女のまま外の世界にでて、夢見る過激少女になるか、萩尾望都のように外の世界に出ることによって大人の作家になるかのどちらだろう。 いつまでも、部屋の中で窓の向こうの景色ばかりを見ているわけにはいかないだろう。 その時に、なにを描くか。それが凄い楽しみな作家です。 |
2002.06.21