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中森明菜 「赤い花」

歌姫の業を感じる

(2004.05.12/Utahime Records/POCE-3600)

1.赤い花 2.赤い花(カラオケ)


なんか重いですね。新曲。
耐えられぬ痛みでも どうしてなの 追いかけてしまう
ねぇ あたしをいっそ切り裂いて
なにも感じないほどの 傷をつけて去っていってよ

「難破船」「水に挿した花」「帰省」に続く見事なまでの暗黒バラードの系譜となっております。
一応この曲は韓国ドラマ「All in」の主題歌のカバーということだけれど、そういった情報が吹っ飛ぶほどの明菜ワールドと化しています。
このどうしようもなさ、救いのなさ、真実味のある深刻な暗さ、というのは一体なんなんでしょうね。
体中に業がしみついている、というか、その悲劇性、ドラマツルギーは現代を生きる人に思えないわけで、ある意味、明菜さまは神話の人になっちゃっているわけです。
で、そんな歌がドキュメンタリーとしか耳に響かない、という。
自らを物語に近づける能力というのがまさしく「歌姫」なんだなあ、という感じ。

そう、ただ歌が上手いだけじゃ、歌姫にはなれないんだよねえ。自己をあたかも物語の中を生きるかのように人生を演じてしまう能力(もちろん、否応なしに演じさせられてしまう天賦の運や徳という部分もある)、これがあってこそ「歌姫」なんだよなあ。

とはいえ、中島みゆきが前向きになって、Coccoが沖縄に帰った今となっては、このテイストは中森明菜一人の世界なわけであって、 絶滅危惧種ということで、今後も音楽業界は生温かく彼女を見守ってほしいものです。(――ちなみにCoccoにも中島みゆきにも「歌姫」というタイトルの曲があります。奇遇。)

こういった路線は、あまりにも濃口過ぎて、ライトユーザーにはトゥーマッチなんじゃない??という意見も一方ではあるけれども、明菜さまはこのまま自己神話化への道へずんずんと突き進んじゃてもいいかな、と私は思っております。
以前の「不幸でいたい」発言とともにこれは「明菜はこれから『暗黒の歌姫』でいきます」という決意表明かもしれないしね。
明菜はきっと死後に美空ひばり級の賛辞を贈られるんだろうなぁ、ということをちらちらと考えてしまうそんな「歌姫の業」を全身で表現した自主レーベル第1弾シングルですね。
(明菜は、どんどん死後・引退後に無責任に褒められやすい、日本人の湿ったメンタリティ―にフィットするキャラクターになっている感がある。こういったタイプの人は生きている間は大概の人から敬して遠ざけられてしまい公私共に不幸なわけなのですが)

ちなみに作詞は川江美奈子、編曲は武部聡志ということでハーフトーンとの仕事はまだまだ続いている様子。
個人的にはハーフトーン系との仕事続けるのなら次は中山美穂の『Groovin' Blue』(傑作!!)のようなアルバムを期待していたのだけれども、ま、いいや。
武部さんのアレンジは相変わらず手堅いですね。
イントロのエスノチックなコーラスワークといい、続くパーカッションや生ギターの音色が全体として「砂漠」をイメージさせていかにも明菜な音になっております。

ともあれ、一曲では後々の展開も方向性もわからないから、早くアルバムで「Utahime Records」でやりたいものの形を見せてほしいものです。
このシングルが前哨戦としてはなかなかなのはもちろんですが。

2004.05.12

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