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さくさくレビュー 中森明菜 B面 編


中森明菜に関してはシングル曲とアルバムは前々からそれぞれすべて語るつもりだったけれども、ふと「そうなったらB面を語る場所がないなぁ」と思い立ち、とはいえ、「B面って、あくまでそのアーティストにとっての傍流だからいまいち語りつらいんだよなあ」などと迷った挙句、明菜のB面はさくさくレビューでと決定。 つうわけで、今回はB面を一気に流していきます。

中森明菜のB面作品っていうのは、ホントに名曲度が高いのよ。特に「ロンリージャーニー」以降というのは、ちょっと目が離せない。これを語らないのはもったいない。はっきしいって。
当時の明菜はシングル選考でぎりぎりのところで洩れた作品がB面に回るというのがほとんどだったようで、確かにそのエピソードが納得できるほどのクオリティー、これをB面に回すなんてもったいないよなぁ、というため息が出るばかりの作品が並んでおります。 ――ってまぁ、デビュー直後は微妙なものもいっぱいあるんだけれどもね。
ともかく、これを次作にとっとかずにここに出しちゃうってどうよ、というそんな作品ばかり。 明菜が辞めてから1時期ワーナーはボコボコとあまり質のよろしくないベストやコンピレーションを出していたけれども、B面コレクションの「もうひとりの明菜」だけはとにかく必聴です。

明菜初心者は、ベスト盤でシングルをさらった後はこのB面コレクションか、『Stock』『Bitter&Sweet』『Shaker』あたりのアルバムに入っていくのがベストだと思う。っていってこの「もうひとりの明菜」は現在ものの見事に廃盤……。 これは再発すべきですぞ。ワーナーさん。




 条件反射  (c/w「スローモーション」/中里綴−三室のぼる−船山基紀)  

「B面」1発目は百恵風ツッパリ歌謡ロック。4文字熟語なところは「絶体絶命」っぽいし、詞の設定を見ると「プレイバック Part2」にも見える。16歳の小娘にしては低音のドスが効いているなあ、とは思うけれども、どこか板についていない感じも。三原順子的というか。 この路線を更に改良して「少女A」がうまれる。6点。


 夢判断  (c/w「少女A」/中里綴−三室のぼる−萩田光雄)  

怪作、その1。夜明け間近、恋人との淫夢で目覚めた少女のモノローグ――「はっきり目覚めた熱いリビドー」ってなんだそりゃ。 あきらかに百恵の「蒼い性」路線の失敗作。イタイケな少女におもわせぶりなエロい歌を歌わせるという。そんな微妙な一品。「見掛けほどあどけなくないのです」なんて迫られても困ります。まさしく"ちょっとエッチなミルキーっ娘"。5点。


 鏡の中のJ  (c/w「セカンド・ラブ」/三浦徳子−佐藤健−萩田光雄)  

怪作、その2。Jは、ジェラシーのJ。思わせぶりなタイトルの割にはどってことない感じ。スリリングなひら歌がサビでボロっと失速する感じもなんだか微妙。この転調はないでしょうよ。歌詞も微妙にエロはいっております。典型的B面作品。5点。


 温り  (c/w「1/2の神話」/井上あずさ−井上あずさ−萩田光雄)  

恋人との別れに「あなたの些細な温りを忘れない」という歌。いかにも明菜らしい痛々しい一途さを感じる。A面に昇格できる派手さはまったくないけれども、じわじわっときて忘れがたいバラード。小さな心と小さな体で必死にすべてを受けとめて生きています、というそんな感じがまるで傷を追った小鳥のように痛々しく。それにしてもこの詩、状況設定が細やか。83年はアルバムシングルともに以前以後の作品と比べると落ちるものが多いが、B面は意外といいモノが並んでいる。9点。


 ドライブ  (c/w「トワイライト」/堀江淳−堀江淳−萩田光雄)  

研音の先輩、堀江淳からの提供。増田恵子にも結構いい曲書いているんだよなぁ、彼。これまたやわらかくボサノバタッチの佳曲。耳を吐息でくすぐるような明菜のピアニシモ歌唱が見事。これでとろけない男はいません。しかし、こういう幸せいっぱいのやさしい歌すらもどこか憂いが漂うあたりが明菜ですなぁ。B面らしいいぶし銀の名曲です。8点。


 雨のレクイエム  (c/w「禁区」/芹沢類−玉置浩二−萩田光雄)  

ブレイク直前の安全地帯の玉置浩二からの提供。「カタストロフィーの雨傘」と双璧の初期の悲劇のバラード。 恋人との最後の別れに"あたしそんな不幸じゃない"と強がる明菜の肩が今にも崩れそうで、というそんな歌です。まるで情景が見えるかのように、歌の主人公になりきって必死に明菜は涙をこらえて歌っております。さながら歌う女優という感じ。8点。


 涙の形のイヤリング  (c/w「北ウイング」/康珍化−林哲司−林哲司)  

明菜にしては珍しく「A面と一緒にB面もついでに作ってもらいました」という、作家陣がA面とまるで一緒という作品(他の歌手ではよくあるパターンなのだが明菜にはこれが少ない)。仕上がりもあきらかにB面ナイズドな2番オチ作品。彼との最後のドライブ、私の耳にはあの日彼がくれた涙の形のイヤリングが光っている、という歌。悪くはないんだけれどもねぇ……。 84年は83年と一転してB面には微妙な作品が並ぶ。その代わりこの時期のシングルは名曲の嵐。6点。


 夢遥か  (c/w「サザン・ウインド」/庄野真代−小泉まさみ−萩田光雄)  

庄野真代・小泉まさみ夫妻の作品。「都会星人」「カプセル」「カシオペア」「地球」、歌詞はスペイシーでSFチックといえなくもないが、仕上がりとしては「フツーの歌謡曲」という感じ。狙いとしては「乙女座宮」あたりなのかな?この時期の明菜の歌唱はつぶやくように語る部分と喉をひらいておもいっきり歌い上げる部分の繋ぎがどうにも上手くいっていない。6点。


 これからNaturally  (c/w「十戒」/SAYMOUR−三室のぼる−若草恵)  

B面にしては久しぶりのツッパリ歌謡だが、サビの「ジレンマ→ジェラシー→セノビズム→タブーの香り」が意味不明。面白いといえなくもないけれども、こうした路線は小泉今日子と比べて明菜はいまいちうまく決まらない。明菜は言葉遊びが苦手なんじゃないかなぁ。そういう軽さを求めようにもなかなか出てこない。7点。


 ムーンライト・レター  (c/w「飾りじゃないのよ涙は」/松井五郎−井上陽水−萩田光雄)  

井上陽水が「飾りじゃないのよ涙は」のついでにB面向けにも1曲作りましたよ、といういかにもB面な地味な1曲。夜更けに恋人との些細な会話にうっとりと酔う、という、まぁ悪くはないのだけれども、こういうまったりとやさしい歌は今の明菜が歌いなおすと断然いいのだが、当時はまだちょっと歌いきれていないというか。もっとがんばりましょう。7点。


 ロンリー・ジャーニー  (c/w「ミ・アモーレ」/EPO−EPO−清水信之)  

明菜のフェイバリットアーティストEPOに依頼、アレンジも当時のEPOといえば、っつうことで清水信之。詞のテーマは「真夏の家出」。曲はジープでアフリカの広大な原野を駆け巡っているかのように爽快で雄大。 このあたりからがぜんB面にも存在感が出てくる。以降はA面とひっくり返してもかまわないぞという派手で、完成度の高い曲が並ぶ。実際歌番組でB面を歌う機会も以降増えていく。8点。


 BABYLON  (c/w「赤い鳥逃げた」/SANDII―久保田真琴−井上鑑・久保田真琴)   

当時流行った12inchシングルバージョン。『Bitter&Sweet』収録バージョンよりも気持ちイントロや間奏が長いが、だからどうしたの、という作り。ま、アイドルモノの12inchはこういうモノが多かったんだけれどもね。曲自体は、エスニック志向の強い歌謡ロック。かっこいいです。明菜の歌唱もフルスロットル。7点。


 椿姫 ジュリアーナ  (c/w「SAND BEIGE」/松本一起−佐藤隆−井上鑑)  

イントロの笛の音がすでにもの哀しい佳曲。シングルともにエスニック路線。舞台がはねた後はひとり星を見るのが好きな若く孤独な踊り娘の歌。ジプシー的な哀感――永遠にさすらうことが宿命づけられた者の悲しみと喜びの世界は以降の明菜の最も強いテイストのひとつになっていく。ただ、この曲アレンジががちょっと嫌いなんだよなぁ。やたら前に出るサックスのような音が違うだろ、と。テンポを気持ちゆっくりめにして新しいアレンジで今の明菜の声で聞きたいなぁ。8点。


 AGAIN  (c/w「SOLITUDE」/あらい舞−あらい舞−中村哲)  

これは隠れた名バラード。全てが終わろうとしている今、ふたりは過去を愛していく、ということで「AGAIN」。夏の終わりと恋人との別れが二重映しになっていて、夏の終わりの哀感とともに去りゆくものをいとおしくもせつなく眺める様、失おうとしているものを必死で繋ぎとめようとして、それでも手を離れ、というそういう切なさがよく出ている。オーラスの「そして二人はなれていく 幻の夏を抜けて」以降は圧巻。明菜の歌唱も絶品。これも今の明菜の声でも聞いてみたい。9点。


 LA BOHEME  (c/w「DESIRE」/湯川れい子−都志見隆−椎名和夫)  

当初はA面予定のはずが明菜からの「B面予定の『DESIRE』を着物を着て歌いたい」との要請をくんで、B面転落。ってこれは次のシングルに回したほうがよかったんじゃないかなぁ。それくらいわかりやすくヒット感度の高いロック歌謡。 「DESIRE」も決定的な曲だけれども、この歌だってどう出しても大ヒットしたでしょうよ。B面でおわらせるにはあまりにももったいない。今でもB面では1、2を争う人気曲。カラオケにも大抵入っております。詞の"瞬間に生きるさまよえるジプシーの魂の高揚"って世界観もいいし、とにかくカッコイイです。「DESIRE」+「LA BOHEME」は明菜シングル史における最強コンボ。10点。


 最後のカルメン  (c/w「ジプシー・クイーン」/麻生圭子−都志見隆−椎名和夫)  

表が「ジプシー」で裏が「カルメン」。あらかじめ歌劇「カルメン」とかそのあたりをテーマにして発注をかけていたのか。シングル盤は以降A面とB面が相互補完して世界観をなすような作りが目立ってくる。 前作が派手なロックだったのでA面はしっとりと豪華なドレスを身にまとって「ジプシークイーン」ということなんだろうけれども、いやあ、こっちのほうがA面でしょう、ここは。前世がスペイン人だっつってる明菜サマならば。恋に生きるカルメン――"あなたの罪は私を愛したことね"って素敵過ぎます。 アウトロのもの悲しいカスタネットの音色が絶妙な余韻を残し、いやぁ、ナイスなプロダクト。今の彼女にもぜひとも歌って欲しいなぁ。それにしてもこのクオリティーで2作連続明菜のシングルコンペ落ちしてしまう都志見隆さんはちょっと可哀想です。10点。


 危ない MON AMOUR  (c/w「Fin」/許瑛子−鈴木キサブロー−椎名和夫)  

アルバム『不思議』に収録する予定もあったが、選に洩れてB面へ。次アルバム『CRIMSON』への橋渡しのような楽曲といえるかもしれない。夜明け前にハイウェイ飛ばして海へのドライブに向かう二人、というかわいらしい歌。この歌の続きが「ミックジャガーに微笑みを」という感じ。レコードではファルセットをメインに使って歌っているが、歌番組ではキーを落として地声に近いところで歌っていた。比べるに地声のほうがいい感じかな。7点。


 MILONGUITA  (c/w「TANGO NOIR」/大津あきら−林哲司−中村哲)  

今回はあらかじめ「タンゴ」をテーマにしてのシングル制作だったのだろう。A面は曲調自体はタンゴではない「TANGO NOIR」(――「TANGO」という言葉にただようアトモスフィアを歌謡曲に翻案したような作品)となったが一方の「MILONGUITA」はわかりやすいタンゴ調。バンドネオンが物悲しく泣いております。 ロングトーンの「あぁぁぁぁ」ぶりもA面に負けておりません。艶っぽくって危うくって破滅の美学で、これこそ明菜という世界。この曲忘れてませんか、明菜サマ。9点。


 清教徒 (アーミッシュ)  (c/w「BLONDE」/秋元康−久保田利伸−武部聡志)  

明菜にしては極めてめずらしい秋元康−久保田利伸というラインによるパンチの効いた1曲。これもA面に回してなんら問題ないよなぁ。アルバム『Cross my palm』のパイロット盤という意味合いでA面が「BLONDE」になるのはわかるけれども。ま、秋元先生の詞がちょっと雰囲気重視かなと思えたりするし、久保田も自身の持ち味である黒っぽさがあまり感じられず、というのもありますが……、全体としては悪くないです。明菜サマの歌謡ロックという感じで。 A面とともにバブルチックな油っこさが漂っております。8点。


 恋路  (c/w「難破船」/来生えつこ−林哲司−萩田光雄)  

久しぶりにB面らしい穴埋め感がただよう作品。加藤登紀子の薦めでシングルは「難破船」と決め打ち。そのB面として作りましたよ、という感じ。A面の暗さと対になるよう詞は明るめ、でも曲はA面とあわせてゆったりめのバラード、アレンジは演歌のテイストすらうっすらただよう純歌謡曲調に、と、計算とおり。 穴埋めといえどもこれは「いい穴埋め」な作品。7点。


 薔薇一夜  (c/w「AL-MAUJ」/大津あきら−鈴木キサブロー−大谷和夫)  

はらはらと散る花びらをスローモ―ションで眺めるような、そんな一品。美しいものが儚く壊れるその瞬間を写しとったような曲で、淡く、切なく、鮮やか。 詞はかなりエロテックなのだが、一途さが勝っていて、不思議といやらしさはまったくない。 この曲を歌う明菜の妙に切羽詰った雰囲気がまたよかった。なめらかな皮膚一枚の下には恋に生きる女の業火が燃えさかっている、そんな情念の世界。妖しいです。9点。


 小悪魔 (ル・プアゾン)  (c/w「TATTOO」/麻生圭子−西村麻聡−三宅純)  

うをっっ、これまたカッコいいぞ。「TATTOO」や「Jive」と同じラインの都会の高級娼婦というか、そんな感じ。絶え間なく求める男の手をすげなくかわして、明菜サマは今日も危ない女の綱渡り。"愛も恋も疲れるだけだわ、好きな時に好きなだけ眠りたいと思うだけよ"って、うーんしびれます。こういう冷徹さ高慢さはこの時期の明菜サマであってこそ。三宅純の醒めたアレンジも聞きどころです。8点。


 BILITIS  (c/w「I missed the "SHOCK"」/許瑛子−吉見明宏−武部聡志)  

A面が思わせぶりで盛り上がりに欠け難解なのに比べてこちらはかなりわかりやすい作品。これもまた土壇場までA面にするかいなかで迷った作品のよう。実際この曲は「夜ヒット」やら「Mステ」やらで結構歌ったしね。 明菜の「あぁぁぁぁあぁ」唱法も十二分に堪能できるし、"恋など幻 夢など退屈 好きにすればいいいつかわかるわ"なんて明菜らしい啖呵の切り方も堪能できるし、着実にヒット狙いで行くならこっちが表のほうがよかったのかも。9点。


 Blue on Pink  (c/w「LIAR」/三浦徳子−国安わたる−若草恵)  

A面とほぼ同系色、アルバム『CRUISE』に続くバラード。アスファルトに落ちたBlueの涙と、花屋で気まぐれに買ったPinkの花で、"Blue on Pink"と。それほど有名でないB面にしては今でもセットリストに組みこまれやすい楽曲。明菜の趣味なのかな。 ま、悪くはないバラードです。この時期の明菜ならこれくらいは余裕だろうな、という。孤独な都会の女は明菜に歌わしときゃ間違いないぞ、と。7点。


 CARIBBEAN  (c/w「Dear Friend」/大西美帆−和泉一弥−和泉一弥)  

復帰シングルの「Dear Friend」はどちらかというとちょっと無理めに明るいところが痛々しく感じられたが、こちらはスキャンダルの末に海外のリゾート地を転々とする当時の明菜を象徴するような曲で悲しいかな、フィットしてしまっている。 スチールドラムの音色も涼しげに「I wish this love to be forever. To the end of the world」と歌われてしまうと、あぁぁぁ……。明菜、その恋は終わったんだよ、と思わずそっと肩を叩きたくなる。魚たちも愛し合うこの世ならざる楽園でしかもうこの恋は成就しない。そのことを本人が1番わかっている。だからこそ「忘れないで」の連呼が切なく響き……。8点。


 Angel Eyes  (c/w「水に挿した花」/松井五郎−上田知華−武部聡志・中村哲)  

発売中止となった復帰アルバムに収録予定だった楽曲か。全編ファルセットで羽根のように徹底的に軽く歌っているが、なんともこれは奇妙な違和感を感じる。この歌い方は近年よく明菜は披露しているが、この曲がその萌芽とみていいかな。とはいえこの時期のこの歌唱法はちょっと下手。詞も明菜のイメージとかちょっとずれているし、上田知華作曲も"今井美樹路線狙ったのかな"、というくらいで……。5点。


 忘れて……  (c/w「二人静」/中森明菜−羽佐間健二−小野沢篤)   

な、なまなましい……。水着を買いに出掛けた明菜。試着して鏡を見る。「鏡に映る わたしの肩には 彼との思い出 消えかかっていた」で、「忘れたくて 忘れたくて 新しい水着買ったのに」って。もう直球そのまんま。ほとんど私小説ですぅ。アウトロのオルゴールの音色がいっそう悲しみを引きたてており、もうなんつーか、どうしてほしいのよ、と。 ちなみに明菜と川原伸司さんとの出逢いになった曲でもありまする。7点。


ワーナー離脱後中森明菜は急速にシングルメインのアーティストからアルバムメインのアーティストに変貌するので、ちょっとここから先は語りづらいのでひとまず今回はここまで。


2005.05.27
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